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120/120

120.命の花が咲く世界で

最終話です。

村に戻ったあと、すぐに寝落ちしてしまったらしい。

まぁ魔力が枯渇しているのもあったし、当然と言えば当然か。


起きた頃には日が昇っており、既にみんな起きている。


「ユージも起きたし、俺はもう出る。すまなかった。俺がいながらこのような事態になって」


俺たちの戦いが終わったその後、ムクと呼ばれた邪人はヒデラが死んだことで生命維持ができなくなり崩れて死んだらしい。

元々の目的だった恋人を邪人にしたやつを殺すことは達成、あとはセラエムが治す方法を見つけるだけとの事。


「とは言っても、まだまだ邪人関連を研究しているバカがいるかもしれない。そいつらを俺は根絶やしにしていこうと思う」


この世界の欠陥、命の花。

彼もそれに抗うひとりなのだろう。


「達者でな」

「また会おう」


そういうとゼノンは行ってしまった。

もう少しゆっくりしていけばいいのに。


と思ったが、どうやらリコリスがSランクだからあんまり一緒にいちゃダメなのか。

一緒に旅してたしあんまり気にしてなかったな。

あれか、リコリスの魔王としての力がちゃんと使えるようになってSランクとしての格が出てきたってことか。


「というか、リコリスは喉大丈夫か?」

「…だい゛じょう゛ぶ」


ダメそう。

ダミ声すぎるだろ。

そりゃ反動あるか。

まぁ喉が潰れた訳じゃないし、まだマシか。


「では、私も行くとしよう」

「あの、私たちのことってギルド本部には…」

「心配するな。君たちのことは報告しない。むしろ感謝している。君たちがいなければ最悪の事態になっていたからな」


リアムはギルド本部所属として本来俺たちを殺さないといけないはずだ。

だが、今回俺たちがいなかったら世界が終わったということで見逃してくれるらしい。

なんなら報酬もくれた。


「イリス、気が向いたらぜひ私のところに来てくれ」

「遠慮しとく」


そんなわけでリアムも行ってしまった。

まぁ色々報告とかがあるんだろう。


ちなみにイリスはギルド本部に誘われたらしい。

しかも神級魔法を使えるようになったとの事。

すげぇな。


「良かったのか?断って」

「やりたいこと、見つけたの」

「そっか…お兄さんは応援してるぞ」

「ふふっ、なにそれ」


腕が片方なくなってる。

多分、ロメリア戦で失ったのだろう。

片腕で本来勝てなかった相手に勝てた。

そう考えれば儲けものか。


「とりあえず、お墓作るか」

「そうですね。クレイブとリリアの分も作りたいですし」


そんなわけでイリスの両親の眠る場所へと向かう。

3人の亡骸はなかった。

多分、処分されたか邪人に食われたのだろう。

ただ、荷物は見つけられた。

ご丁寧に保管されていたその花を、地面に埋める。


「アースリクイド」

「そういう使い方もあるんだな」


フロストが地面に3つの泥沼を作る。

魔法の効果が切れれば地面が普通のになる、ということらしい。

魔法にはすごい応用がある。

すごいね。


リアーシの鎮魂歌が寒い空に響く。

きっと、全員に届くだろう。


そんなこんなで簡易的な葬儀を終える。


「さて、これからどうします?旅、続けますか?」


元々聖国マーハウを目指してたんだった。

とはいえ、やるべきことがあるからな。


「悪い、俺はセラエムのとこに行こうって思う」

「そうなんですか?」


今回の件でよくわかった。

花は危険だ。

ゼファーノスでの花を無くした子供たち。

禁忌の理由を知るものを抹消する冒険者ギルド。

邪人の世界を作ろうとする悪人。

だったら、やるべきことがある。


「俺はこの世界に無理やり入った人だから、花が不完全らしい。だから俺だけでも十分研究は進むと思うんだ」


ちなみにリコリスもこっちに着いてくるらしい。

となると、俺とリコリスでフィジストリーまで行くことになるな。


「フロストは?」

「私はゼファーノスに行こうと思います。会える時に会うべきだと思いましたので」


ゼファーノスに行く理由はルビアに会いにいくかららしい。

会える時に会うべき、当たり前だがみんな忘れてることだな。


「イリスはどうするんだ?」

「どうしよう。もっと極めようかな、魔法」

「その前に、私と一緒に来ませんか?腕を治せる人が知り合いにいますし、頼めば治してくれると思いますので」


そんなすげぇ知り合いいるのか。


「とりあえず、今日はまだゆっくりするか。ゼノンとかリアムと比べてあんまり体力もないし」

「それもそうですね」


みんながギルドに戻る中、俺とイリスは墓の前に残っている。


「戻んないの?」

「ちゃんとエルダにお別れしてないからな」


初めてこの世界に来て、俺に優しくしてくれた人。

最初に出会った冒険者がエルダで良かった。


「私、Sランクを目指したいと思う」


すごいこと言い出したこの子。

たしかSランクって500年変わってないんだろ?

…あ、リコリスがいるから20年とかか。

とはいえ魔王以外は全員500年とか変わってないし、かなり難しいだろうな。


「気づいたの、魔法が好きだって。好きなもので、1番上を見たい」

「イリスならきっとなれるよ。俺が保証する」

「何様?」

「そうだな…転生者様?」

「なにそれ」


みんな、やりたいことが決まってるようだな。


この世界を花から解放する。

その後俺はどうするか。

きっと、いつかはやるべきことが終わり、役目が終わる。

そうなった時はまた旅をしよう。

…ルビアとの約束守れなさそうだな。

フロストに伝えてもらうか。


そんなわけでゆっくり休む。

みんなでカードゲームをしたり、雪で遊んだり。

楽しかった。


日が沈んできてご飯を食べる。

明日からは俺がリコリスの料理を手伝いつつだな。


ご飯を食べ終え、就寝。

昨日爆睡していたとはいえ、疲れていたからかすぐに寝れた。


…。


…。


「………す……」


声が聞こえる。


「おはようございます…」


声に起こされた。

不思議な空間、見覚えがある。

転生前に来た、あの場所だ。


「あなたは役目を果たしました。よく頑張りましたね」

「…色々言いたいことはあるけど、1個だけ」


声の主は光に包まれている。

見覚えがある。

俺を転生させた、あいつだろう。

会ったら言ってやりたいことがあったんだ。


「クソ喰らえ、クソ神が」


光は何も答えず、眩く光る。


何も持たせず適当に異世界に放り出した。

花とかいう不幸を呼ぶものを作った。

俺はこいつが嫌いだ。

でも、それでも、抗えてよかった。


…。


…。


「……て…」


なんか顔を叩かれてる気がする。


「…起きて、みんな出るよ」

「リコリス…え、今何時?」

「…お日様は真上にいるよ」


正午じゃねぇか。

やべぇ寝すぎた!


急いで着替えたりご飯を食べたりして用意を済ませる。

みんなはもう荷物をまとめているようだ。


そんなわけで全員用意を終える。


「さて、それじゃあ私とイリスさんは聖国マーハウに」

「私はゼファーノスに」

「俺とリコリスはフィジストリーに」

「それじゃあ…またな!」

「また会いましょう」


全員がそれぞれの道に進む。

ここでみんなとお別れか。

いや、別に悲しい事じゃない。

だって俺たちは同じ世界で生きているのだから。

だからまた会おう。

この、命の花が咲く世界で。


ー完ー

ご愛読、ありがとうございました。

最初3人で始めた命の花が咲く世界では最後一人になり、完結まで行けるか不安でしたが何とか本日完結しました。

読んでくださった方々には感謝を。

また次の物語が始まる時、出会いましょう。

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