34.見える脅威と見えない脅威
ご飯を食べ終え、スラムに向かう。
道中ちょっとしたご飯や衣服などを買っていく。
そしてスラムに入り、家に向かう途中、昨日見た騎士がいた。
「ホタルさん!こんにちは!」
ルビアが駆け寄り、挨拶をしている。
どうやらまじで見回りをしてくれているとの事。
これで俺の見間違いだったらやばいな。
「母上に相談したが、現状の情報だけだと聖騎士団を動かすことはできないらしい。まぁ当然だろう。父上は…まぁ動かないだろう」
お父さんへの負の信頼がすごいな。
まぁあのギルドマスターだとそうなるか。
「ただ、成果はあった。どうやらこのスラムにいるチンピラ共が何かを企んでいる可能性が高い。こちらも確定情報ではないがな」
それに紅竜も関わっている可能性が高いと。
ただそうなるとホタル1人で捜査するのもかなり危険な気がするな。
「明日からは3人で捜査しませんか?ホタルさん1人だと心配ですし…」
うん、俺もそれ言おうと思った。
「何度も言うが、スラム自体が危険なものだ。ユージはともかく、アキシア家の令嬢である君なら尚更だ」
俺はともかくまじか。
いやまぁ成人男性の一般冒険者だけどさ。
俺Dランクだからね?
俺のことも心配して欲しいな。
「それでもです。断られるなら私はユージさんと2人で捜査します」
「え、俺?」
「ダメ…ですか?」
そんな上目遣いで聞かないでくれ。
それに断れる男はいないんだって。
「…わかった、明日から3人でだ」
「はい!」
ということで明日の予定が決まってしまった。
まぁ元々予定なかったしなんでもいいが。
そんなこんなで昨日の家に着いた。
子供たちに買ってきたものを渡し、軽く雑談をする。
その姿はいつ死ぬかわからない子供の姿とは思えなかった。
日が傾き始め、そろそろ戻ることに。
スラム自体の治安は当然悪いのだが、夜はさらに悪くなるらしい。
「ホタルさんは信じてくれてるんですか?」
紅竜がいる、そんなことを言われても本来信じられないだろう。
見間違いの可能性もある。
それなのに信じて探すのは俺にはできない。
「可能性の話だ。もしいるなら注意しなければならない。いないのであればそれでいい。君が嘘を言う理由もないしな」
人ができてるな。
ちなみにホタルは俺より2歳年下である。
おかしい、俺のほうが年上なのに。
「テメェ!ふざけんじゃねぇぞ!」
少し離れたところから罵声が聞こえる。
何事かと3人で向かうと数名の男性たちが一触即発の状態で睨み合っていた。
すると、1人の男が睨み合っていた男を殴り飛ばし、乱闘が始まる。
今回は子供が巻き込まれてる訳じゃないし行きたくねぇな。
「全員、動くな」
ホタルが威圧を使い、全員を抑制する。
俺も動けないの何とかしてくれないか?
しかし、耐性があるものがいたのか1人止まらないものがいた。
止まらなかった男がホタル目掛けて拳を振り下ろす。
ホタルはそれを避けずに額で受け止める。
「動くなと言ったはずだが?」
「なっ…こいつ…」
いやビクともしねぇの強すぎるだろ。
これもなにかスキルを使ってたりするのか?
額で受け止めた拳をそのまま腕で握る。
男は悲鳴をあげながら地面に伏した。
そのままホタルは男を蹴り飛ばす。
「テメェ…聖騎士団だろ…ハッ!せいぜいあと少しの玉座を楽しんでおくんだな!」
そう捨て台詞を吐いてどこかに行ってしまった。
玉座…どういうことだ?
このゼファーノスでは聖騎士団の権力が強いってことか?
なんにせよ嫌な予感がする。
「今のは…」
「なにか企んでそうな感じだったな」
少し悩んだ末にホタルは口を開く。
「今日は解散して明日また捜査をしよう」
「それがいいと思います」
ということで解散することに。
明らかにスラムの様子がおかしいので一応武器を調達することに。
モーラスの鍛冶屋に行ってみたが店は開いていなかった。
ガチでやってくれてるんだろうな。
武器屋に来て武器を探す。
魔法剣とは違った運用ができる剣にするか。
ということで3択。
両手剣。
めちゃくちゃデカいが持てなくはない。
値段はかなり良心的だが重い。
片手剣。
片手で持てる剣だが、しっかりした重さはある。
魔法付与等をするとすぐ壊れるらしいので注意。
短剣。
片手剣よりも短い剣。
取り回しもしやすく投げナイフとしても使える。
ということで買ったのが…。
片手剣!
正直両手剣を買うと魔法が使えないし、短剣はちょっと短すぎて心持たない。
魔法剣が帰ってきたらこっちは魔物の素材を剥ぐ用にしよう。
宿屋に戻り昨日同様にイカつい兄ちゃんにご飯を渡してもらう。
それを食べ、明日に向けて寝ることにする。
明日は嫌な予感がする。
無事に1日を過ごせればいいが。




