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私たちって本当に双子なの?  作者: 青いバケモノ
つかの間の休息と友達襲来
23/23

心配性なカエデ

「ごめんってカエデ。シャワーが気持ちよくて忘れてたんだよ。」

「これだから露出狂お姉ちゃんは…」

「ちょっと?別に私は露出狂じゃないからね?」

「一回ならまだしも、二回もやったし。しかも短時間のうちに。」

「ごめんって。別にそんな気にすることでもないでしょ?」

「気にする」


 カエデが作ってくれた朝ご飯を食べながら雑談をする。朝カエデとご飯を食べること自体、中々にない事なので普通に嬉しい。

 しかも、まだ六時前なのでこれから何でもできる。今まで早起きとかしたことなかったけど、やっぱり早起きは良い。出来る事なら毎日したい。


「あ、そういえば、風呂出てから熱測った?」

「いや?自分の部屋に置いてきちゃった。」

「じゃあ測って?これで38超えてたら流石に学校は無理でしょ。」

「えー」


 38あっても別に…いや、流石にフラフラしそうだし、危ないか。


「じゃあ体温計取ってくるね」

「うん。」


 自室へ行き、体温計を取り、そのまま歩きながら測る。


「どう?」

「今測ってる最中。」


 ピピピピ ピピピピ ピピピピ


「あ、ちょっと早くない?」

「…」

「お姉ちゃん?何度だった?」

「36.8…」

「え、えぇ…」


 なんかお風呂入っただけで治っちゃった。

 いや、普通に考えておかしくない?


「普通人間ってお風呂入っただけじゃ治んないんだよ?」

「いやぁ…薬のおかげかな」

「…この薬解熱作用あったっけ…ただの痛み止めだよね?」

「うん。そのはず」


 まぁでも、この調子なら学校は大丈夫そうだ。


「じゃあ今日は学校行けるね」

「…まぁ、大事な時期だし…いや、でも…早退でもいいんじゃない?」


 確かに早退なら欠席カウントではないので、欠席日数が増えるわけではないが、普通に授業休んだことになるのでそれは最終手段だ。


「辛かったらね。」

「それ絶対早退しないやつじゃん」


 流石はカエデ。私のことをよくわかってる。

 私は倒れるまでは平気!派なので、早退することはそうそう無い。それこそ、本当に倒れない限り。


「まぁ、大丈夫でしょ。36なんだし。」

「…」


 一瞬顔を縦に動かしたので、渋々だが納得してくれた、ということだろう。


「ご馳走様。」

「…風邪でも食べるの早いね」

「食欲はあるし。それにもう風邪は治ったって」

「でも寝起きは38だったんでしょ?流石に治ってるとは思えないんだけど」

「いやいや、普通にもう全然ヘーキだから。」

「…ならいいけど」


 昨日に比べたら、今なんて元気いっぱいだ。頭は動かさなければ痛くないし、喉だって喋らなければ痛くない。

 なにより、立ってても全然ふらつかない。これなら学校くらい行けるはずだ。学校近いし登下校も何とかなるだろうし。


「ごちそうさま。」

「あ、じゃあ今日はカエデの分まで私が食器洗うよ。」

「え、いいよ。」

「いつも朝私の介護してくれるじゃん?そのお礼だと思って。」

「…」


 食器をシンクに持っていくために、カエデの食器に手を伸ばした―――が、その手はカエデによって阻まれた。


「やっぱり、心配だから学校の時間までは部屋でゆっくりしてて。食器は私が洗っとくから。」

「いや、大丈夫だって。」

「ダメ。ほら早く。歯磨きしたいなら歯磨きしてから部屋行って。」


 こうなった時のカエデは頑固だ。そして、この心配性はお母さんからの遺伝だ。

 お母さんは昔から大の心配性で、私たちにもその遺伝のせいかどうかは知らないが、めちゃくちゃ心配性に育った。

 もちろん私が逆の立場だったら絶対にカエデには安静にしてもらうし、学校でもずっと付きっ切りになってしまうと思う。


「分かった。歯磨きしたら部屋で休んでるね。」

「うん。そうして。」


 朝こんなに時間があるのは本当に珍しい。いつもはちょっと急いで歯磨きをしているが、今日はゆっくり、丁寧に歯を磨く。



 §



「おねえちゃ~ん、そろそろ出てきて~」

「ん?」


 今の時間は8時30分。私が家を出るには早いが、カエデが家を出るには遅い時間だ。

 この時間にまだカエデが家にいること自体珍しい。


「そろそろ家出るよ」

「え?」

「あ、あともう一回体温測ってね?」

「う、うん…」


 なんかカエデは当たり前のように言ってるけど…もしかしなくても、一緒に登校するってことだよね?

 高校生になってから初めてのカエデとの登校!風邪にもなってみるもんだなぁ


 ピピピピ ピピピピ ピピピピ


「どうだった?」

「…」

「お姉ちゃん?」

「37.8…」


 最悪だ。寝っ転がってたせいで熱があがってしまった。

 いや、でも…確かにちょっとフラッとするかもだけど、今日は体育ないし、全然問題ない。


「38行ってないし、いいよね?」

「…38行ってそうだったら早退ね。あと普通に辛かったら早退。」

「!うん!じゃ、着替えるからちょっと待ってて!」



 §



「まさか高校生になってからカエデと一緒に登校できる日が来るとは思ってなかったよ」

「…確かに。とはいえほんの数分だけどね?」

「それでもいいの。カエデと一緒に登校した、っていう事実だけで。」

「…ならいいけど。」」


 結局、5分経たずで学校に着いてしまった。いつも通り階段を4つ上がり、2-1の教室に入る。


「あ、カエデ、遅かったね」

「フウは…もう大丈夫なの?」


 珍しいことに、京香と桜井さんが朝から雑談している。


「ダメ。普通に熱。あまり近づかない方がいいよ?」

「そんな事より、京香と桜井さん、朝から一緒って珍しいね」

「そ、それは…元から仲良かったですし…」

「前まではカエデさんが朝早くて、よく桜井と話してたから遠慮してたけど、今はどっちも友達だからねー!」


 たしかに。そういえば、京香と桜井さんは図書委員の仕事で前から友達だったとか何とか。逆に京香の性格で今まで強引に話しに行かなかったことのほうが不思議だ。


「ってか、熱あるって全然そんな事じゃなくない?」

「来て大丈夫なの?」


 せっかく話題を逸らしたのに結局熱の話になってしまった。


「だから、今日の私はお姉ちゃんの介護係。」

「介護?」


 カエデが全部説明してくれる。全く、カエデは本当に心配性なんだから。 

 …って、え、介護?何それ、聞いてないんだけど?


「…介護って何?」

「お姉ちゃんが倒れないように、今日一日中、帰るまで私が介護する!」

「珍しくやる気だねカエデ」

「聞いてなかったんだ、フウ。──でも、心做しか、朝にしてはいつもより元気な気がするんだけど」


 流石は京香。ものすごく小さな変化にも気づいてしまう、言わば、野生の勘だ。


「汗だくで朝5時に起きちゃったんだよね。あと、普通に昨日寝るの早かったし。」

「まぁとにかく!今日は一日中、私がお姉ちゃんのお世話するから!」



 §



 約二年間も学校での会話を禁じられていたにもかかわらずただの風邪で、しかもカエデから学校での会話okにしたのは何故か、風邪だとはいえ、たった風邪一つで崩壊するような軽いものだったのか、結局私の中に疑問は残ったままだったが、カエデ曰く「あと一年だし、二人にもバレちゃったし、そもそも私の目的はほぼ達成してるし」的なことを言っていた。

 目的が何なのかは分からないが、まぁ、何はともあれカエデと学校でもいちゃいちゃ出来るのならそれに越したことはないけど。


 それにしても、ちょっとキツイ…


「お姉ちゃん、次講座だから移動だよ?」

「うん。」


 動くのはちょっときついけど、これもまぁ、頭を動かさなければ平気だ。


「…お姉ちゃん、大丈夫?」

「うん。薬も(多分)効いてるし、頭さえ動かさなければ。」


 そう、下手に動かなければ、いつも通りだ。今日はこのまま消極的にしていよう。



 その後もカエデの献身的な介護は続き――――


「ノート写せなかった所無い?」

「うん、大丈夫」


 §


「カエデさん、何かフウに近くない?」

「…でも、フウさんニッコニコだよ」

「フウはシスコンだからなぁ~これで風邪も治っちゃったりして」

「カエデもあの感じなら相当フウさん、お姉ちゃんのことが好きそうだね」

「姉妹仲が良いのはいいことだー!」


 §


「カエデ~疲れたぁ…」

「わっ…急に来られるとびっくりするんだけど」

「フウ?風邪でちょっと変になってるからって、抱き着くのは流石に距離近くない?」

「いや、これくらいいつも通り。」

「え」

「本当に仲が良いんですねぇ」


§


 こうして、気が付けば昼になっていた。


「お姉ちゃん、食欲ある?大丈夫?」

「うん。全然食べれるよ。」


 カエデは、私の机まで椅子を持ってきて、一緒の机で一緒にご飯を食べている。

 めっちゃぎゅうぎゅうで、めっちゃ良い。


「美味しそ~」


 今日のお昼ご飯はなんと贅沢なオムライス。そしてカエデのオムライスは本当に美味い。…いや、別にカエデの料理は何でも美味いけど。

 それは多分、愛という名の隠し味がたくさん入ってるからだ。カエデが私の料理を美味しいというのも、愛という名の隠し味の効果だ。


「やっぱスプーン重いからあーんしてもらおうかなぁ~」

「…」


 冗談半分で言ったが、カエデは何も言ってこない。

 いつもだったらすぐに「無理」という言葉が返ってくるのに。


「はいあ~ん」

「んっ!、んむっ…」


 あーんしてくれたのは、愛しのカエデ―――――


「はいはい、美味しいですか~」

「…京香に言ってないんだけど」


 ではなく、ただの京香だ。…いやただの京香ってのはおかしいか。


「二人とも、イチャイチャしすぎ。特にフウ。露骨すぎ。」

「え~、でも、こんな機会二度と来ないだろうし…」

「フウさん、無茶はダメですよ。いつもと比べて声も小さいし、明らかに動きも最小限。まだまだ全然体調悪いですよね?」


 流石は桜井さん。結構隠してたのに、ほとんど全部バレてる。ということは多分、カエデも、京香も気づいている。


「今日はあと半分だけだし。頑張るよ。それよりカエデあーんし…」

「はいあーん。……全く、隙あらばカエデさんに甘えようとするじゃん。一応フウがお姉ちゃんなんでしょ?」


 その調子で午後も生き抜いていき――――――


「じゃ、安静にしてろよ~?フウ。」

「明日には治ってるといいね。」

「うん。ありがとう二人とも。」

「じゃ、また明日。帰るよお姉ちゃん」


 一日が終わった。


「はぁ……流石に疲れた…」

「家帰ってすぐ寝ようね?お姉ちゃん。あとすぐに体温測るからね?」


 今はカエデと二人っきりの下校中。ありがたいことにカエデと同じくらい心配してくれた京香と桜井さんを安心させるためにも家に帰ってすぐに体温を測って、平熱or微熱だということを証明して安心させたい。


「うん、多分ないだろうし…」


 頭は痛いし、体もダルイが、これは無茶した結果なだけで多分熱は無いと思う。


「ただいま~」

「おかえり。」

「カエデも一緒に帰ってたでしょ。」


 家に着いたので手を洗い、さっそく体温計を手に取る。


「…」

「…」

「近くない?」

「ちゃんと見とかないと、お姉ちゃん体温報告誤魔化そうとするから、ちゃんと確認しないと。」


 いつも38だったら37、37だった36,9と嘘をついてきたせいで、流石にカエデの警戒も上がっている。…まぁ、前科もあるし、仕方がない。


 ピピピピ ピピピピ ピピピピ


「あ、終わった。」

「ちょっと長かったんじゃない?」

「…いやいやそんなわけ…ないよ…ね?」

「結果は?」


 予想外すぎて声が出ない。

 とりあえず、無言でカエデに体温計を向ける。


「38.4!?…え、ヤバいじゃん」

「うん。」

「いや、こんなことしてる場合じゃないよ。ほら、早く部屋戻って!」

「ちょ、ちょっと待って!…せめて着替えだけ…」


 本当はお風呂に入りたいけど、仕方がない。風邪治ったら念入りに布団と枕と毛布、洗おう。


「はい、安静にしてね。食欲はある?」

「うん。普通に。」

「良かった。それじゃあ、お粥作るから。」


 パジャマを着て、カエデに連れられ、強制的に寝かしつけられる。でも、ゆっくり布団に寝っ転がってるこの瞬間が、今日一気持ちが良い。

 やっぱり、自分では気づいてなかったけど、結構無茶してたのかな…


 とりあえず、京香と桜井さんに無事死亡したことを伝え、リモコンに手を伸ばしてアニメをつける。どんなに体調悪くても、ベッドに横になったらアニメをつける、という習慣は治らない。…大学生になって困るのは自分だし、早く直さないと…


「はいお姉ちゃん。出来たよ」

「ありがと」


 アニメ一話の途中ら辺で、カエデはお盆を持ちながら部屋に入ってきた。お盆にはお粥とスプーンに加え、ゼリーがある。本当に気の利く最高の妹だ。

 さっそく座りお粥を食べようとしたが、カエデは私の体を押さえて、そのまままた同じように横にされた。


「お姉ちゃんは楽にしてて。私があーんしてあげる。」

「やった~ありがとう。」


 やっぱり私が風邪の時のカエデはいつものカエデに、カエデに甘いいつもの私をプラスしたかのように甘い。

 横になりながらカエデの方を向くと、ティッシュを口元に置き、スプーンで掬ったお粥をふーふーしている。因みに、このティッシュは零した時の処理がめんどくさいから、零しても大丈夫なようにするためのティッシュだ。


「はい、あーん。」

「あーん…美味い!」

「何回でもいうけど、お粥なんて誰が作っても同じだから。」


 私だって何度でも言うさ、カエデのお粥は世界一だってね。


「それじゃ、ちゃんと寝て、きちんと治してね。」

「うん。」


 今から寝れば―――約12時間は寝れる。

 流石にそれくらい寝れば治ると信じて。寝よう。


「…キッツイ……」


 …寝れない。それにしても、頭が痛い。熱の時特有の体の痛みもあって、どの体勢にしても辛い。ダルさMaxなのかは分からないけど、とにかくキツイ。


 §


「…あ、起きた?」


 朝起きたらベッドによりかかって座ってるカエデがいる。いつもだったらそれは実に喜ばしいことで、今すぐにでも手を伸ばしてカエデに抱き着きたいところだが…体が言う事を聞かない。朝だから、という訳ではない。体が動かないだけでなく、喉もいう事を聞かないせいで声も出せないし、とにかく体がダルイ。


「朝お姉ちゃんの部屋に行っても起きてなかったから、測ったら普通に38あったからそのまま寝かせといた。」

「い、いまなんじ?」

「めっちゃ声がっさがさじゃん。無理しないでね?」


 なんとか絞り出した声は思ったよりもがっさがさで、喉が痛い。とりあえず、近くにあったペットボトルを取って飲もうとするが、頭が動かせないので普通に飲むこともできない。


「今は9時。はい、ストロー指したから、それ使って飲んで?」


 カエデは本当に気が利く女神みたいな妹だ。

 スポドリか緑茶か迷ったが、緑茶を取り、めちゃくちゃ赤く炎症してるであろう喉に流し込む。飲むときの痛みはあれど、そのおかげでだいぶスッキリした。


「9時って、学校はどうするの?」

「いや流石にダメだよ?」

「いやまぁ、私はそりゃそうだろうけど、カエデは?」

「私はお姉ちゃんの看病。流石に病人置いて学校には行けないよ。」

「…」


 …やっぱり、無理は良くない。自分だけならともかく、カエデにまで迷惑をかけてしまったし。


「お姉ちゃんも、これに懲りたら今後あんまり無茶をしないことだね。」

「は~い。」


 風邪の時は安静に。今後はそうしよう。







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