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41.転生者の役割、貴族の役割

パーティーも徐々に終わりが近づき、既に帰り始めてる人もいる。

俺も帰ってよかったが、ジオラスから話があるということで残っている。


「すまない、他の者と話していて遅れた」


かなり疲れた様子のジオラスがこちらにやってくる。

パーティーに慣れていないのだろうか。

まぁ俺もめちゃくちゃ疲れてるけど。


「大丈夫ですよ。それよりなんで俺だけ話があるんですか?勲章を贈られた人の中にはもう帰ってる人もいますし…」

「それについても話そう」


最初に感謝された。

そもそもの話、ワイバーンとそれを制御する盗賊の報告が今回の件を発覚させるきっかけになったらしい。

それに加え、スラムで紅竜を見つけた。

それもかなり大きい成果だった。

そして、ファンレンの居場所を突き止めた。

勝ち負けや実力不足は関係なく、やったことに対して感謝をしたいとの事。


そして次の話。

それは、転生者についてだった。


「我は1000年より長い時を生きている。が、貴殿のような別世界の者を見たことがあるか、と聞かれれば答えは否。それだけイレギュラーなことなのだ」


異世界転生。

神様が死人を異界の地へと送ること。

長くこの世界で生きていたジオラスでも初めてみる現象とのこと。


…俺転生者だって伝えたっけ?

まぁジオラスはSランクの冒険者だし今更気にしても無駄か。


ちなみにこの世界での神の認識的には、これにも何か意図があるらしい。

神の天啓が降り、勇者が生まれるように。


でも俺なんもチートスキルないんだよな。

あの神の意図とかなんもわからん。

今回のこれか?と思ったけどぶっちゃけ俺がいなくてもジオラスがいれば何とかなったくね?とは思う。

ジオラスなら紅竜2体とか余裕で制圧しそうだし。


この前の紅竜を最終的に落ち着かせたのはジオラスらしい。

あれほどブチ切れてそうな紅竜を宥めるのはやばい。


「貴殿がこの世界に来たのには意味がある。我はそう思っている。その反面、別世界の者ということが貴殿の重みになることだろう」


別世界の者とは別世界の知識を持つ者と同義だ。

その知識を悪用したがる人も少なからずいる。

もし仮にこの世界に来た理由があるのであれば、それを成し遂げる前に死んだら終わりだしな。


「貴殿が何を為すか、我は見守るとしよう」


ジオラスの話をまとめると…。


一、今回の件頑張ってくれて感謝

二、転生者ってなにか役割ありそうだよね

三、君が何するか見てるからガンバ


ということらしい。

最後に関しては見守るのか監視をしてるのかわからないが、変なことするなよってことなのかな。

まぁそれぐらいの距離感がいちばんありがたい。


「では、我はそろそろ行かなくては。貴殿と話せてよかった。またいつか、機会があればゆっくり話そう」


そういうとジオラスは他の場所へといってしまった。


なんか話のスケールがかなりでかくなってきたな。

俺が異世界転生した理由。

そういうものかなって納得して考えたことは無かったけど、もしかしたら理由があるのかもしれないな。

だとしたらなんでこんな弱いんだよ。

チートスキルの1つや2つくらいくれよケチくさい。


ということでやることが無くなったし帰るか。

帰る時も相方と一緒の方がいいのかな。


そんなことを考えているとルビアに声をかけられる。


「もう帰るんですか?」

「ルビアか。まぁそうだな、元々用事は勲章を受け取るのと、ジオラスさんと話すの2つだったからな」

「なら、ちょっとお話しませんか?」


ルビアとたわいもない話をした。

魔法学校での生活についてだったり、今まで請けた依頼についてだったり。


「私、本当はフロスト兄さんと一緒に旅に行きたかったんです。だけど両親に止められて…結局ここに残って魔法学校に通うことになりました」


才能があった。

それ自体は喜ばしいことだ。

ただ、その才能が自分をこの地に縛り付けてしまったらしい。


フロストと文通をしていて、旅の話を聞いていたりしているうちに冒険者というものにも興味が湧いてきたらしい。

それで魔法学校に通いながら冒険者として頑張っている。

最も今回の件で冒険者活動にちょっと制限をされてしまったらしいが。


ということでフロストとの思い出を話した

…と言ってもあんまり長くいた訳では無いが。

フロストが実家から追い出されたことは話さなかったが、それでも楽しそうに聞いていた。

本当に兄のことが好きなのだな。


そして、今までの旅路のことも話した。

あまり長くは無いが、かなり内容の濃い話ができた気がする。


「やっぱり、旅は楽しそうですね」


悲しそうな声が印象に残る。

ここでルビアも旅に出ればいいと言うのは簡単だ。

だが、そんな簡単な話じゃないだろう。


「ルビアは後悔してるのか?」

「え?後悔…ですか?」

「気づいてるだろ?フロストのこと」


しばらくの沈黙。

踏み込みすぎたか?と思ったが、ちゃんと話して、吐き出させるべきかとも思った。

お節介だったら申し訳なさすぎるが。


「私は…後悔、してるのかもしれませんね」


フロストが家で除け者にされていたこと。

本当は旅に出たのではなく、追い出されたこと。

それを悟られないように、手紙では明るく振舞っていたこと。

ルビアはそれを、わかっている。

本来あるべき立場は逆だったのかもしれない。


ルビアは旅をすることを望んでいる。

多分、それは本当だろう。

それでもいつか当主にならないといけないという親からの圧。

それに答えないといけないと思っているのだろう。


フロストは現状に不満が無さそうではあった。

ただ、家で普通の人、普通の子供として接してもらって、期待されて、いつか当主になることを望んでいたかもしれない。

こちらは推測になってしまうがな。


「やりたいことをやるべきだと思うよ」


背中を押す一言になるのか、無責任な言葉になるのかは分からない。

決めるのはルビア自身だ。


「私は…」

「ユージ、そろそろ戻るぞ」


ルビアが何かを言う前に、ホタルの言葉に遮られる。

結構夜も老けてきたしいい頃合いか。


「しっかり考えて、自分の納得のいくようにした方がいい。5歳しか歳変わらないけど、一応人生の先輩からのアドバイスってことで」


転生前の後悔。

もっと家族と過ごしていれば。

もっと友達と遊んでいれば。

もっとやりたいことをやっていれば。

後悔は尽きない。

だから生きているうちに、やりたいことをやるべきだ。


そう伝えた後、カナリア家の3人と一緒に会場を後にする。

結構酔っているリサをルヒターが介護する形になっているのが面白い。

いつも苦労してるなこの人は。


「すまないホタル。先に戻ってる」

「わかりました父上、ユージを宿屋に送り届けたら私も帰宅します」


そういうとルヒターはリサを抱えたままとぼとぼと帰って行った。


ということで宿屋まで送ってもらうことに。

普通は俺が送る側なんだろうが、ステータスもぼろ負けしているし、相手が聖騎士団員ということでこうなっている。

俺は情けない。


「ユージはいつゼファーノスを出発するんだ?」

「あー、宿代が明日まで無料らしいから、明後日には出ようかな」

「そうか、ならちゃんとルビアと話すべきだな」

「そうするよ。送ってくれてありがとう。おやすみ」

「あぁ、おやすみ」


そういうとホタルは帰って行った。


慣れないことでだいぶ疲れたな。

今日はゆっくり休んで、明日買い出しして明後日出発しよう。

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