104.白い雪の中で
リコリスの蹴りで目が覚めた今日この頃、リアーシにもだいぶ心を開いているようだ。
まぁ一緒に温泉入った時点でそんな気はしたが。
心を開いてくれる分には嬉しいけど、俺を舐め腐ってるのはやめて欲しい。
「そろそろ出発するぞ」
ということで出発。
今日は街に着くはず。
とはいえそもそも物資が少ない雪国だし、あんまり買いたいものとかはない。
「…ユージ、抱っこ」
「リアーシが抱っこしてくれるだろ?」
「…たまにはユージに抱かせてあげる」
させてあげるの言い方が腹立つが、たまには抱っこしてやるか。
相変わらず軽い。
ちゃんと飯食ってんのかこいつ。
って思ったけど、前よりは重くなってるな。
「リコリス重くなったか?」
「……降りる」
「うわぁ…最低ですね…女の子にそういうこと言うの…」
「さすがにユージが悪いな」
総叩きにあっています。
「…ゼノン、抱っこ」
「わかった」
お父さん悲しい。
「そんなんだからモテないんですよ」
「ぐう」
「ぐうの音は出るんですね」
そもそも俺お父さんじゃねぇや。
そんなことを考えながら進んでいくと街が見えてくる。
あんまり大きい街ではないな。
とはいえ村よりはでかいし、買い物くらいは済ませておくか。
「なにか買うものあるか?」
「俺は必要ない。飯もいらないしな」
意外と便利な気がするけど、食って3大欲求のひとつなんだよな。
まぁ晩御飯は食べてたし、一応ゼノンの分も買っておくか。
「私も特に必要ありませんね。リコリスちゃんの分も私が管理してますので大丈夫です」
「いつから管理してたんだ…てかちゃん付けなのさ」
「女の子の秘密を探るのは良くないですよ」
「リアーシは女の子って歳じゃないだろ…」
ということで適度に食料を買ってくる。
あと一応ギルドにも寄ってみようと思ったが、そもそもここの街にギルドはなかった。
「ねぇ聞いた?また魔物が…」
「やっぱり自警団だけじゃ…」
何やら噂話をしているな。
魔物…自警団…よし、盗み聞きするか。
盗み聞きをした結果以下の情報を得た。
1、魔物がめちゃくちゃ暴れている。
2、自警団壊滅。
1に関してだが、どうやらまだフローディア全体で異変が起きているらしい。
本来いないはずの強い魔物が浅い所に出たり、群れるはずのない魔物が群れていたりしているらしい。
2に関しては魔物の集団に自警団が全滅させられたらしい。
魔物の集団と言ってもなんの魔物かは分からないとの事。
なんか色々起きているっぽいし、先に進むなら慎重に行かないとだな。
てことで戻ってきた。
「遅かったな」
「噂話を聞いてたら遅れた」
「盗み聞きですか?ちょっと…」
「俺の事変態にしようとしすぎじゃない?」
3人と合流して再び出発。
ここら辺は前回通らなかった場所だけど、一面真っ白だな。
雪がなかったら広い草原だったんだろう。
「…雪、綺麗」
「そうだな。足跡とかもないし、真っ平らでこんな綺麗なのは俺も初めて見る」
元の世界だと真っ白な雪ってあんまり見なかったからな。
だいたいタイヤの跡ででこぼこしてたし。
「せっかくなら雪合戦でもしていきません?2対2で」
「じゃあ俺ゼノンとだな」
「最低ですね…」
俺とゼノン、リコリスとリアーシで雪合戦をした。
こんなふうに無邪気に遊ぶのは何年ぶりだろうか。
「ちょ、ゼノンもっと頑張ってくれ」
「力加減が難しくてな…強く握りすぎると痛いだろ」
「くそっ、相方ミスった!」
ゼノンが雪玉を作ると固くなりすぎて投げたら怪我をさせてしまう。
つまり俺が雪玉を作らないとなのだが、ゼノンはその間肉壁になっている。
そして投げようとしたところにリアーシが顔面に当ててくるため反撃ができない。
結局俺とゼノンが雪まみれになって敗北した。
なんでやねん。
「え、自分でペア決めて負けちゃうんですか?恥ずかしくないんですか?」
「もう雪合戦やめよう…雪だるまでも作ろう…」
負けたけど、楽しかったな。
雪だるま作りはゼノンが大活躍だった。
さすがのステータス、筋力がすごいからバカでかい雪だるまを作っていた。
「水属性の魔法にスノーゴーレムっていう上級魔法がある。使える人がいたら、動かせたんだがな」
「雪なのに水属性なんだな」
「そういう理だからな。とはいえ、水属性の魔法を極めた者でも氷や雪を操れない人は多くいる。気に病むことではない」
そもそも俺上級魔法使えないからね。
励ましてくれてるところ悪いけど、もっと根本的なところで傷ついてるからね。
「氷とか雪で水属性ってやっぱおかしいよな」
「何言ってるんですかこの人。リコリスちゃん雪に石でも入れました?」
「頭打っておかしくなった訳じゃないからね?」
「そもそも、氷も雪も溶けたら水ですからね」
「状態は変化してるだろ?原子とかは同じでも、並びは違う」
まぁ考えても仕方ないだろう。
ぶっちゃけ水属性が使えない俺が雪操れないのなんでなの?っていう疑問だし。
練度不足と言われたらそれで終わりなんだが。
「あながち、深い問かもな。皆ルールを疑うことをしない。ユージだからこその視点とも言える」
「逆張り野郎ってだけじゃないですか?」
「それ以上言うと泣くぞ」
めちゃくちゃ遊んで疲れたが、どうやら疲れたのは俺とリアーシだけらしい。
ゼノンは言わずもがな、リコリスもまだまだ元気そうだ。
いつも眠そうだが、遊ぶとなったら見た目相応の若さだな。
…これ以上考えると俺とリアーシがジジイとババアになりそうだから、何も考えないでおこう。
「そろそろ野営にするか。疲れたし、雪が溶けてきて服がビチョビチョだし」
「それもそうだな」
そんなわけで今日は遊んで終わった。
こんな日があってもいいと思う。
でも、何となく嫌な予感がする。
これが最後の楽しみとか…は、さすがにないか。
「そんな不吉なこと考えるな」
「あ、悪い悪い。読心があるんだったな」
「読みたくなくても流れてくる。あんまりいいもんじゃない」
強そうなスキルって何らかのデメリットあるよな。
まぁ俺にはあんまり関係ないか。
てことで今日は寝る。
疲れた。
明日からまた村に向けて出発だな。




