4. 初!ゴブリン討伐依頼
適正チェックを終えた俺はエルダの提案でゴブリンの討伐依頼を受けることにした。
エルダ曰く「お前ならゴブリンくらいどうってこと無いだろ!」とのこと。
まあ、強さの指標としてもゴブリンは成人男性なら勝てるレベルでしか無いので、安心しても良さそう。
いざとなったら駆けつけてきてくれるらしい。
心強いな。
それと、ゴブリンの群れには注意しろとのこと。
いくらゴブリンといえど、数が多ければそこそこの冒険者でも苦戦する。
ゴブリンの群れと出会ったら無理に戦いに行かずに逃げろってことだ。
まあそこらへんも弁えているつもりだ。
転生者なのに特別な能力がこれといってあるわけじゃないただの冒険者となっている。
花の件もあるし慎重にいかないと一瞬で第二の人生すら終えることとなる。
そうなるのは御免だ。
と、いろんなことを考えてるうちに街の外に出た。
討伐を依頼されてるのはこのあたりにたまにいるゴブリン。
魔物の巣から出てきているゴブリンを一匹倒せば依頼達成だが、別に何匹倒してもいいらしい。
素材の分報酬も上乗せされる。
まあ今回は一匹でいいだろう。
あくまで戦闘の練習として受けさせてもらってるものだ。
無理して報酬を狙わなくたっていいだろう。
…そうだ、俺には魔法の適性があったんだ。
火と水って言われたか…試してみるか…。
そう思っては見たものの、肝心な呪文を知らない。
他の人が使ってるところも見たこと無いしな…うーん。
生活魔法のウォーターなら使えたが、やっぱり戦闘となると攻撃できたほうがいいよな…。
ファイアとかやってみるか…?
「ファイア!」
勢いよく唱えてみた。
するとあたり一面火の海に…なんてことはなく、地面が小さく燃えていた。
料理ができるくらいの規模だ。
うん、生活魔法だ。呪文も知らないんじゃ、使えるはず無いよな。
あとで誰かに教えてもらおう。そう心に決めた。
街の外に出て、ゴブリンを探すこと数分が経った。
全く見つからない…
まあよく考えてみれば当たり前のことなのだ。
基本的にゴブリンは群れで行動するし、人の街の近くまで行くような魔物じゃない。
単独行動してるのは群れを追い出された可哀想なやつだけだ。
魔物に可哀想って言っていいのかわからないが…
そして更に数分後…
ようやくゴブリンらしき魔物を見つけた。
ギルドで見せてもらった姿と遜色ないように思える。
そして、群れてもいない単独行動のやつだ。
俺はゴブリンの背後にひっそりと近づき、大きく剣を振りかぶった。
ザシュッ…
ゴブリンは俺に気づくことなく真っ二つに斬られていた。
思ってるより柔らかい感触だし、人型の魔物を斬ったってことで少し気持ち悪かったが、まあいずれ慣れるだろう。
それにしてもこの剣の切れ味結構いいな…あの森に落ちてたから使ってるだけだが、もしかして神がそこそこいい感じの剣を用意してくれたとか?
ギルドに戻ったら鑑定してもらおう。
俺は、ゴブリンの死体から魔石や使えそうな素材などを回収してその場を離れた。
そしてそのまま街へ向かった。道中も油断ならない。
ゴブリンを探すために結構な距離を歩き回ったので、その分街に戻るのも大変だし、途中で魔物に会う可能性だってある。
家に帰るまでが遠足みたいなものだろう。
無事に街に戻るまでが依頼なのだ。
まあそんな俺の心配はどうやらいらなかったらしく、そのまま何事もなく街まで戻れた。
冒険者ギルドに行くとエルダが元気よく出迎えてくれた。
「おお!無事だったか!安心したぞ!」
「ちゃんと倒して来ましたよエルダさん」
と、ゴブリンの素材を見せるとエルダは「やるじゃねえか!」と俺の背中を強く叩いた。
褒めてくれてるのはわかるが少し痛い。
ギルドの受付に討伐の報告とゴブリンの素材を渡した。
依頼は無事達成、報酬に関しては銀貨一枚とのこと。
まあ時間こそかかったが、あの程度の依頼でこれくらいもらえるのは結構ありがたいな。
っと、そうだ。
剣の鑑定をしてほしいんだった。
「この剣森で拾ったんですけど、鑑定してもらえませんか?」
と、受付に言ったら「かしこまりました!」と言って奥の部屋にはいっていった。
数十秒程度で受付の人は戻ってきた。
結果はどうだろう。めっちゃ強い魔剣とかであってくれ!
いや、そうじゃなくても結構良い材質の剣ならいい!
そしたら神に感謝する!
そして受付からの返答は…
「鉄の剣ですね」
…いや、まだこの世界では鉄が貴重な可能性もある。
うん。
「この街でも同じものを売ってますよ!銀貨1枚です!」
市販だった。
それに、今回のゴブリン討伐で買える程度の金額。
やっぱり神は優しくない。
いや、銀貨一枚分は浮いてるし、ぜんぜん使える武器だけど…
やっぱ異世界転生って強い武器とか期待しちゃうよな…これが現実だけどな!
まあ無料でもらったようなものなので文句はそこまでにしておこう。
とりあえず今日は疲れたし、少し休憩でもしよう。
僕のことを気に入ったのか、エルダはオススメの料理屋を紹介してくれた。
しかも奢りだってさ、気前良すぎだよな。
エルダが頼んだものは獣肉のステーキ。
俺は、自由に選んでいいとは言われたがエルダに強く勧められたので同じモノを頼んだ。
異世界初の料理屋、しかもガッツリと肉料理。
宿屋の朝食も質素ながらも美味しかったが、こういう料理も異世界の醍醐味だろう。
頼んだ料理は現実で見たものよりもずっと美味しそうに見えた。
エルダは大きなプレートに乗ったステーキを豪快に手づかみで口に運んでいた。
まぁ、漢らしいけどちょっと衛生的に気になる部分はある。
あんなふうに豪快に食べてみたいと思いながらも俺は一緒に届いたナイフとフォークでしっかり食べることにした。
獣肉というのは現実で食べる牛や豚の肉などと違い、とっても身が引き締まっている。
歯ごたえ抜群だし肉汁もステーキの断面から溢れ出ている。
白米があったら一緒に食べたかったんだがな。
まあ仕方ないか。あっと言う間に完食してしまっていた。
「どうだ!美味かっただろ!」
「美味しかったです!」
満足に食事を終えた俺とエルダはそのまま代金を支払って食事屋を後にした。




