50.狡智の罠
朝起きてご飯を食べる。
ダンジョン攻略ということでちょっとドキドキしてる。
ぶっちゃけ俺何もしないだろうけど。
「別にここで待っててもいいのよ?」
と言われたが、1人で待つのは悲しいのでついて行くことに。
魔法剣もまだしっかり使えてないし、しっかり使えればいいな。
「さて、行きましょうか」
ダンジョンに入っていく。
前回攻略したダンジョンは6階層だったが、今回は5階層らしい。
階層が少ないってことは簡単なのか?と思ったが、どうやら違うとの事。
スィートピィの方のダンジョンはそもそも周辺の魔物がそこまで強くないため中の魔物が弱くなる傾向にあるとの事。
そして、今回のダンジョンは火山の深部ということもあり、1階層ではE〜Dランク、2階層ではDランク、3階層ではD〜Cランク、4階層ではCランクレベルとの事。
そして、ボスはBランクくらいと予想しているらしい。
となると俺が力になれるのは2階層くらいか。
まぁ荷物持ちくらいはやるか。
ということで編成だが、ハーデンが先頭でなぎ倒しながら進み、その後ろに俺、1番後ろにベルノという感じだ。
俺を前か後ろにするとそこが穴になるし当然だろう。
ダンジョンに入ればいくつか道が分かれている。
ベルノが手をかざしてそれぞれの道を確認しているみたいだ。
「右端ね。ほかは行き止まり、魔物が溜まってる部屋にでも繋がってそうね」
ということで右端の道へ。
歩いているとカサカサという音が上から聞こえてくる。
どうやらシザービートルのようだ。
こいつらなら俺でも倒せるな。
「ストーンエッジ」
地面に手を触れたベルノがそういうと、岩が飛び出てシザービートルを貫く。
そして、血が地面へと滴る。
…俺の真上で殺す必要あった?
しかも血が結構臭いし…。
「あら、ごめんなさいね」
「…ハーデンタオル持ってない?」
「あるぞ、使ってくれ…」
渡してもらったタオルで血を拭き取る。
まじで後で覚えてろよ。
そう思いながら先に進む。
「いるな、擬態してる」
そういわれ、鑑定をしてみる。
ラージュロック
HP:127 MP:184 攻撃力:133 防御力:97 素早さ:110
ラージュロック…岩に擬態しているのか。
といってもどこにいるか分からないな。
「お嬢様、ちょっと下がっててください」
そういうとハーデンは大きく剣を振り上げ、壁一面に振り下ろす。
それにより崩れた瓦礫がラージュロックを殺したのか、岩の隙間から血が流れでている。
「さ、行きましょ」
こいつら怖すぎるだろ。
ということで2階層。
またもや道がわかれている。
進もうとして足を踏み出すと、首根っこをハーデンに掴まれる。
そして持ち上げられ、後ろに戻される。
先頭ハーデンの順番を崩すなってことか?
「ここからトラップがあったりするから、むやみに先に行こうとしないで」
なるほどそういうことか。
そういえば最初のダンジョンでもトラップがあったな。
あの時はフロストが見つけて介助とかしてくれたんだっけ。
「ウォーターウェイブ」
「ウィンドトルネイド」
ハーデンの水属性の魔法とベルノの風属性の魔法がダンジョンに放たれる。
水の波が全てのトラップを作動させ、さらに奥へと風が押し進める。
それによりトラップが作動しないようになるという荒業だ。
「これって下に水が入って攻略できなくなるんじゃないか?」
「問題ないわ。地面とかに吸収されたり、そもそも洞窟自体を埋めるほどの量の水を出すのなんて不可能だもの。もっとも、魔法使いならできるかもだけどね」
魔法使い?と思ったが、Sランクの人か。
たしかにダンジョン全体を水に沈めるのなんてSランクレベルじゃないと無理か。
ということで先に進むことに。
水に押し流されて奥に魔物がいっているのか序盤は特に魔物がいない。
と思っていたら早速何かが近づいてきている。
…めちゃくちゃ数いない?
ラバーピード
HP:423 MP:101 攻撃力:339 防御力:408 素早さ:371
十数匹前後のムカデの軍がこちらに向かってきている。
どうやら水に押し流され、その方角に一直線に向かってきているようだ。
てかCランクレベルじゃん!
俺こいつにステータスぼろ負けしてるんだって!
「ウィンドカッター」
風の鎌が魔物達を斬り裂いていく。
一直線の道では避けることができないため、ほとんどの魔物が喰らっている。
ハーデンが撃ち漏らしに向かって剣を振り下ろし、突き刺す。
ただ、一体だけ抜けてしまったようだ。
ここは俺の出番!
「ファイアアロー!」
弓を構えるようにして火の矢を穿つ。
十分にためることができたため、かなり手応えを感じる。
火の矢はラバーピードの先のウィンドカッターで傷ついていた箇所に上手く当たり、突き刺さる。
どうやら倒せたらしい。
「今の、狙ったのか?」
「え?何が?」
「装甲が欠けてる場所を狙ったのか?という意味だ。お前の魔法じゃラバーピードは倒せないからな」
酷い、まぁそうだろうけど。
「運が良かっただけだ。数撃てば当たるのがたまたま今だったってことだよ」
「運がいいのはいいことだ。それも実力のうちだからな」
そういうと再び前に進む。
ハーデンは結構俺への評価が高い気がする。
アブソージックと戦った時もなんか評価してくれてたし。
まぁ過大評価感は否めないが。
3階層までの道のりではラバーピードが主に出てきた。
こいつってCランクの魔物じゃないのか?
2階層にこいつしかいないのはかなり違和感なんだが。
「なぁ、ちょっとおかしくないか?」
「何が?」
「2階層って本来Dランクくらいの魔物が多いんだろ?ラバーピードってCランクじゃないのか?」
そういうと2人は少し考え込む。
「たしかに、ユージの言う通りだ」
「そうね…可能性としてはボスが強い、もしくは下に更に強い魔物が集まってるって感じかしら」
ボスが強いとなると、Bランクよりも強いAランクレベルになるのか?
下に強い魔物が集まってるってなると俺足手まといだしどちらにしろ行きたくねぇな…。
「お嬢様、どうします?」
「そうね…引き返しましょう。ユージもいるし、何より命最優先だわ」
ありがてぇ。
そうしてくれるとザコの俺が助かる。
ということでダンジョンを引き返すことに。
「いいのか?せっかくのダンジョンなのに」
「いいのよ。Aランクレベルのダンジョンだとしたら全滅で終わり、そうなったら攻略どうこうとか言ってる場合じゃないでしょ?」
たしかに。
そこら辺の引き際を理解してるの偉いな。
「またダンジョン探しからですね」
「そうね。ユージはもちろん手伝ってくれるわよね?」
「本当に俺必要か?」
そんな感じで雑談しながら1階層まで戻ってきた。
あとはダンジョンを出るだけ、それだけのはずだった。
「…!踏むな!ユージ!」
来てきた道を戻ってたはずだった。
それなのに、道が変わっていたらしい。
変動型ダンジョン。
ダンジョンマスターが自由にダンジョンを組み替えることができる。
俺は、転移トラップを踏んでしまった。




