27.巨大スライム討伐依頼
結構早めの時間に着いたこともあり、何をするか悩ましい。
そんなことを考えているとリアーシが声をかけてくる。
「じゃあ各自用意して、また明日集まって出発にしましょうか」
「その前にギルドに報告しに行きましょうよ」
「...チッ」
今舌打ちしなかった?
どんだけめんどくさがってるんだよこいつ。
ギルドへ行き、受付の人に話しかける。
「すみません、ちょっといいですか?」
「はい、どうされました?」
「実は…」
怪しいヤツらがいたこと、ワイバーンを制御するなど言っていたことを伝えた。
「なるほど…ご報告ありがとうございます。その話が本当ならAランクレベルの任務になりますのであとはこちらで対処させていただきます」
そりゃそうだ。
Dランク冒険者1人にシスター1人のしょぼパーティ。
Dランクですが実は最強です!とかはないし、シスターが実は聖女!なんてことはない。
報告だけ済ませ、ギルドを後にする。
「…私いる必要ありました?」
「信じてくれないかもって言ったのリアーシさんですよ?」
「…疲れたので宿屋で寝ます。明日朝出発で」
逃げたな。
ふっ、口論なら俺の方が強いってことだぜ。
そんな冗談はさておき、結構きな臭くなってきたし防具やらを買っとくか。
そう思い、武器屋に向かう。
「すみません、やってますか?」
「あいよ、やってるよ」
店員さんに聞き、防具などを揃える。
予算はまあまああるから多少使えるな。
「これとこれ…あと、これの俺に合うサイズってあります?」
「おう、ちょっと待ってな」
その後も防具だったりを買い、装備を整える。
ポーションはヒーラーがいる今は買わなくていいな。
というか魔法剣がある分武器代が浮くのが凄くありがたい。
イリスに感謝だな…。
さて、色々揃えたしお試しの依頼でも請けるか。
再びギルドに。
依頼を漁り、依頼を探す。
そのうちのひとつに違和感を感じる。
「…スライム討伐金貨30枚…?」
ボソッとそうつぶやくと、後ろから声をかけられる。
受付の人だ。
「あ、それなんですけど…」
受付の人曰く、巨大スライムが発生しているとの事。
普通のスライムなら核までの距離が短く、普通の剣でもすぐに破壊できる。
しかし、その核までの距離が長くなる大型のスライムは討伐が困難になり、報酬が高くなるらしい。
うーん、請けてもいい気はするが、規模感がわからないな。
それに金貨30枚ってやばいでしょ。
うん、やめておこう。
「ちなみに今なら金貨10枚上乗せします」
ということでスライム討伐に来たのだが、かなりでかい。
大きさの規模で言うなら直径20メートルはあるぞ…。
手と剣を全力で伸ばしても核に届かなさそう。
諦めるしかなくね?
いや、思い出せ…スライムの特徴…。
…なんも覚えてねぇや。
「…何してるんですか」
声の方を見ればリアーシが立っていた。
宿屋で寝てるのでは?と思ったが、パーティメンバーなのでは、ということで受付の人から連絡が入ったらしい。
寝起きなのか機嫌が悪い。
「え、いや、報酬がうまいスライム討伐があって…」
「…パーティメンバーに言わずに高レベルの依頼を請けて、その上立ち尽くしている…なにか言い残すことは?」
「マジでごめんなさい」
ということでリアーシと相談して討伐することに。
スライム自体は高温の熱で蒸発させて体積を減らす方法もあるらしいが、2人のファイアボールを合わせても倒せはしないだろう。
剣を投擲する方法も核に届く前に失速する可能性が高い。
いや詰みじゃん。
「ちなみに依頼をやっぱなしってすると違反金が課されるので、何とかしてください」
俺の旅もここで終わりかな。
「…一応、これらを踏まえた上でプランがあるにはあるのですが…」
「え、あるんですか?」
「ただめんどくさいので普通に嫌です」
ここに来て好感度がマイナスの弊害が出たな…。
しょうがない、靴を舐めるとするか。
地面に伏せ、靴を舐めようとする。
思いっきり顔を蹴られ、視界が歪む。
「マジで!何してんの!」
「…ずびばぜん」
気を取り直して再度作戦を練ることに。
現状の情報をまとめると
一、スライムの直径は20メートルほど
二、核までは約10メートル
三、火属性の魔法で蒸発させきるは無理
四、スライムの核自体は強化はされていない
以上のことからとある作戦を思いつく。
それは…。
「木に落っことして核を枝で貫こう作戦」
「ダサ」
え、こいつ今ダサって言った?
「…まぁ作戦自体はいいと思いますが、そのためにはまず高台に誘導しなければならない。さらにその高台は下に木がないといけない。そして落とすのも困難って感じですね」
そう言われるとたしかに。
とはいえ他に思いつかないんだよな…。
「ならほかになんか思いつきませんか?」
「あるにはある…って感じですね。一応なんですけど、使用出来る魔法を聞いても?」
「ファイアボールとウォーターボールですね」
「チッ…弱いな…」
今舌打ちしたよね?
しかも弱いって言った?
いや、弱いかもだけどさぁ…。
俺Dランクだからね?
「で、あるにはある作戦ってなんですか?」
「ユージさんの自爆特攻」
「直球で殺しに来ましたね」
「冗談です。スライムの体に水を加えて、私の魔法で核を貫く、って感じですね」
なるほど、そういう作戦か。
スライムの体自体が粘性を持っていて、それを水で中和する。
そうすることで魔法が核に届きやすくなるってことだ。
ただそれだと…。
「問題は倒せなかった時ってことですよね?」
「その通りです。倒せなかった時、ただただ水で体積を増やして危険度を上げただけの害悪冒険者になります。そうなった場合はひとりで罪を背負ってください」
判断が早い!
まだ何もしてないのに既に俺の事を捨てる気だ…。
とりあえずやるべきことは決まったな。
「やりましょう。どの道成功しなきゃ違反金がくるんで」
「ですね、じゃあ囮とタイミング合わせてウォーターボールお願いします」
囮も俺まじか。
まぁそうなるか…。
仕方ない、腹を括ろう。
スライム自体は核…魔石を中心として魔力探知を行い、それに反応した生物を取り込んで溶かして吸収する。
つまり俺を追いかければ追いかけるほど体を変形させ、核までの距離が短くなる…はず!
スライムの前に飛び出し、ファイアボールを軽くぶつける。
「こっちだ!デブスライム!」
デブは言い過ぎたなと思いつつ、こちらに集中させる。
合図は聞いていないが、多分向こうが合わしてくれるだろう。
スライムが体を伸ばし、俺を取り込もうとする。
限界まで伸ばしたのを確認し、魔法を放つ。
「ウォーターボール!」
水の弾がスライムの体に当たり、吸収される。
それと同時に光の矢が飛んでくる。
それは水の弾が当たったところから真っ直ぐと核に飛んでいった。
そして、核は光の矢によって砕かれた。
核を失ったスライムの体はみるみると溶けていき、最後には蒸発して消えていった。
「リアーシさん凄いですね…」
「サポートありきですよ。本職はヒーラーの方ですし、攻撃系統はあまり得意ではないので」
それでも俺より強かったでしょ…。
そう思いながら砕けた魔石を回収しギルドに向かう。
無事依頼達成となり、報酬を貰う。
かなり稼げた!これならゼファーノスでも沢山使えるな!
そう思いながら野営の疲れと先のスライム戦の疲れを癒すため宿屋に向かうのであった。




