58.かつての仲間のお手伝い
朝、鳥のさえずりで目が覚める。
この鳥は何なんだよ。
そう思いながらソファーから体を起こし、周囲を見る。
そういえばミントの家に泊まってるんだった。
「ミントー朝だぞー」
ドアをノックして中に入る。
明らかに寝相の悪いミントがベッドですごい格好で寝ている。
それと同時に、左足がないのが目に入る。
「...起きろー」
「もうちょっと...」
まあ寝かせとくか。
「朝ごはん作ったらまた呼びに来るからな」
「んー...」
ということで朝ごはんを作ることに。
食料庫ってどこにあるのかな。
てか、勝手に漁っていいのか?
そんな事を考えていると家の扉がノックされる。
「ミントー起きてる?朝ごはん作ってきたよ」
と言いながら扉を開けてくる。
その方を見れば若い獣人の女であるとわかった。
その人はこちらを見ると一瞬驚いたあと、戦闘態勢に入る。
「誰ですか、あなた」
「ユージです...えっと、あなたは?」
…この状況俺やばくね?
片足のない獣人の家を漁る人間の男がいる。
恐怖しかないだろ。
え、俺いまピンチ?
「ふあぁ、おはよー。ってセニー、今日来れないって言ってなかった?」
「昨日の夜は行けないって言ったの。朝ごはんは持ってくるって言ったでしょ?」
知り合いっぽいな。
よかった、ミントが起きてくれて。
とりあえずこの状況をどうにかしてくれ。
「で、この人は?」
「ユージだよ」
「いや、それは本人から聞いてて...もういいわ」
戦闘態勢を解いてくれた。
この人…セニーはあれかな、ミントの友達とかかな。
かなり親しそうだ。
「ユージです、前船で一緒に旅をした時仲良くなったって感じです」
「…ミント、こいつの言ってること本当?」
「本当だよ。料理大会に一緒に出たりした!」
そういえばそんなことあったな。
まぁ負けて賞金は貰えなかったけど…。
「とりあえずご飯食べよ!」
ということでご飯を食べることに。
セニーがご飯を持ってきていたようだったが、俺の分はないので俺は外へ食べに行こうかな。
そう思っていたがミントが半分分けてくれると言い出し、それは癪だから今から作るとセニーが俺の分まで作ってくれた。
ありがたい。
ミントのために作っただけであんたの為じゃないと言われたが、ツンデレ娘かぁと思った。
「そういえば、手伝って欲しいことって何?」
「え、ミント。この人にも頼むつもりなの…?」
「そうだよ。無理言って私も連れてってもらうから、もうひとり居た方が安全かなって」
「私はこの人がいる方が怖いけどね」
俺への好感度マイナス行きすぎじゃない?
そんな嫌そうな顔してこっち見ないでよ。
「で、手伝って欲しいことって?」
「神獣様へのお供え物を持ってくんだけど、それについてきて欲しいの」
「神獣様?」
ミントの言う神獣様とはこの国の森の最深部にいる生物のことらしい。
天候を変えたり、単体で世界を滅ぼせるほどの力を持っているらしい。
化け物かな?
「神獣様ってか、フェンリル様ね」
「フェンリル…あのSランクの魔物の?」
「次魔物って言ったら殺す」
怖すぎる。
背後から刺されて死ぬ未来が見える。
「ほかの人が行ったりしないのか?」
「私が行きたいの」
「嫌なら来ないでいいよ。私とミントの2人でいくから」
俺嫌われすぎじゃない?
まぁ行くけどさぁ。
もうちょっと優しくしてよ。
ということで朝ごはんを食べ終え、フェンリルの所へ行くことに。
ここから片道丸1日かかるらしい。
本当は明後日出発予定だったが、ミントがいる分で早く出発することになる。
たまたま俺が来たから3人で行くことになったが、本来は2人で行く予定だったらしくかなり危なかった気がする。
「とりあえず、ステータスを教えてもらってもいいですか?あなたをどれくらいの戦力で換算するかを考えるので」
「えーっと、今の俺のステータスですね」
ユージ (22) 種族:人間
HP:302 MP:188 攻撃力:267 防御力:171 素早さ:107
お、HPが300、素早さが100超えてる。
ちょっとだけどちゃんと成長してるのが目に見えるのはいいな。
やる気が出る。
「では私のステータスなのですが…」
「ユージは鑑定持ってるからそのまま見てもらった方が早いよ」
「…どうぞ見てください」
なんかめっちゃ嫌な顔されてる。
そんなに嫌か。
セニー(24) 種族:獣人
HP:171 MP:242 攻撃力:216 防御力:83 素早さ:459
猫の獣人ってだけあってやっぱり俺よりめちゃくちゃ早いな。
まぁその分耐久面が、ってことだろう。
というか俺もしかしてかなり強くなってるのかな。
Cランク行けそう。
「大体はわかりました。とりあえずユージさんが盾になって私とミントはその後ろを着いていくって形で」
俺の扱いが雑すぎる。
いやまぁ俺が先頭なのはそうだろうけど。
ということで俺が戦闘、その後ろにミントとセニーという並びで神獣様…フェンリルの所へ行くことに。
南の方へ行くと鳥居のようなものが見える。
正確にはちょっと鳥居とは違うのだが、まぁ同じ感じだろう。
「この先?」
「そうだよ。私がいるから今から行って明後日の昼頃には着くかな…ごめんね、私足手まといだよね」
「いいのよ。むしろ、ミントがいてくれなきゃ私は行く気起きないし」
フェンリル<ミントなのは多分セニーだけだと思う。
まぁいうて俺もミントが行かないでセニーと2人で行ってきて!って言われたらちょっと迷うかもしれない。
まぁ行くと思うけど。
鳥居のようなものをくぐって出発。
ここには魔物がほとんどいないらしく、そこら辺の心配は特にないらしい。
魔物がいないのはフェンリルが影響しているとの事。
「フェンリルってなんなんだ?」
「なんなんだって…何が?」
「いや、なんか…ほかの…生物?と格が違いそうだけど、なんでそうなったのかなぁって」
魔物って言ったら殺されるだろうから言葉を慎重に選ばないといけないの大変だな。
「神獣様はね、この土地の守り神なの。この世界の歴史って知ってる?」
「戦争が色々あって、500年前に終わったみたいな話か?」
「そうそう。で、この土地は1000年以上前から神獣様に守られてて戦争の影響を受けてないの」
1000年以上前から生きてる魔物。
そりゃSランクレベルになるわけだ。
「あとはモミジ様と力を分け合って世界に結界を張ってるってのも有名な話ですね」
初知りなんだが。
てか世界に結界ッてどんなの張ってんだよ、凄すぎだろ。
「どんな結界なんだ?」
「さぁ、ただ、魔力を感知する系っていうのは聞いてますね。それ以外は分かりませんし、それが本当かも分かりません」
魔力を感知する系…。
この世界の全ての魔力を管理してるとかなのか?
いやだとしたら化け物すぎるだろ。
…化け物か。
ということで日が傾き、野営の準備をすることに。
あと3、4日の旅、魔物がいないとはいえ気を引き締めていこう。




