京香と優子の初めて 20.5話
「梅木さん、ラベル貼り終わりそうですか?」
「うーん…まだ慣れない…」
今日は初の図書委員の仕事。同じクラスの視聴覚委員、つまり同じ図書室の仕事。梅木さんとは初コンタクトだが、印象通り元気な人だ。
何をやるにもニコニコしてて、結構めんどくさい作業であるラベル貼りで、苦戦をしているのにもかかわらず心なしか楽しそうだ。
「桜井さんはすごいね、今日が初めてなのにそんな綺麗に出来るなんて。」
「…昔から手先は器用だったので…梅木さんも、苦戦してるのに楽しそうで、なんというか、凄いですね。」
「あはは、元気だけが私の取り柄だからね!それに、ラベル貼りだって楽しいし!」
気のせいでも何でもなかったらしい。梅木さんは本当に、ラベル貼りを楽しんでいる。
「…楽しい?」
「?うん。難しいけど、全然楽しいよ?」
…ものすごく眩しい、笑顔が。
心の底から見てるこっちも元気に、なんだか楽しくなるような純粋無垢で綺麗な笑顔。
「…手伝いますよ。私の方は終わったので。」
「え、ほんと?ありがとう!優しいんだね桜井さん。」
笑顔が眩しい。そんな大したことじゃないのに、ここまで感謝する必要などないのに。
「別に。大したことじゃないですよ」
「私からしたら大したことだって~ほんと、ありがとね!」
「…笑顔が眩しい……あ」
「え?」
つい声に出てしまった。あまりにも笑顔が眩しくて…
「そんな眩しい笑顔だった?」
「うん。」
「へ〜。面白いこと言うね、桜井さん!」
「いや…本当に笑顔が眩しくて…」
誇張とかではない。本当に何故か直視できない。
梅木さんの明るさと、可愛さも相まって直視できない。何故か、目を逸らしてしまう。
「…あれ?これミスってる?」
「あ、そこは先に折ってから…」
それから、幾つかラベル貼りをし、やり方を教えるなど図書委員の仕事を黙々と進めていった。
§
「ねぇねぇ、桜井さん。桜井って呼んでいい?」
「え、うん。全然いいよ。」
「じゃあ、私のことは京香って呼んで!」
「え…梅木、じゃなくて?」
「うん。京香。」
呼ぶのは名字なのに呼ばれるのは名前がいい?…なんにせよ、名前で呼んでって言われたら普通に名前で呼べばいい。カエデの時と同じように、何も考える必要は無い。
「わかった。京香………さん。」
呼ぶだけ。名前を呼ぶだけなはずなのに、京香さんを名前で呼ぶのがなんか気恥ずかしい。
カエデなら全然なのに、京香さんは…なんだか、やっぱり恥ずかしい。
「え〜、京香!」
「京香さん。」
「京香!」
「…京香さん。」
「む~…まぁ、別にそれでもいいけどさぁ…」
何とか納得してくれたらしい。
私だって呼び捨てで仲良さそうに呼びたいが…無理。無理なものは無理。
「それにしても、ほんと図書委員が桜井で良かったよ。」
「こちらこそ。京香さんとだと…その、楽しいから。」
「それは良かった。じゃ、ラベル張りやるぞ~!!」
§
「…というのが、私と京香さんの出会い。」
「なんか、良いね」
「でしょー!実にロマンチックな出会い!」
「ロマンチック?…まぁ、京香がそう言うなら、そうなのかもね…」
ロマンチック…かどうかは分からないが、私からしたら、衝撃的な出会いだった。
まだ、この時は自分の気持ちを自覚してはいなかったけど、半分一目ぼれの様なものだったし。
「じゃ、私たちは帰るね~」
「バイバーイ」
カエデとフウさんが教室を出た。
私たちも、そろそろ教室を出ないと遅れてしまう。
「それじゃあ、京香さん。図書室行きましょ。」
「うん!」




