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29.到着、王都ゼファーノス

「…さい、早く起きてください」


体を揺さぶる振動と、起きるように促す声で目が覚める。

周囲を見てみれば知らない部屋だった。


ワイバーンに負けそうになってたところを聖騎士団に助けられた…ということでいいのか?


声をかけてきた方を見ればリアーシがいた。

どうやら2人とも保護されていたらしい。


リアーシの話によれば聖騎士団がワイバーンを倒し、そのまま俺たちを保護してくれたとの事。

その後裏にいるワイバーンを操っていたやつを捜索しているらしい。


手を見ると火傷の痕が酷い。

リアーシが回復してくれたらしいが、それでも痕は残ってしまうとの事。

無料で回復してくれたんだ、感謝しかない。


「とまぁそんなん感じで、これでお別れですね」


そういえばゼファーノスまで一緒にパーティを組むって話だったもんな。

これでお別れか。


「ありがとうございました。ヒーラー、めちゃくちゃ頼りになりました」

「あなたは頼りにならなかったですけどね」


なぜお別れ前に刺してくるの?

人の心とかないの?


「でも、最後はかっこよかったですよ。それじゃあ、また会う時まで」


そういうとリアーシは部屋を出て行ってしまった。

それと入れ違いで1人の男性が入ってくる。


「Dランク冒険者のユージで間違いないな?」


そういうと男は冒険者カードを取り出す。


「ゼファーノスギルドマスター、ルヒター・カナリアだ。妻から話は聞いている。宿は代わりにとってやったから、動けそうならそっちに移れ」


そういうとルヒターは鍵をこちらに投げてきた。

そしてそのまま部屋を出る。


ギルドマスター…つまりイリスと同じ猛者。

めちゃくちゃ気怠げなせいで全然威厳を感じなかったな…。


とまぁ回復してもらってとりあえず大丈夫だし、荷物をまとめて外に出るか。


そう思い、横にある机の上を見る。

そして、最悪の事態を理解する。


魔法剣が…折れてる…。


そういえばブレスに耐えるときに折れたな。

え、貰い物をぶっ壊したの俺。

てかやばい、これが俺の最大の武器だったのに。

マジでやばいぞ。


折れた魔法剣を見ながら考える。


そうだ、異世界なんだから鍛冶屋があるはずだ。

とりあえず宿屋に荷物を預けて、鍛冶屋を探すか…。


…宿屋の場所どこ?

鍵で宿屋が分かるわけないじゃんね。

かなりでかい都市だし、宿屋の数が多い。

この中から見つけるのは至難の業では?


教えてくれよギルドマスター。

俺の宿屋は一体どこなんだ。


「あの…どうかされましたか?」


声をかけられ、振り向けば1人の少女が立っていた。


「えーっと、宿屋を探してて…」

「それならそこの通りを真っ直ぐ行ったところの右側にあるところとかどうですか?安いし清潔でかなりいい場所ですよ」

「あ、いや、泊まるところは決まってると言いますか…」


少女に説明をし、鍵を見せる。

事情を把握した少女は一緒に宿屋を探してくれるとの事。


「とりあえず、あのギルドマスターのことだからおそらくギルドにいちばん近いところにあると思うんですよ」

「でもそこら辺は大体は見ましたよ?」

「うーん…1箇所だけ外見が宿屋に見えない場所があるのでそこに行ってみますか?」


ということでそこに行くことに。

着いてみれば絶対宿屋じゃないだろって感じの家が立っていた。


「…本当にここが宿屋なんですか?」

「宿屋ですよ。酒屋も兼任しているらしくて、そっちがメインらしいですけどね」


なるほど、確かに酒屋感は半端ない。

とはいえこんなん分かるわけねぇだろ。


宿屋に入るとイカつい兄ちゃんが対応してくれた。

料金はギルドマスターが払ってくれているらしく、1週間は無料でいいらしい。

部屋に案内されれば想像以上に綺麗な部屋が広がっており、まじで穴場だなと感じた。


「ありがとうございました…まじで教えてくれなかったら絶対気づけなかったので…」

「いいんですよ!困っていたらお互い様です!」


なんていい子なんだ。

こんなこと言われたら泣いてしまう。


「そういえば自己紹介がまだでしたね!私はルビア・アキシアって言います!」

「俺はユージです」

「ユージ…ってもしかして、フロスト兄さんのこと知ってますか?」


なぜフロストの名前がルビアから出てくるんだ?

いや待て、兄さんって言ったか?

ってことはこの子は…。


「フロスト兄さんの手紙でお聞きしてますよ。こっちに来るから見かけたら面倒見てやれって」


フロストお前何書いてんだ。

だいぶ恥ずかしいぞ俺。


「良ければこの都市全体を案内しますよ!」


なんていい子なんだ。

本当にあの前方の妹か?


「是非お願いします」

「はい!あと、タメ口で大丈夫ですよ?」

「じゃあそうさせてもらうよ」


ということでフロストの妹、ルビアにゼファーノスを案内してもらうことに。

かなり充実している都市で様々な飲食店に加え、薬屋や武器屋などの専門店もかなり充実している。

そして何より、学校がある。


王都魔法学校。

魔法の才を見出された若き天才たちが通う学校。

フロストの言っていたのはこれか。


ルビアもここに通っているらしく、現在は魔法を学びながら冒険者として頑張っているとの事。

いつか兄と共に旅をしたいらしい。


貴族が冒険者になることってあるのか?

と思ったが、フロストが冒険者してるし行けるのかな。


一通り案内してもらい、最後に鍛冶屋に連れて行ってもらう。


「ここがゼファーノスで最も腕のいいとされているモーラスさんの鍛冶屋です」


そう言われ中に入ろうとする。

が、中から罵声が聞こえてくる。


「ふざけんなクソジジイ!こっちは客だぞ!」

「あの程度の素材ごときでイキるなよ小童が!ワシに武器を打って欲しくば竜の鱗でも持ってくるんだな!」


終わった。

頑固じじいじゃん絶対。

竜の鱗なんて持ってねぇよ…。


先程怒鳴っていたと思われる冒険者が扉を蹴破り出ていく。

それにより中の様子がうかがえた。

中にいるのは背の低い男性のようだ。


もしやあれはドワーフでは?


「なんだ小僧、冷やかしなら帰れ」

「武器の修理をお願いしたくて…」

「修理だと?小僧、ワシをバカにしとるのか!」


終わった。

もう無理だ。

絶対断られる。


「一応これなんですけど…」

「ふんっ!見る気も起きんわ!」

「モーラスさん、そう言わずにお願いできませんか?」


後ろからついてきていたのかルビアがモーラスに話しかける。

ルビアを見たモーラスは少し柔らかくなった気がする。


「なんだ、ルビア嬢の連れか。いいだろう、見るだけ見てやる」


ルビア嬢…え、嬢?

そういえばルビア・アキシアって言ってたな…。

苗字がある。

それってもしかしてこの娘貴族だったりするのか?


「ほれ、さっさと見せんか」

「あ、はい。これなんですけど…」


折れた魔法剣を渡す。

過剰な熱により溶けた跡がある。


「ほぅ…なかなかいい代物じゃあないか。使い手が悪いな、使い手が。本来魔法剣は魔力で強化する分折れるなんてことがない。いきなり多量の魔力を吸収して剣本体が耐えられなくなったってとこだろう」


詳しく聞けばこの魔法剣は魔力を吸収してそれを使って切れ味上昇や属性付与などができるらしい。

俺の微弱な魔力に慣れていたせいでワイバーンの魔力の吸収に限界が来てしまったとのこと。

使い手が悪いと言われ、ぐうの音も出ない。

俺が弱いから本領を発揮できてないんだ。


「で、補填素材はあるのか?」


補填素材…武器を治すのにも素材がいるのか。

俺なんか持ってたっけ。


バッグを漁る。

特に何も持ってなかった気がしたが、なんかの鱗と牙が入っている。


「小僧、それを見せろ」

「これですか?」


鱗と牙を渡す。

モーラスはそれをじっくりと見るとこちらに再び向き直る。


「ほう?ワイバーンの鱗と牙か…この武器はワシが治す!異論は認めん!」


ワイバーンの鱗と牙?

あ、もしかして討伐素材分けてくれたのか?

聖騎士団めちゃくちゃいい人達じゃん。


何はともあれ、どうやらやる気になってくれたみたいだ。

まぁワイバーンの素材売ったらめちゃくちゃ高そうで後悔はあるが。


「修理に5日はかかる、それまで待っとるんだな」

「あの、お代は?」

「そんなもんは後だ後、治った武器を小僧が使って判断しろ。ワシは作業に移る、とっとと帰れ」


そういうと奥の部屋へと行ってしまった。


「良かったですね!」

「ルビアのおかげだよ、ありがとう」


武器を預け、やることがなくなってしまった。

依頼を受けるにも武器がないしな…。

何をしようか。


「ユージさん、修理が終わるまでの間って時間ありますか?」

「あるよ。むしろ何して時間潰そうかって考えてた」

「だったら一緒に依頼受けたりしませんか?実は学校が長期休暇で時間が余ってて…」


長期休暇なんてものもあるのか。

俺的にはめちゃくちゃありがたいが…。


「友達とか大丈夫なのか?俺みたいな変なやつと一緒にいるのつまんない気もするし」


自分で言ってて悲しくなるな。

学校に通ってるくらいなら高校生くらいだろう。

イリスよりは年上だろうが、あまり連れ回すのはあまり良くないだろうし。


「みんな実家に帰ったりしてて…私は実家から通ってるので帰省とかもなくて暇なんですよ」


確かに貴族なら実家に帰るとかあるか。

だとしても俺と一緒に行動する理由にはならないよな…。


「あと俺武器がないから依頼請けるのもきついぞ」

「それなら魔法教えましょうか?フロスト兄さんからも教わってたんですよね」


そんなことまで手紙に書いてたのか。

これ以上断るのもさすがに失礼だな。


「じゃあお願いしようかな」

「はい!とはいえ、もう日も沈んできましたし、明日からですね」


空を見ればもう赤くなっており、日が沈みかけている。

夜が近いと脳が理解すると疲労がどっと押し寄せる。


そのままルビアとわかれ、明日の朝にギルド集合となった。

宿屋に戻るとイカつい兄ちゃんが晩御飯を渡してくれた。

どうやら朝晩のご飯を出してくれる宿屋らしい。

一週間無料だしめちゃくちゃありがたい。


荷物を整理し、布団に入る。

また明日も頑張ろう。

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