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私たちって本当に双子なの?  作者: 青いバケモノ
進路についてとお弁当
7/19

進路②

 部屋の中に入り、四番の席を見つけ、座る。合計五人座り、説明が始まる。

 この短大は、私が入る年で新しく四年制となり、卒業時大卒資格を手に入れることができる。新しく四年制になるということで、新校舎もでき、それを一番最初に体験できるのは私たちらしい。

 授業内容は、パソコン重視というよりも、座学多めで、IT系の資格を取るような感じらしく、現実的に行くならここだと思う。


 四番の説明が終わり、次は専門側の部屋へ行き38番を探す。


「あ、20番あった。じゃ、またねフウ」

「またね」


 京香が20番へ行った。私も38番を見つけたので、椅子に座る。


「それじゃあ、五分後くらいから説明を始めるので、それまでお手洗いなど、ありましたら行ってきてください。」


 特にやることもなく、パンフレットを見る。流石は専門というべきか、たくさんのパソコン室に、きれいな校舎の写真がたくさんあった。


「それじゃあ説明を始めます。」


 全国にある専門学校だ、やらお金はかかるけど設備がいい、やら専門としてありきたりな説明を受けた。印象としては相当な厚化粧で、教育方針も九割九分パソコンだと言っていたので、あまり行きたいとは思えなかった。

 次は20番なので、20番のところへ行く。が、まだ説明が終わっていないようだった。


「なかなかにいいところだったと思うよ。」

「へ~それは楽しみ」


 京香が38番へ行く。私も20番に座り、ワークシートの用意をする。


「それじゃあ、さっそく説明を始めるね。ワークシートの書くところはこっちで用意しとくから、それを書くだけでいいよ。」


 色々考えて書かなくてはいけなく、めんどうだったのでありがたい。なにより、どこ書こうか、と悩む時間がないおかげで集中して聞くことができる。


「もちろん、書きたいところがあったらいくら書いてもオッケーです」


 それから、電子系専門学校の説明が始まった。利点や欠点、どういう授業をするのか、お金はどのくらいかかるのか、駅からの距離等、色々な説明を受けた。


 全ての説明が終わり、京香と合流し、ホテルから出る。最後のところは県をまたぐ、という点以外は相当良かった。


「一人暮らし…一人暮らしかぁ……」

「流石の京香でも一人暮らしは躊躇するのか。」


 いつも何事でも即決してる京香にしては珍しく、即決できていない。


「私だってちゃんと考えてるんですぅ〜」

「その割には勉強してないけど」

「…今回のテストは勉強してるもん」

「知ってるよ。偉いね」

「でしょ?結構前から始めてるんだよ!」


 褒められてうれしかったのか、京香が超ドヤ顔になってしまった。

 それにしても一人暮らし…流石に私にその択はないかな。何よりカエデと離れたくないし。

 そして、先生にワークシートを渡しに行く。


「そのボードも貰っちゃっていいの?」


 先生に言われ、気付く。そういえばこのボードと鉛筆は、あのパンフレット配りおじさんから借りた物だった。


「すみませんり返し忘れてました。大学のパンフレットを配ってる人から渡されてた物です。」

「それじゃあまだ中に人いるから、返してきて。もしいなかったら先生に渡してくれればいいよ。」


 先生に言われたとおりに再度ホテルの中に入り、パンフレット配りおじさんの定位置へ向かう。


「すっかり忘れてたね~これ。」

「うん。とりあえずさっきのところにいるといいけど…」


 流石にもういないかなぁ、と、私は一抹の不安を抱きながら階段を降り、廊下を見る。すると…


「ん?…君たち、どこ志望?」

「あ、もう私たちは貰ってます。」


 パンフレット配りおじさんがパンフレット配りの呪文を唱えてきた。危うく今でも重いバッグがさらに重くなるところだった。

 というかもう誰もいないのにずっと定位置にいるし、明らかに今生徒がいたらおかしいのにそれより先にどこ志望か聞いてくるし…

 恐るべし。パンフレット配りおじさん。


「パンフレットをもらった時に借りていたボードとペンと紙を返しに来ました。」


 そして、パンフレット配りおじさんにボードと紙とペンを返し、そのまま来た道を戻り、ホテルから出る。


「ワークシートも渡したし、ボード達も返した。もう帰っても大丈夫だよね?」

「う~ん、いいんじゃない?多分。大丈夫でしょ」


 もうやるべきことはなくなったので、帰路に就く。京香は今日、この後学校で委員会活動があるらしく、帰り道が学校まで一緒なので一緒に帰れる。帰りも暇しなさそうで嬉しい限りだ。



§  



「フウ、そろそろ好きな人とか出来た?」


 たわいもない話を10分程度していたら、京香が突然そんな話を振ってきた。京香が恋愛がらみの話をするのは、実は、珍しそうに見えて、珍しくなくなくない。

 つまり、京香は意外と恋愛がらみの話をするのが好きなのだ。


「好きな人?もちろんいるよ。」

「…家族っていうんでしょ?どうせ」

「よくわかったね」

「前にもやったよこのやり取り!フウはいつもこの手の話題を振ると家族っていうもん」


 私自身、昔からドがつくほどのシスコンだったので恋などしたことがなかった。そのため、好きな人などの話題になると決まって家族と言っていた。


「京香は好きじゃないの?家族」

「そりゃあ好きだけどさ~…そういうことじゃないじゃん」


 京香はいつも私がそっけない態度をとったり、適当にしゃべっていても、永遠にしゃべってくれているので話が途切れることはない。いつもはそれがありがたいことだったのだが、それすなわち、京香が恋愛がらみの話をした瞬間、強引に話を変えるのはほぼ不可能だということだ。


「好きな人なんて人生で一度もいたことないよ。」

「う~ん…なんか、いそうなんだよなぁ」

「なにそれ」

「野生の勘」


 もしや京香は私に妹がいることを知っていて、しかも私がドがつくほどのシスコンだということまで知っているのかもしれない。そう思わせるほどには京香の野生の勘は当たるので注意が必要だ。


 カエデと学校で話をするの禁止。このルールを守り、カエデとは学校で接点がない。名字は同じだが、友人層も違えば、名字が同じことなんてまぁまぁあることなので特に話題にもならない。

 よって、この学校で私とカエデが姉妹であることを知っているのは先生か、中学生が同じ人くらいだが、中学生が同じ人は多分、この高校にはいない。

京香ぐらいにはカエデと姉妹であることを話してもなんも問題はなさそうだが、カエデの許可なしにやると怒られるかもしれないので言わない。


「そういう京香は好きな人いるの?」

「う~ん…いないかなぁ」


 京香も私と同じように恋愛経験が0だ。まぁいつでも元気!な感じなので恋愛とか私と同じでよくわかってなさそうだから意外ではない。恋愛の話が好きなのは、私が恋愛系の小説や漫画が好きなのと同じような感じだろう。多分。


「あ、でも気になってる人はいるよ?」

「ふ~ん………え?」


 初耳だ。気になってる人?それは好きと何が違うのだろうか。というか京香は好きという感情を理解しているのだろうか?


「気になってる、と、好き、って何が違うの?」

「いや私、好きって感情のことよくわかってないから…」


 やっぱり好きという感情を理解してはいなかったらしい。だとしたら、何故その人を気になってる人だと思ったのか、恋愛を知らない者同士の(だった)京香だからこそ、気になる。


「気になってるってどうやって分かったの?」

「実は同じ図書委員の人なんだけど、最初は優しいな~くらいにしか思ってなかったんだけどいつの間にか目で追うようになってて…それで気づいた」


 少し顔を赤くして話す京子の姿は、恋する乙女の姿そのものだった。


「ふ~ん、いいじゃん。名前はなんていうの?」


 こんな姿の京香など見たことがなく、なぜか自然と応援したくなった。


「それは…え~っと…ないしょ!」

「え~別にいいじゃん」

「ダメ!なんかなんとなく嫌」

「酷い」


 裏工作でもしようかと思ったが、名前が知らないんじゃどうしようもない。


「あ、学校ついたよ。応援してるね。その恋」

「だから、まだ恋だと決まったわけじゃないって!」

「はいはい、そうだったね。それじゃ、また明日」


 京香に別れの挨拶をし、学校近くの自販機の前に立つ。ジュースを飲むつもりもないし、買うつもりもないが、自販機の前で悩んでるふりをする。私たちの後ろにカエデが友達と帰っている姿が見えていたので、ここで待ち伏せをする。

 多分、その友達が歩きということは、目的地は学校だ。なので、ここで待ってればカエデと一緒に下校できるはずだ。


 案の定、カエデは友達と校門前で別れていた。そして、カエデがこっちを向き、歩いてくる。


「何してるの?」

「カエデを待ってた」

「なんで?」

「一緒に帰るために決まってんでしょ。ほら、帰ろ」

「先に帰って待ってればよかったのに」


 カエデがつれないことを言う。しかし、カエデはツンデレデレなので、本当は一緒に帰れるのは嬉しいと思っているということを私は知っている。


「一緒に帰るのなんて、またいつ出来るか分かんないし別にいいでしょ。」

「まぁ、別にいいけど」


 たわいもない話をしながら歩く。速度は限界まで落として、カエデと一緒に帰る時間を出来る限り延ばす。それに対しカエデも私に合わせてくれてる。いつもは5分で着くのも、いまなら15分はかかると思う。

 話してる内容も、距離も、何も京香の時とは変わらないはずだが、カエデと一緒にいるとより楽しいものに、より幸せなものに感じる。


「今日、キスの日でいい?」

「なんで聞くの?」

「なんでもいいじゃん。で、いい?」

「別にいいけど…」


 今のカエデは週二回と制限はあるが、今日キスしていいかと聞くと簡単に了承してくれる。だけど、今手をつなぎたいとか、腕を絡ませたいとか言っても多分、了承されない。

 こうやって二人きりで帰っていると、カエデと手をつなぎたくなるし、腕を絡ませたくなる。とにかく、いまよりももっともっと近くでカエデを感じたくなる。


 いつかはカエデがそれを了承してくれる日が来ることを切に願い、私はカエデの肩と私の肩が当たるくらいまで密着した。



§



「ただいまー」

「おかえり」

「同じタイミングで帰ったんだからおかえりはおかしくない?」


確かにカエデの言う通りだ。何となく、先にカエデがただいまと言ったから言いたくなってしまった。


「まぁまぁ、別にいいでしょ。」

「別にいいけど」


手を洗い、自分の部屋へ戻りお弁当を持ち洗面所へ行く。

まだ半分くらいしか食べれてないお弁当は勿体ないが、捨てるしかない。流石に常温で保存され続けたお弁当は危険すぎる。

今度からこういう時は常温でも大丈夫な物しか入れないように気をつけよう。


「お姉ちゃん、お弁当。美味しかった」

「ありがとう」


カエデはいつもお弁当を出す時美味しかったと言ってくれる。お弁当を作ってる身からしたら本当に嬉しい。


「じゃあお弁当出して?」


基本的にお弁当は私が洗っている。最初はカエデが、作って貰ってて洗うのまでお姉ちゃんなのは流石に良くない。と言ってたのだが、私が、朝いつもいつも起こしてもらってるし、朝ごはんは作って貰ってるから等と言い、結果的に私が洗うようになった。


お弁当も、朝私が起きて使ってるわけではなく、前日に作っておいてそれをお弁当に詰めるだけだ。しかもお弁当に詰めるのはカエデがやっている。

カエデ的にはお弁当を作ってるのは私らしいが、私からしたらお弁当は2人で作ってる物だ。


「はい」

「ありがと。」


カエデが自分の部屋へ戻って行った。自分の弁当を洗い、次にカエデの弁当を開け、中身をすてようとした瞬間、気づいた。


「カエデ!お弁当全部食べたの!?」

「え、う、うん。」


私は、手を拭いて滑り込むようにカエデの部屋に入った。普段ならこんなことはしないのだが、今回は仕方がないと思う。なんと、お弁当の中身が全てなかったのだ。

カエデは食べるのが遅く、今日は時間が無かったので本当に頑張って食べてくれたのだろう。本当に嬉しい。


「お姉ちゃんが作ってくれたお弁当だもん。絶対に残さないって決めてたから。」

「カエデ〜」


嬉しすぎて思わず、ベッドを背にしているカエデに近づき抱きつく。


「急にどうしたのお姉ちゃん」

「感極まっちゃって。次いでにキスしていい?」

「ここ私の部屋だからダメ」


カエデはどうしても私の部屋以外ではキスをしてくれない。


「だから…」


カエデは立ち上がり、部屋から出ていった。

私は、カエデを追うように部屋を出てた。カエデはそのまま私の部屋の扉を開け、中に入って行ったので、私も、カエデを追うように部屋へ入った。


「カエデ?」

「…」


カエデが無言でベッドに座った。

流石にこれは、キスしていいよ。という合図と見ていいはずだ。


「キスしていいよってこと?」

「…約束してたし、今日するって。」


遠回しな言い方だが、つまりそれはキスをして良いということだ。カエデからこんな行動に出てくれるとは思わず、心臓がドックンドックンと鳴り止まない。


「カエデ…」


いつものようにベッドを背もたれにするのではなく、ベッドに直で寝ているカエデに立ちながらキスをする。

立ちながら座ってる人へのキスは体勢がキツいので、キスをしながらカエデを押し倒す。


頭のネジがどっかに行ってしまった私は、カエデを押し倒したとしても止まることなどない。


「…お姉ちゃん、ちょっと息苦しい」


何度も何度もキスをしすぎたせいで確かに息苦しさはあるが、私からしたらそれはもはや心地良いものだ。

いつもなら止まるが、その私を止める為にあるはずのネジがどっか行ってしまっているので止まれない。


「ちょッ!んっ」


制止しようとしているカエデを無視し、キスをする。相変わらずカエデの唇は柔らかく、ただでさえどっかに行ってしまったネジのせいで止められない理性が更に止められなくなってしまう。


「お、お姉ちゃん…息、苦しいって」

「そんなの、関係ない、から。」


私もカエデも息切れしているが、そんなのは関係ない。

ネジが外れている状態でカエデを押し倒しているのに我慢なんて出来るわけが無い。


「カエデは人の事押し倒したことないからわかんないだよ」

「どういうこと?」

「何か、えっちぃ。」


押し倒す、という単語自体ちょっとえっちぃが、それを実行したら、そりゃあえっちぃに決まってる。


「え?は?…ドヘンタイじゃん」

「いや、正常だよ」

「それ理性止めるネジ外れてるでしょ」

「とっくにね。」


私は、もう一度長い長いキスをした。流石に双子で舌を入れるキスは出来ないが、この調子だといつかはしてしようとしてしまいそうだ。

もちろん、そうなった時はカエデが意地でも唇を閉じたままで開けないようにすると思うので、関係ない。


「…お姉ちゃん、そろそろご飯作ってよ。お弁当は私が洗うから」

「まだいいでしょ」


そういい、キスをしようとしたが、カエデに唇を手で塞がれてしまった。

カエデの手へのキスも中々に良い。


「分かった。バレンタインの日、一日中キスおっけーにするから、その代わり今日はおしまい。」


超魅力的な提案だ。

ほぼカエデから誘われ、そのまま押し倒したこの状況を我慢してでも欲しい褒美すぎて、理性のネジもどこからか戻ってきそうだ。


「…わ、分か…った。」

「じゃあおしまいね。私お弁当洗うから、お姉ちゃんは夜ご飯作っといて。」


仕方が無いが、ここは我慢するしかない。

カエデとのイチャイチャはなにもキスだけではない。一緒にご飯食べたり、一緒に洗い物したり、一緒にアニメ見たり、ゲームしたり、漫画や小説読んだりetc…とにかく沢山あるのだからこれくらいは我慢しよう。


「ほら、お姉ちゃん、早く行こ?」


ベッドから出て、扉の前にいるカエデが言う。


「…今日の夜ご飯は何がいい?」


さっきの事はキッパリ忘れて、過去ではなく今を、これから起こることを楽しみに生きようと改めて決心した。

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