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112.明るい未来(過去編)

「…あいつ、来ねぇな」


今日は討伐依頼が出ていたため、タフトと2人で行く予定だった。

集合場所にギルドを指定し、墓掃除の時間を考慮したはずなんだが…。


「あいつ、寝坊なんてしたか?」

「さぁ、昨夜はお楽しみでしたねってやつかもしれないし、気長に待つんだな。なんなら、別の依頼もあるぞ?」

「遠慮しておく」


そりゃそうだ。

あいつはもう1人じゃない。

強くならないといけないとはいえ、強くなるのは二の次だ。


「ちと様子見してくるわ」

「なら酒買ってきてくれ、切れてる」

「テメェで行け」


少し歩いたところにある一軒家。

元々は老夫婦が住んでいた場所だが、3年前に2人とも逝った。

元々タフトのことを息子のように可愛がっていた。

死ぬ前にこの家はタフトにあげると言って、そのままタフトが住んでいる。

掃除の行き届いていない家だったが、今ではピカピカの家だ。


「邪魔するぞ。タフト、起きてるか」


ノックをし家に乗り込む。

もしかしたらぶっ倒れているかもしれない。


扉を開け、そこを見ればナズナのお腹を触りまくっているタフトがいた。


「うわ…」

「し、師匠!?あ、時間だった、ごめんナズナ、行ってくる!」

「うん、行ってらっしゃい」


そう言うとドタバタと荷物を用意し始める。

その間に何があったか聞いておこう。


「あぁ、さっきのですか?お腹の子が動いたって言ったらずっと張り付いてて…」


まじか、子供できてたのか、聞いてなかったぞ。

てかその状況でよく依頼行こうとしたなあいつ。


「すみません師匠!行きましょう!」

「しばらく休暇だ、依頼は俺がかやるからお前はそいつらと居てやれ」

「へ?」


妊娠は辛いみたいなのを聞いたことがある。

というか、自分の中に別の人が入ってるんだから辛いに決まってるか。

そんな状況で1人にさせるのはありえないだろ。


「でも…」

「でもじゃねぇ。お前、忘れたのか?1番大事にするもんを。だったらやることはひとつだろ」

「…!そう、ですね…すみません師匠、しばらく休暇を貰います!」


後で祝いを持ってくると言い残しギルドへ戻る。

ドアを開ければ暇そうにしているリアムがいた。


「あれ?タフトは?もしかしておせっせしてたか?」

「んなわけねぇだろ。ナズナがガキ身篭ってたんだよ」

「なるほどな…はぁ!?妊娠してるってことか!?」


その後、リアムは村中に言いに行き、結局大人数で祝いに行った。

大変だなぁと思いつつ、俺がリアムに言ったせいでもあるか、と反省する。


結婚式の時と同じくらいほとんどの村の人が集まっている。


こりゃ俺が入る隙間もねぇな。

というか、依頼に行かなきゃだ。

あいつらはしばらく稼げねぇだろうし、俺が稼いで分けてやるか。

と言ってもどうせ村のヤツらからたくさん貰うだろうがな。


月日が経ち数ヶ月後、子供が生まれたらしい。

性別は女、少々の難産の末に生まれ、体がやや小さいことなど事細かに聞かされた。

それと、3属性の適性持ちらしい。

親父が才能がない代わりに才能を持って生まれたのか。


てか俺にそんな詳細に言われても困る。

俺はお前らの父親じゃないんだぞ…。


「で、名前は決まってるのか?」

「もちろん、ナズナと2ヶ月くらい話し合って決めましたよ!」


こいつは親バカになるな。

で、子供にパパ嫌いと言われるところまで見えた。


「で、名前は?」

「イリス、です」


隣で赤子を抱えるナズナが答える。

自分が言いたかったといった顔をしたタフトが自慢げに名前の由来を話し始めた。


ぶっちゃけ最初の「由来はですね」以降なんも聞いてなかった。

長々と説明するタフトをナズナが静止し、話しかけてくる。


「エルダさん。良ければこの子を、撫でてくれませんか?」


なぜ俺に?と聞き返したところ、私たち以外に最初に、あなたに撫でて欲しいとの事。

それはタフトとも話していたらしい。


だから俺はお前らの父親じゃないんだって。


頭を軽く撫でる。

傷つけないように、そっと、優しく。


するとイリスはキャッキャと喜んでいるようにも見えた。


赤子はいいな。

純粋で白く、穢れを知らない。

この2人なら、正しく導けるだろう。


「しばらくはイリスの世話をしっかりやるんだな。また顔を出す」


そう言い残し、家を出る。

家族3人の時間を取らせてあげるべきだ。

俺は異物、いるべきじゃない。


「師匠!」


背後から声をかけられる。


「また明日!」


こいつ、勝手に俺の予定を作りやがって…。


「おう、また明日な」


後日、リアムと一緒にタフト達の家に向かう。


「来たぞ…って、大丈夫か?」

「あ、エルダさんとリアムさん、いらっしゃい…えっと…実は…」


ナズナ曰く、ベタベタ触っていたタフトがイリスに雷属性の魔法をぶつけられたらしい。

いや、天才かよ。

リアム曰く、


「魔力が非常に多いが、弱い身体がそれを許容できずに漏れだしている状態」


との事。


2人はそれを心配していたが、特に問題は無いらしい。

定期的に魔力を放出してやればいいとの事。

まぁそれができるのはこの村だとリアムくらいだが。


ということで、定期的に俺とリアムでイリスの様子を見に来ることに。

ナズナは、


「お父さんとお母さんがいたらこんな感じだったんですかね?」


と聞いてきた。

マジで勘弁して欲しい。


痺れたタフトは放っておいて、必要なものがあったら買ってくると伝える。

しかし、基本は大丈夫とのこと。

理由はほかの人が沢山ものをくれたかららしい。

まぁ…そうだよな。

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