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56.2度目の分岐点

ベノムスネークに噛まれながら歩くこと2日、大きめの街が見えてきた。


リンソウ。

Sランク冒険者モミジが収めるこのツービスの主要都市であり、獣人が多く生息する都市だ。


街に入ろうとすると、門番に止められる。


「止まれ人間。貴様、一体何の用でここに来た」

「え?いや、モミジって言う人に呼ばれて…」

「貴様のような小汚い人間をモミジ様が呼ぶわけないだろ!失せろ!」


酷い言われようである。

てか、この流れ国境の方でもやったんだからモミジは話通しておけよ。


ということで似たような流れで通してもらうことに。


門をくぐり、中に入るとかなり自然の多い街だと思った。

道の脇には木が生えており、どこを見ても緑がある。


…で、モミジってどこにいるの?

来いって言われたけどわからん。

てか誰か道案内してよ。


そう思いつつも、なんか避けられている気がして誰にも話しかけることができず、ひたすら大きい家を回っていくことに。


というか、木が生い茂りすぎて全く構造がわからん。

どんな感じの構造なんだこの都市は。

とりあえず真ん中のでかい建物に来たが…。


「貴様!ここに何の用だ!」


何故か獣人の兵隊に囲まれている。


「こいつ、腰に武器を携えているぞ!」


そりゃ持ってるだろ。

武器向けてきてるあんたらが言うな。


「…!承知しました…おい人間、ついてこい」

「どこに?」

「いいからついてこい!」


ということでついて行くことに。

大きな建物の中に入るとかなり入り組んだ構造になっているのがわかる。

前を歩く獣人は迷うことなく進んでいく。


「道がわかるのか?」

「黙ってついてこい」


俺嫌われてるな。

俺っていうより、人間が嫌われてるのか?

かなり閉鎖的な感じがするし、この国全体で人間が嫌いなのかもしれない。


「ここだ。ここから先は一人で行け」


ということでめちゃくちゃでっかい扉の前に来た。

扉がゆっくりと開き、中に入っていく。

長い通路を歩いていくと、ひとつの空間に出る。


「ふむ、来たか」


声の方を見れば、人と狐を合わせたような獣人がいた。


「ソナタが次の分岐点か」

「分岐点?というかあなたは…」

「妾の名を聞く前に、するべきことがあるのではないか?」


上から目線だなこいつ。

とはいえ、おそらくSランク冒険者、モミジとは彼女のことだろう。


「ユージです。多分知ってると思いますけど、転生してこの世界に来ました」

「うむ、知っておる。ソナタが弱いこともな」


やかましいなこいつ。

というか俺が自己紹介したんだから自己紹介してくれよ。


「妾はモミジ、この国を治める長であり、Sランク冒険者でもある」


やっぱりSランク冒険者か。

俺になんの話があるんだ。

いや、ジオラスと似たような感じか。


「…弱いな、姿形を見るまではもう少し期待しておったのじゃが…」


なんだこいつ失礼だな。

弱いのは俺がいちばんわかってるわ。


「…俺に何の用ですか?というか、さっきの分岐点って…」

「質問は一度にひとつと教わらなかったのか?」


こいつまじで…。


「ソナタ自身に用はない。用があるとすれば…ソナタの運命に、だ」

「運命?それって…」

「なんでも聞こうとするのは最近の者の悪い癖じゃ、少しは自分で考えるとよい」


こいつ自分で呼び出したくせに…。

というか、分岐点ってなんだよ。

それに、次のって言ってるし。

何か知ってるのかな。


「神の考えることはわからぬな。こうもレベルが低いとなると、妾達が関与すれば変わってしまいそうではあるが…」

「あの、さっきからなんの話しをしてるんですか?」

「あぁ、すまぬ。こちらの話じゃ。で、お主はここに何しに来たんじゃ?」

「旅をしてて、それで知り合いがここにいるので寄っていこうかなぁと」

「知り合いか、名はなんという」

「ミントって言う名前ですね」

「なるほどな。その娘なら南の地に家を構えていたはずじゃ」


なんか親切だな。

マジで何を考えてるかわからない。

何が目的なんだ。


「目的などないに等しい。妾はこの世界の行く末を見る守り人じゃ。ソナタが何を成し得ようと妾には関係ない」


心読めるんかい。

読心か。

いや、まぁ持っててもおかしくはない。

だってこいつも最低でも500歳以上のババアだしな。


「誰がババアじゃ」


聞こえてるんだった。

というか分岐点って何か教えてくださいよ。


「教えたら意味がなかろう。運命を知るものは運命を大きく変えてしまう。ソナタには3つの運命が待っておる。どれに転がろうとも、妾はそれを見守ることしか出来ぬ」


…なんで俺呼ばれたの?

本当になんで?


「…あの娘は、ソナタに禁忌を教えなかったようじゃのう」

「禁忌?」

「なんじゃ、知らんのか。花を食べることは禁忌とみな知っておるぞ」


いや俺異世界転生してきたから知らないって。

てか花を食べるって何?

花って命とイコールなんでしょ?

それを食べるって馬鹿じゃないの?


「その馬鹿が多くおるから禁忌となったんじゃよ」


そうなのか。

というか、なんで禁忌なんだ?

禁忌って言うと試す馬鹿も居そうだけど。


「本来は禁忌と称することで妾の術にかけ、食べないように誘導しておる」


そんなこともできるのか。

てか、その場合この世界全てに催眠のようなものかけてるこの人やばくない?


「最近はそれすらを破っておるものもおるようじゃかの。だからこうして妾はソナタがどちらかを見極めるためにここに呼んだ。本来は結末がわかるはずなのだが…ソナタの場合弱すぎてわからぬ」


酷くない?


「未来はわからぬからのぅ。何も特筆したものを持っていない人間が、世界を揺るがすほどの力を持つ魔王を殺したこともあった」


そんな化け物と俺を比較しないでくれ。

俺が勝てるのはせいぜいDランクレベルの魔物だぞ。


「ソナタが何をし、何を成すのか、妾はずっと見ておるぞ」


…監視してるってことか。

まぁ変なことする気はないし、いいか。

これでジオラスに続いて2人目の監視者がついたと。

もしかして俺今2人のSランクが後ろにいる最強では?


…まぁ監視だから仲間ではないし、変なことしたら消される分怖さの方が勝つが。


てか、まだ聞きたいことあるんだけど。

具体的に何が分岐点なのか、禁忌の理由とは、とにかく聞きたいことがある。


「では、ソナタの辿る運命を、見ておるぞ」


そういうと同時に視界が暗転、気がつけば最初の大きな扉のところに戻っていた。

一体どんな未来が待っているのか、少し怖さはある。

だが、いつかくる運命ならちゃんと受け入れよう。

何が来るかは知らないけれども。

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