106.死の間際の再会
大所帯になってきたな。
おじいちゃんのエルダ、お父さんの俺、お母さんのリアーシ、姉のイリス、妹のリコリス、親戚のおじさんのゼノン。
…ゼノンだけ立ち位置が思いつかなかった。
まぁ近所のおっさんとか似合ってそうだしそれでいいか。
「聞こえてるぞ」
「あ、ごめんごめん。ペットの方が良かった?」
「今考えてたこと大声で言ってもいいんだぞ」
「大変申し訳ございませんでした」
そんなわけで聖国マーハウへと向かっていく。
ここからはかなり距離があるようだけど、まぁなんとかなるでしょう。
「…懐かしいな、ここら辺は」
「なんかあったのか?」
「初めてタフトと会った場所だよ。ま、あいつは死にかけてたけどな」
エルダとその弟子、タフトの出会いか。
聞いてみたい気持ちもあるが、まぁ聞かなくていいか。
「そういえばなんでマーハウに行くんですか?ゼノンさんとか入国できないでしょうし」
「俺は途中まで付き添いだ」
「単純に行ったことないところに行きたかったのと、リアーシと一緒に旅したかったから」
「…女たらし?」
「そんな魅力この人にありませんよ」
なんかすごく失礼な事を言われてる気がする。
まぁいつもの事か。
「魔物、近くにいる」
「俺がやってくる」
ゼノンがそういうと飛んで行ってしまった。
空を飛べるのか、ただの跳躍なのか。
どちらにしても化け物すぎる。
「そっちじゃない…」
「魔力探知あんまり得意じゃないのかな。まぁ俺たちで対処できるレベルだろ?」
「うん、そこまで強くないはず」
ということで魔物のいる方へと進んでいく。
どうやら複数体いるようだ。
…あれ、見たことあるな。
「ユージ、あいつら…」
「…リアーシとリコリス、あとイリスは待機で頼む」
「わかった。私が守るよ、2人は」
「頼んだ。行こう、エルダ」
そんなわけで2人で見に行く。
案の定邪人のようだ。
■■■(■■) 種族:■■
HP:421 MP:151 攻撃力:317 防御力:222 素早さ:446
■■■(■■) 種族:■■
HP:518 MP:233 攻撃力:468 防御力:319 素早さ:118
■■■(■■) 種族:■■
HP:282 MP:1511 攻撃力:199 防御力:110 素早さ:135
3体いるが、どれも結構強いな。
…イリスは連れてきた方がいいかもしれない。
「真ん中になんかないか?」
「黒い幕…ありゃ結界魔法だな。1度限り使用可能の魔道具だ。ってことは中に誰かいそうだな」
「助けないとか」
「俺が3体処理する。ユージは援護を頼む」
ということで戦闘開始。
足が早いのが1人、全体的に高いのが1人、MPが高いのが1人、要するにバランスのいいパーティを相手にしているような感じだ。
エルダの咆哮で3体の視線がエルダに向かう。
挑発と威圧、2つのスキルを同時に使用したようだ。
これって対象を限定することできるんだな。
どうやら威圧により素早さの早い邪人は動けなくなっているようだ。
他の2体は動けるようでMPが高いのは魔法を放つ準備をしている。
その時間稼ぎのためか平均的にステータスの高い邪人は前に出てくる。
元々そういう戦い方をしていたパーティなのだろう。
戦い方がしっかり決められているな。
「ファイアアロー!」
魔力を溜めさせない。
溜めが必要ってことはそれだけ大きな魔法を使ってくるってことだ。
正面から撃ち合ったら勝てない。
だから、最小限で止める。
俺の魔法に合わせてエルダが前に出る。
威圧で動けなくなっている邪人の頭をぶん殴り、潰す。
結構グロい。
「こいつらはもう助からねぇんだろ?」
「現状は、だ。いつかセラエムが元に戻す方法を見つけられるかもしれない」
「…こいつら拘束すんの無理だろ」
「それはそう」
ということで拘束することは諦め、殲滅する方針に。
素早さの高いやつを最初に潰せてよかった。
最悪の場合スピードに翻弄され続けて負けるってパターンもあったしな。
「ウォーターブロー!」
ファイアアローによって溶けた雪を使い、水の腕を生成する。
それを振り下ろして2体を拘束しようとする。
しかし、2体とも拘束を逃れる。
そりゃそうだ。
全体的にステータスが高い方はもちろん、MPが高い方も溜めなしの魔法使えるだろうしな。
「魔法を使う方を先に片付ける。もう片方を拘束しといてくれ」
「わかった。ファイアボール!」
次はファイアアローよりも広範囲のファイアボールを放つ。
これにより先程よりも雪が溶け、水が多くなる。
「■■■…」
「撃たせねぇよ」
邪人が魔法を放とうとした瞬間に懐に入り込み、胴体に拳を喰らわせる。
「ウォーターブロー!」
そのカバーをしようとする邪人を拘束する。
先ほどと違って1体を拘束するだけでいいからかなり楽。
「ほらよっ!喰らっとけ!」
そう言いながら頭を思いっきり殴る。
その拳が頭を粉砕し、辺りには血肉が飛び散る。
あと1体。
まだ拘束は解かれてない。
今のうちに致命傷を与えたい。
魔法剣に魔力を込め、足の関節に向けて振り下ろす。
最近気がついたが、腕を斬り落とすよりも足を奪ったほうが今後の展開的に楽になる。
足を失った邪人は体勢を崩す。
魔法を解く。
それと同時に地面へと落ちていく邪人の体の前に魔法剣を構えておく。
重力に従う邪人は魔法剣を避ける手段もなく突き刺さる。
これで3体討伐完了だ。
「なかなかいい手際だったじゃねぇか」
「戦闘にはもう慣れてきたからな。てか、それよりも…」
この黒い結界ってどうすればいいんだ。
外から結界を開けるのは難しいらしいし、中から外の様子はわからないから開くこともないだろう。
そもそも中のやつが瀕死になってたら開けることもできないだろうし。
「リアーシが結界魔法使えるから呼んでくるか」
「そうすっか」
ということで待機していた3人を呼んできた。
ちなみにゼノンはまだ帰ってきてない。
何してんねん。
「これは…結界魔法ですよね。なんでこんなところに」
「わからんが、中に誰かいるのは確かだな」
「魔物に襲われてたし、死にかけてると思う。この大きさだと中に1人しかいないと思うし」
開けようと思えば開けられるらしいが、少し時間がかかるということで一旦待機。
その間にイリスがゼノンを連れてきてくれるとのこと。
そんなわけでゼノンが帰ってきた。
「すまん、別の魔物を狩ってた」
「いやまぁそれはいいけど…」
あんまり良くないけどね。
邪人関連だったからゼノンにもいてほしかったけど。
「解析が終わりました。開けますよ」
リアーシが結界を開けられるということで待つ。
そして、結界が開かれ黒いそれらが崩れていく。
ちなみにこの結界魔法の魔道具は銀貨5枚程度のものらしい。
使い所が限られるし、使っても助からないケースも多いらしい。
そんな事を考えていると中にいた人が誰かわかる。
それはかつて魔法を教えてくれ、過去を話し合った人物だ。
「フロスト…?」
その姿にかつての生気はない。
横たわっているのは血だらけとなった魔法使いただ1人だった。




