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32.ノーフラワー

依頼場所から少し歩くと家が密集している場所に出た。

家と言っても普通の家ではない。

かなりボロく、日本では見ることがほとんどできないような感じの家だ。


その家の隙間から何かがこちらを見ている。


そして、家の中から小さな子供が出てくる。


「…ルビアお姉ちゃん…?」

「ネモちゃん、こんにちは。これおすそ分け」


ルビアは家から出てきた小さな子供と話し始める。

これを見て理解した。

ルビアがスラムに来ている理由を。


「ドニスくんはいる?」

「…兄ちゃん帰ってこなくて…」

「そうなのね、私が探してくるから他の子達と分け合ってこれ食べてね」


子供に袋を渡し、こちらに戻ってくる。

家の中にも数名の子供がいるようで、この子達へご飯を渡しに来ていたのだろう。


「すみません、ちょっと用事ができてしまって。もしあれなら、先にギルドに行ってもらっても全然構いませんよ」

「いや、付き合うよ。2人で探した方が早く見つかるかもだし」

「いいんですか?」

「魔法を教えて貰ったお返しってことで。それに、ここで帰ったらかっこつかないだろ?」


ということでドニスという少年を探しに行くことに。

スラムにはスラムの売店などがあるらしく、そこにとりあえず行くことに。


しかし、少年と思わしき姿はない。

そのまま捜索を続けつつ、ルビアに話を聞くことに。


「さっきの子達って…」

「孤児ですね、教会で引き取って貰えなかった子達です」


そういえば教会なんて場所もあったな。

リアーシは孤児院もあるって言ってたし孤児もいるに決まってるか。

となると疑問があるな。


「引き取って貰えなかったって?」

「あの子たちは花を持ってないんです」


花…もしかして命の花のことを言ってるのか?

その場合最悪の事態になるだろ。


「いつ死ぬか分からない子供を、孤児院は受け入れてくれないんです。そもそも孤児院自体は無償なので経営がかなり厳しいらしいのに加え、孤児もかなりいるので」


なるほどな。

命とイコールにされる花を無くしてしまった。

それはほとんどの場合死を意味する。

偶然花が無事だとしても魔物に踏まれていきなり死ぬ可能性もある。

そんな恐怖の中、あの子達は生きているのか。


命の花、最近すっかり忘れていたが命と同等の価値があるんだ。

それを忘れちゃいけないな。


「ガキ!さっさとよこせ!」


そんなことを話していると路地裏の方から声がしてくる。

とはいえどこも路地裏みたいなものだが。

急いで行けば複数の男が1人の少年を囲んでカツアゲのようなものをしている。


「ダメ!これはあいつらに持ってかないと!」

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!手間かけさせんじゃねぇ!」

「もういいだろ、さっさと殺して奪っちまおうぜ」


男の1人がポケットからナイフを取り出し、少年を目掛けて振り下ろす。


「動くな」


声が聞こえた。

しかし、振り返れない。

これはなんだ?


「寄ってたかって1人の子供を…貴様ら、恥ずかしくはないのか?」


足音が後ろから聞こえてくる。

横を通り、子供を囲っていた男たちの方へと向かっていく。

その姿にどこか見覚えがあった。


「てめぇは…騎士団の…!」

「おい、ずらかるぞ…」


そういうと男たちは逃げ去ってしまった。


「ホタルさん!」

「ルビアか、すまなかった。私も探していたのだが遅れてしまってな」


ホタルと呼ばれた女性は子供の安否を確認するとこちらに連れてくる。

おそらくこの少年がドニスだろう。

ドニスを先程子供たちがいた家まで送り届ける間に自己紹介をする。


「ホタル・カナリアだ」

「ユージです。あの、もしかしてですけどワイバーンの時…」

「あの時の冒険者か、ワイバーンの件は母上から感謝がいっているか?」

「はい、ギルドにいた時に」


その後も軽い雑談をする。

ホタル・カナリア、聖騎士団所属の騎士で現聖騎士団団長のリサとギルドマスターのルヒターの娘らしい。

ルビアと同様スラムにいる花のない子供たちを気にかけているとの事。


ちなみにさっきの動くなと言った時体が動かなくなったのは威圧というスキルらしい。

ということでお願いしてステータスを見せてもらうことに。


ホタル・カナリア(20) 種族:獣人

HP:572 MP:375 攻撃力:375 防御力:542 素早さ:167


強いな。

ちなみに今の俺はと言うと…。


ユージ (22) 種族:人間

HP:294 MP:183 攻撃力:254 防御力:166 素早さ:99


ほぼ2倍の差があるな。

てか、ちょっと強くなってる!

そりゃそうか、ステータスも成長するしそうすれば伸びる。

当たり前のことだが目に見えて成長が実感できるのはいいな。


そしてルビアもステータスを見せてくれるとの事。


ルビア・アキシア(18) 種族:人間

HP:173 MP:812 攻撃力:183 防御力:119 素早さ:194


MPが高いな。

まさに魔法使いといった感じだ。

船で見たザンダーは確かBランクだったが、彼よりMPが高いのはすごい。

フロストの言う通り才能があるんだろうな。


そうこう話しているうちに先程ネモと呼ばれていた少女がいた家まで着いた。

無事にドニスを送り届け、そのままスラムを後にすることに。


「ルビア、何度も言うがここは危険な場所だ。ユージもだ。なるべくここの依頼は請けない方がいい」


確かに危険だろうな。

ただでさえ法も定まってない異世界。

そのうえ命のやり取りも元いた世界より軽いものだろう。


「嫌です」


はっきり言うなこの子。


「…君からも言ってやってくれないか?」

「えぇっと…本人が望んでいるならいいんじゃないですかね。それに、ルビアは心配するほど弱いとも思えません」

「そういう話ではないのだが…」

「あと折れ無さそうだし」


そういうとホタルはため息をついた。


まぁわかる。

俺も同じ立場ならため息も出る。


ホタルの小言を右から左へ受け流しながらギルドへ向かう。

一瞬路地裏に人影と大きな影が見えた気がした。

ほんの一瞬だった。


紅竜 

HP:4375 MP:1657 攻撃力:1352 防御力:1184 素早さ:457


…は?

いや、待て待て待て、なんだ今の。

竜?竜ってあれか?ドラゴンか?


「…ユージさん?どうかしました?」

「今、紅竜って名前が…」

「…?とりあえず戻って見に行ってみますか?」

「そうしよう」


少し戻り、先程見たところを探してみる。

多少の空間はあるが、いた形跡などは見当たらない。


「本当に紅竜を見たのか?」

「おそらく…ただ、鑑定でチラッと見えただけで…」

「…それをギルドや聖騎士団に報告しても捜査にはならないだろう。私の方で個人的に捜査はするが、あまり期待はしないでくれ」


さっきのは一体なんだったのか。

不安が募る中、ギルドに戻り依頼達成の報告をするのであった。

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