49.再会とダンジョン
ベルノを起こすのをハーデンに押し付け、先に朝ごはんを食べて待機する。
昨日のアブソージックの肉らしきものがあったが普通に美味しかった。
アブソージック自体は血に毒があるらしく、血抜きした時にでた血を瓶に詰めていたらしい。
それを机に置かれていたからちょっと怖かった。
間違えて飲んだらどうするんだ。
何かが岩肌にぶつかる音がしたあと、魔法で吹っ飛ばされたであろうハーデンと魔法で吹っ飛ばしたであろうベルノが起きてきた。
いつもの事なのだろうか、特に何事もなく歩いてくる。
「だ、大丈夫か…?」
「私のハーデンよ?大丈夫に決まってるじゃない」
しょんぼりとしてるハーデンの顔が印象に残る。
まぁ大丈夫だろう。
ベルノもそう言ってるし。
用意されたご飯を食べ終え、先に野営道具を片付けておく。
2人が食べ終わり、荷物も片付けたので出発することに。
「この辺、紅竜の生息域なんだよな?」
「そうだな、まぁ心配するな。最悪全力で逃げればなんとかなる」
やっぱり戦闘はしない方針なのか。
リサとルヒターのステータス見せてもらえばよかったな。
あの2人が足止めできるレベルっぽいしその基準を知っておきたかった。
その後もハーデンが魔物を処理しつつ先に進む。
しばらく歩いているとベルノが立ち止まり、足を止める。
「…まずいわね」
「何が?」
「来てる、アレが」
ベルノがそう言った十数秒後、黒い影が俺たち3人を覆う。
それはあの時見た空の支配者を彷彿とさせるものだった。
「紅竜!お嬢様、ユージ、逃げるぞ!」
紅竜はこちらに気がついているようで、大きな翼を羽ばたかせながら下へと降りてくる。
そして、少し離れたところに降り立つ。
…あれ、この紅竜…もしかしてあの時の紅竜じゃないか?
ファンレンに誘拐されたあと、ホタルが足止めしていたあの。
ゆっくりと紅竜に近づいていく。
「ユージ!何してる!逃げるぞ!」
ハーデンはそう止めるが、紅竜に敵対する意思は無さそうだ。
だから、ここは友好的に行くべきだと思う。
「お母さんとは会えたか?」
そう聞けば、紅竜はグルルと鳴き、鼻をこちらに擦り寄せてくる。
あの時ジオラスが仲裁に入って何とかしてくれたのか。
てか、俺のこと覚えてくれてるのか。
この子的には自分を支配してた人間を倒してくれたって認識なのかな。
「ここ通りたいんだが…大丈夫か?」
紅竜の子供はいいよといったふうに鳴き返し、そのまま火山の上へと飛んで行った。
「…あんた何者なのよ…」
「この前会ったことのある紅竜だったからこうなっただけだよ。違う個体だったら食われて死んでた」
「…何はともあれ、通っていいらしいな。先に進もう」
先に進みながらベルノに先の紅竜について聞かれまくる。
とりあえず軽く答えるが、紅竜はやはりバカ強いらしく、そんなのと意思疎通をしたものだから驚かれているらしい。
それが特にDランクのザコとなるとさらに驚きなのだとか。
誰がザコやねん。
「紅竜は比較的知性が高い魔物だ。話が通じる…とは言わないが、恩を覚えていることはあるだろうな」
そもそも魔物と共存とかあんま考えなかったけど、そりゃ理性があるなら共存の道もあるよな。
ジオラスが全ての生物の共存を望んでたり、こういう道もあるのか。
上手くやれば魔物を操るテイマーみたいになるのか?
ここを通る上で1番の懸念点であった紅竜はとりあえず大丈夫になった。
ということで安心して進むことに。
そもそも紅竜の生息域ということもあり魔物の数もかなり少ない。
…はずなのだが、何故か魔物が多い気がする。
とはいえハーデンがほぼ1人で対処できるレベルだからそこまでなのか?
「…多いな」
「多いわね。これってそういうことよね?」
「どういうことだ?」
魔物が多いことに何かが関係あるのか?
あ、もしかして…。
「ダンジョンがある可能性が高い」
なるほどな。
魔物が集まって、その中の最も強い個体がダンジョンマスターになる。
それ以外がダンジョンに集まって行く手を阻むといった感じで、ダンジョンに入れなかった魔物たちがこちらに溢れているということか。
「とりあえず、魔物が多い方に進んで行こう」
しばらく進んで行くと、魔物の数が一気に少なくなった。
そして、洞穴のようなものが見える。
「あれがダンジョンだな」
ダンジョンの入口を見るのは2度目だが、どう見ても今回の方が禍々しい。
あれか、前回のは整備されてて、今回は手付かずの自然生成そのままだからか?
「じゃあここで野営して、明日攻略しましょうか」
「今日行かないの?」
「疲れてる状態で3人で攻略なんて出来るわけないでしょ?本来ダンジョン攻略って大人数でやるものだし」
たしかに。
てか3人って言ってるけど、ぶっちゃけ俺いていないようなものだろ。
2人で攻略ってできるのか?
「とりあえずちょっと見てくるか、ハーデンと一緒に野営用意してて」
そういうとベルノは入口のほうへと行ってしまった。
魔力探知が極まっていくとある程度ダンジョンの構造がわかるらしい。
「ダンジョンってどれくらい難しいんだ?」
「俺とお嬢様の2人ならBランクレベルがボスのダンジョンなら2人で攻略もできなくは無い。まぁAランクレベルがボスだとほぼ不可能だがな」
「てことはAランクレベルの場合は引き返す、Bランクレベル以下なら攻略するってことでいいんだな」
「そういうことだ」
本来はシーフなどが先に見てある程度の構造を見るらしいが、今回はいないのでベルノがパッと見てそれで判断するらしい。
基本はBランクレベルがボスのダンジョンが多いらしいのでそこまで心配することはないとの事。
むしろお前は自分の心配をしろと言われてしまった。
まぁ武器込みでDランクの魔物を1対1で倒せるくらいだから当然か。
「確認してきたけど、強くてもBランクレベルがボスってところね」
「なら、明日攻略して下山、その後闇市に行って逃げましょうか」
逃げるところは聞かないようにして、今日はゆっくり休むことに。
明日はダンジョン攻略。
足を引っ張らないように頑張ろう。




