19.異世界クッキング
材料を集め終えた俺はキルバスの家に戻っていった。
大会に向けての最終準備といったところだろう。
「オッケー、じゃあ手順をまとめてみようか」
まずはスープを作る。出汁になりそうなものはさっき取ってきた魚だ。
ラーメンを出汁から作ったことなんかないからほぼわからないが、キルバスになんとかしてもらおう。
ラーメンといえば醤油、味噌、豚骨など色々あるが、今回は魚介系。
魚を釣ってきたから当たり前だな。
とりあえず鍋に魚を入れて火にかけている。
どのくらいやればいいかはわからないが、キルバスに任せよう。
魚介系のスープは作ったことがあるらしい。
スープを作っている間に麺を作っていく。
小麦粉からしっかりと作っていく。
とりあえず、水と混ぜてこねていれば大丈夫だろう。
水をどれくらい入れればいいかは知らないけど…
混ざり切るまで水を入れて、こねてみた。
小学校の頃の林間学校でうどんを生地から作ったときのことを思い出すな。
キルバスの提案で塩を少しだけ入れることにした。
こうすることで生地が締まるらしい。
そういえばそんなのもやったような…。
…って、全然混ざらない。
どこか間違えたか?
と思ったが、どうやら水分が綺麗にまとまっていないため少し寝かせなきゃいけないと、キルバスが言っていた。
もう料理人のセンスとしか言えないなこれは。
待ってる間にチャーシューを作る。
まずはオークの肉を用意する。
キルバスが食べられるように有害なものは取り除いているらしい。
これを狩ってきてくれたミントにも感謝だな。
豚肉全体を糸か何かで締めてから、鍋に入れて、全体に焼き色がつくまで転がしながら焼いていく。
キルバスに見守られながら俺がやっている。
焼色がついたら、鍋に薬味をいれて、2〜30分ほど煮立たせる。
その後、豚肉を裏返して20分ほどまた煮立たせる。
煮立たせている間に、キルバスはトッピングになるコーン、煮卵を用意していた。事前に準備していたらしい。
流石だな。
煮込み終わったら、豚肉を取り出す。
元の世界でもよく見た感じのチャーシューだ。
ここまで来たらあとは簡単。
食べやすいサイズに切ってチャーシューは完成だ。
そろそろ頃合いなので生地の様子を見てみた。
水分が広がってるとか自分にはわからないが、キルバス曰くこれで大丈夫だという。
その生地をまとめるために潰していく。
そしたら、だいぶいい感じになってきたのでそろそろ切ろうと思ったら、キルバスに止められた。
こっから更に寝かせたほうが水分がより均等に広がっていい生地になるとのこと。なんでわかるんだ…
ということで、しばらく待ちまして…。
出汁もだいぶ取れたということで、これを濾して、スープの完成だ!
もうすでにいい香りがする。
そして更に待つこと1時間、生地が完成したので、これを薄く伸ばしていく。
できるだけ均等に、薄く広げてくれたのはキルバスです。
本当になんでもできるね。
そして薄く伸ばした生地を均等に、とりあえず勘で1.5ミリ間隔で切ることにした。
いい感じの細さだ。そしてようやく麺が完成。
そしたらいよいよ盛り付けだ!
まずは麺を茹でる。3分くらいで大丈夫なはずだ。
そして丼にスープを注ぎ、味付けにキルバスが作っていた魚介香味油を入れていた。
初めて作るはずなのに、より良くするための工夫を忘れていないキルバスは本当に流石だな。
まあそもそもが俺のうろ覚えレシピなんだが…。
そして、麺を投入。
最後にネギ、チャーシュー、味玉などのトッピングをのせて…。
ついに完成!
前世で見ていたものと全く同じかと言われれば所々違うが、これが俺の異世界ラーメンって感じだ!
さっそく試食してみる。
…まあ少し味が薄いような気もするが、しっかりとラーメンになっている。
これなら大会でも通用するかも知れない。
「これがラーメン…面白い見た目だね。やっぱりキミを選んで正解だった!」
「んー! おいしい! ユージのいた世界の料理ってこんなに美味しいんだね!」
二人とも絶賛している。これなら…
そして、大会当日。
麺とスープとチャーシューは時間がかかるため、あらかじめ用意しておいたものを使う。
つまり、当日にやるべきことは、麺を茹でて、丼にスープを入れてトッピングをすることだ。
これで完成する。
俺以外にも沢山の人が参加している。
キルバスが言うには気をつけておくのは3人。
一人は俺の隣にいるイカツそうな男だ。
なんとワイバーンの肉を使った料理を作っているとのこと。
ジェイン (49) 種族:人間
HP:659 MP:209 攻撃力:505 防御力:448 素早さ:133
聞いたところによると、昔はランクB冒険者でパーティを組んで冒険していたとか。
年をとっても実力は健在、いやはや、それにしてもすごいステータスだ。
ワイバーンを倒せるのも納得かも知れない。
そして二人目はいかにもなおばあちゃんである。
テスラ (68) 種族:人間
HP:209 MP:173 攻撃力:101 防御力:135 素早さ:87
このおばさんが作るのはクッキー…ではなく、スープである。
材料費がかからなく簡単に作れる上に味付けがとても丁寧で美味しいのだとか。
3人目は俺の反対側にいる普通っぽく見える男の子。
シュレン (23) 種族:人間
HP:303 MP:221 攻撃力:320 防御力:123 素早さ:130
コイツは魚介系の料理を得意としているらしい。
魚の魔物でも問題なく扱える。
焼き魚で今回は勝負するようだ。
って、もしかして魚を買い占めたのコイツじゃね…?
まあ、気にしないでおこう。
他にも参加者はいるが、キルバスは知らないらしい。
料理大会の内容はいたってシンプル。
作った料理を審査員たちに食べてもらい、最後に優勝者を発表する。
評価基準はあまり詳しく知らないが、キルバスが言うには「味」「食べやすさ」「コスト」で評価されているらしい。
俺は昨日と同じようにラーメンを盛り付ける。
10分くらいもあれば完成だ。
それを審査員のところへ運んでいく。
食べているところは見せてもらえなかった。
そして、しばらく時間が経ち、他の参加者たちも料理を完成させていた。
「いよいよ結果発表の時間です!今回の料理大会の優勝者は…」
俺は優勝することを祈りながら、ゴクリと息を呑んだ。




