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46.我が命、主のために

岩に直接座るハーデンの横に座る。

なんて話しかけるか考えているとハーデンの方から話しかけてきた。


「ユージも寝たかったら寝てもいいぞ。見張りは俺がしてる」

「そうなるとハーデンは休めなくないか?」

「スキル不眠があるんだ。ジュシーム家に仕える者で、特に護衛や騎士はだいたい相伝で持ってる」


スキル不眠。

身体に必要な睡眠という行為が不要になる。

また、寝ようとしても寝れないスキルでもあるらしい。

強いスキルであると同時に悲惨なスキルでもあるな。

常時発動系らしく、人によっては精神を病むこともあるらしい。


「ベルノが寝てる間ずっとひとりで起きてるのか?」

「それが俺の役割だ」

「辛くは無いのか?」

「役割に辛いなどという感情はない。お嬢様の役に立てている、それだけでいい」


どこか嬉しそうな顔をしているようにも見えるし、悲しそうな顔をしているようにも見える。

てか、忠誠心がすごいな。

私のために死んでとか言われたら余裕で自害しそうなレベルだな。


「で、お前は寝ないのか?」

「道中ずっと話せなかったし、ちょっと話しておこうかなって。一緒のパーティなんだし互いのこと知ってた方がいいと思ってさ」


一応本音ではあるが、どうだろうか。

そもそも会話が好きではないタイプの可能性もあるが…。


「聞きたいことがあるなら聞け。追われている理由以外なら教えてやる」


どうやら会話が嫌いなタイプではないらしい。

眠さはあるし、少し話したら寝るとするか。


「ハーデンはいつからベルノに仕えてるんだ?」

「お嬢様が生まれた時からだ。元々12の時からジュシーム家で働いて、お嬢様が生まれて専属で仕えるようになった。旦那様は兄代わりとして俺を仕えさせたんだろう」


ジュシーム家はそこそこ大きな貴族らしい。

そこに仕える騎士や料理人の家系もあるレベル。

そう考えるとかなりでかい気がする。

騎士の家系で貴族のカナリア家もあるし、それよりは確実に上の位だろうしな。


「仕えるって何するんだ?遊び相手とか勉強教えたりとかか?」

「主に護衛だな。勉強は専属がいるし、遊びも幼い時は俺ではなくエルフィ様がいたからな」

「エルフィってどちら様?」

「お嬢様の姉君だ」


お姉さんがいるのか。

次女ってワガママな性格になるのか?

なんか落ち着いてるイメージとかあるけど、ベルノにそんな感じしないしな。


「そうなったら護衛って何するんだ?」

「そのままだ。お嬢様を護る、それだけだ」

「それは死んでもってことか?」

「もちろんだ。俺の命のひとつ程度でお嬢様を護れるなら喜んで差し出す」


まじですごい忠誠心だな。

主君に全てを捧げてるって感じがする。


もうちょいエルフィについてやベルノの両親についても聞いておこうかと思ったが…。


「これ以上は話さん」


と言われてしまった。

これ以上は踏み込むなってことか。

まぁ眠くなってきたし特になければ寝るか。


「じゃあ次は俺の話か、何か聞きたいことあるか?」

「お嬢様と話していたことは全て聞いた。特にないし、明日に備えて寝ておけ」

「じゃあ寝ることにするか。おやすみ」


特に返事もなく、さっさと寝ろといった感じ。

もう少し仲良くなっておきたかったが、まぁベルノとの会話は聞いてるみたいだし、明日ベルノに聞いてみるか。


ということで朝、小鳥のさえずりはなく、誰かに起こされることも無いままゆっくりと起きる。

どうやらまだベルノは寝ているらしい。


「おはよう、なんか手伝うことある?」


既に朝食の用意を始めているハーデンに挨拶をし、やることがないかを聞く。

ぶっちゃけなんでもやってくれるおかげでやることが無さそうだが。


「もうすぐご飯ができるから、顔を洗う用の水を用意してお嬢様のところに運んであげて欲しい。多分まだ寝てると思うから起こしてくれると助かる」


そう言いながらそそくさと料理に移っていった。


嫌な予感しかしない。

今のところ寝相が悪い女性しか見たことないんだけど俺。

特にリアーシとか寝起きの機嫌終わってたからな。


そう思いつつもご飯を用意してもらっているので起こすのはやるかと思いテントに近づく。

まだ寝ているらしく寝息が聞こえてくる。


「ベルノー、ハーデンが起きろってー」


…返事がない。

中を見てもいいのだろうか。


「おーい、あげるぞー」


テントをあけ、中を見る。

パッと見た感じ寝相は悪くない。

心配して損したと思い、体を揺さぶって起こしてみることに。


「おーい、水持ってきたからさっさと起きて顔洗えー」

「…うるさい…まだ眠い…」


あと5分タイプか。

めんどくさすぎる。

とはいえ起こした方がいいだろう。


「おーい、起きないと水ぶっかけるぞー」

「うるさい…」

「朝飯できてるぞー、さっさと起きろー」

「うるさいって言ってるでしょ…」

「おーい…」


更に言おうとしたとき、魔法が頬をかすめる。

一瞬の出来事すぎて反応できなかったが、どうやらベルノが放った魔法らしい。


終わった、クソみたいに寝相が悪いタイプだ。

寝ぼけて魔法撃つとか俺死ぬって。

…だからハーデンのやつ俺に起こさせに来たのかよ!


文句垂れようとしたが、魔法を1回使ったことで目が覚めたらしい。


「あれ、ハーデンじゃないのね。水ありがと、着替えたら行くからさっさと出てって」


ホンマにこいつに仕えるのでいいんかハーデンは。

下手したら俺死んでたからな。


そう思いながら外に出る。

ハーデンの方を見れば一瞬目があったあと逸らされてしまった。


やっぱこいつわかってやりやがったな…。


何か言ってやろうと近づいたが、朝飯が美味そうだったので今回は水に流すことにした。

今回だけだぞ!


朝飯を食べてテントを片付ける。

と言っても2つともハーデンがやってくれた。

本当にこの人便利すぎる。


「ねぇ、昨日何話してなの?」

「昨日?あぁ、夜ハーデンと話してたことか?普通にハーデンについて少し聞いただけ。なんで?」

「何話したのかなーって気になっただけよ。それに、変なこと言ってないか心配になっただけよ」


変なこと…。

特に何も無いな。


「スキル不眠についてといつからベルノに仕えてるのか。あとは姉がいるってのは聞いたな」

「変なことは言ってないけど、余計なことは言ってるみたいね」


チラッとハーデンの方を見るが、ちゃんと聞いているらしくバツが悪そうに顔を逸らしている。

姉がいるって情報が余計な事なのかな。

よくわからないが、深くは聞かないでおこう。


「用意ができたので行きましょう」


ということで再び歩みを進めることに。

ダンジョンを探しつつということなのでかなりジグザグに歩いている気がする。

本来真っ直ぐに行けば2日程度で火山地帯を抜けられるらしいが、今回は深部…頂上の方まで行くとの事で5日は最低でもかかるらしい。


最低でもあと4日、変な事聞いて命狙われたりしないように頑張らないとな。

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