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私たちって本当に双子なの?  作者: 青いバケモノ
地獄のテストの始まり
16/19

色々やらかすフウ

 四日目のテストが終わった。


「ん~!やっと四日目!」

「…明日明後日の土日がキツいんだよ!フウはもう余裕なの?」


 テストは五回あり、土、日空いて月曜日が最終日だ。個人的には土日があってくれると月曜日の勉強はその土日にかち込むことが出来るのでありがたい。


「余裕ではないけど、京香は土日挟んでのテストとか嫌なの?」

「うん。勉強時間が増えてる気がして嫌」

「へ~。私は好きだけどね。土日にやりまくればいいし」

「……はぁ…勉強しないと…」


 京香が京香とは思えないほど元気がない。元気のない京香もおもしろいが、やっぱり京香には元気であってほしい。


「…土日のどっちか一緒に勉強する?」

「え?いいの?フウ、家は絶対教えん!って前言ってたじゃん」

「京香がなんか気の毒だったから。それに、京香とも一緒に勉強したかったからね。」


 カエデには怒られるだろうが、まぁ、何とかなるだろう。部屋にいてもらうか、外出してもらうか、はたまた普通に京香には真実を話すか。

 カエデには大きな借りを作ってしまうことになるが、まぁ、それも何とかなるだろう。


「ヤッター!それなら今日は死に物狂いで頑張る!」

「うんうん。頑張ってね」


 京香が元気を取り戻してくれたみたいで私も嬉しい。やっぱり京香には元気が一番だ。


「じゃ、また明日か明後日ね、フウ。」

「またねー」


 とりあえず土日のことはカエデに聞かないと何も決められないので、予定は家に帰ってから決めることになった。



 §



「カエデ~なんか話してよ~」

「…」


 夜ご飯も食べ終わって、暇なのでカエデとお話をしようと思ったのだが…カエデはいつも通り無視してくる。いつもいつもご飯中は黙ってるカエデ。


 それなら絶対にカエデの手を止める事の出来る話題を持ってくればいい。


「そういえばカエデ、土日のどっちか京香を家に呼ぶつもり」

「……………え?」


 間が怖い。

 想像を絶するほど長い沈黙だった。


「…どういうこと?」

「え、いや、そのままの意味だけど…」


 軽い気持ちで言ってしまったけど、もしかしたら結構ヤバめだったのかもしれない。


「土日どっち?」

「…それはこれから決めるつもり…」

「…私は部屋にいればいいの?」

「え?…う、うん。そう…」


 めっちゃくちゃ言われると思ったら、何も言われないどころか協力的だ。

 これはこれで怖い。


「えっと…勝手にやってごめん」

「別にいいよ。その分の大きな大きな借りをくれるって事だよね?」

「…」


 やっぱり怒ってた。声と顔と雰囲気で分かる。しかもここ最近で一番だ。

 やっぱり報連相は大事だね。


 まぁ、大丈夫でしょ。ってなっちゃうのが私の悪い癖だ。

 これは迅速に機嫌取りをしないと本当にヤバいかもしれない。


「ご馳走様」

「あ、私が洗っとくよ!カエデは休んでて。テストで疲れてるだろうし!」

「いい。普通に二人でやった方が早いから。」

「はい…」


 …次だ。次はお風呂の時間なのでそこでご機嫌取りをする。


「カエデ!お風呂一緒に入ろ?体流すから!」

「お姉ちゃん変な事しようとするからダメ。」


 …確かに、これはただの私の欲望だった。


 シャワーに打たれながら次はどうしようか考える。後はもう勉強か寝るかゲームか漫画しかない。多分カエデは勉強する。

 勉強のサポートは…あまり効果が無さそうだが、それくらいしかない。


 風呂場から出て体を拭き、ドアを開けてすぐに言う。


「カエデ、お風呂から出たら勉強?」

「うん」

「じゃあ勉強のサポートするよ!」

「いらない」


 カエデがお風呂に入りに行ってしまった。

 やっぱりカエデは相当怒っている。多分これ以上は何を言っても意味が無いかもしれない。


 最後の望みをかけて、リビングでカエデを待つ。

 喉が渇いたので冷蔵庫にお茶を取りに行った瞬間、カエデがお風呂から出た音が聞こえた。


 私はすぐに、もはや鍵をしても意味の無いドアの鍵をこじ開け、ドアを開く。


「カエデ!髪、私が……」


 ハッと気づいたころにはもう遅かった。


 何も考えていなかった。


 今お風呂から出たのなら、そりゃカエデはまだ服を着ていないに決まってる。

 時が止まったかのようにカエデも私も固まっている。

 最近は一緒にお風呂に入っていなかったので、カエデの体を見るのは久しぶりだ。


 チラッと顔を見ると、珍しく照れてめちゃくちゃ顔を赤くしたカエデがいた。


「あ、その、わざとじゃなくて…」


 カエデがタオルで前を隠して、下を向きながら近づいてくる。


「あ、あの…」


 カエデが私をドアの外へ追い出し、思いっきりドアを閉めた。

 声も出ないほど、相当恥ずかしかったのだろう。


 ドア越しに、カエデに言う。


「…体綺麗だね。」

「うるさい、ヘンタイ。」

「あとスタイル良いね。」

「これ以上喋ったら怒るよ?」


 もう怒ってるでしょ。という心の声は置いておいて、これ以上カエデを怒らせるわけにはいかないので、何も言わずにその場を去る。



「…お姉ちゃん、さっきのは何?」


 カエデがお風呂から出てきたが、さっきの話はしない方がいいのかと思って何も言わずにいたら普通にカエデから聞いてきた。


「カエデの髪を私が乾かそうと思って…」

「だからって出てすぐはダメでしょ。そもそも鍵してたんだから開けてこないで」


 それは簡単に開けれちゃうドアの鍵が悪いと思う。


「にしても、やっぱカエデは綺麗でスタイルいい体してるね」

「…発言がヘンタイすぎるんだよ」


 この家にはカエデしかいないんだし、ヘンタイ発言したって別にいい。

 それに、カエデの体は本当に綺麗だ。綺麗で、スタイルがいい。


「それにお姉ちゃんの方が…その圧倒的な胸があるじゃん」

「こんなのいらないよ」

「…それに比べて私はありえないほどちっちゃい胸……」


 カエデが自分の胸を触りながら言う。

 その手を変わって欲しい。じゃなかった、私はカエデのちっちゃい胸の方が好きだし、何を卑屈になってるのか分からない。


「カエデは何も分かってない!」

「うわっビックリした…どうしたの?急に」

「カエデのちっちゃくて綺麗な胸の良さをカエデは何も分かってない!」

「…出た。お姉ちゃんのヘンタイ発言」


 ヘンタイ発言と言われてもこれだけは訂正して欲しい。


 カエデの胸は最高だ、と。


「カエデのちっちゃい胸は、だからこその良さがあるんだよ!まず形が綺麗!小さいからこそ綺麗!まさに美乳。」

「…ちょっと、止まっ」

「それのおかげでスタイルの良さが倍増!さらにカエデの可愛い《《可愛い》》が強調される!そして何より一緒に寝る時に邪魔にならない!それにッ…」

「お姉ちゃんもう黙って。」


 カエデが今髪を拭いていたバスタオルで私顔を思いっきり覆う。まだまだ言いたいことはあったのに。


 …これはこれでカエデの匂いがして良い。


「…匂い嗅がないで?」

「無理」


 カエデが私の顔からバスタオルを取った。

まだまだカエデの匂いは嗅ぎ足りないが、そのバスタオル以外にこの家にはいくらでもカエデのいい匂いがする物は沢山あるので我慢する。


「これからは勉強?」

「うん」


 色々あったが、結局カエデのご機嫌取りは出来てない。


「マッサージするよ!勉強で疲れるだろうし。」

「お姉ちゃん変なとこ触りそうだからいらない。」


 断られてしまった。


 結局カエデは自分の部屋に行き、勉強を始めた。

 私も、歯磨きをして自分の部屋で勉強を始めることにした。



 §



 コンコン


 あれから約2時間が経過した頃、カエデが私の部屋の扉を叩いた。


「入っていいよ~」

「ありがと」


 カエデが部屋の中に入ってくる。見たところ勉強道具を持っているようには見えないので、分からない所があったという訳ではなさそうだ。


「どうしたの?急に」

「…」


 カエデが私の布団で寝っ転がる。何がしたいのか分からないが、とりあえず私もベッドで横になる。


「…お姉ちゃん、一緒に寝よ」

「!…よ、よろこんで!!」


 まさかの誘いだった。

 もう今日は何を言っても拒否されると思ったので誘ってなかったが、カエデと一緒に寝たくないわけがない。


「最近一緒に寝ること多くなったよね」

「…確かに」

「カエデが前より積極的になったからかな」

「…あんまり変わってない」


 そうはいっているが、絶対にカエデは前よりもシスコンになっている気がする。

 カエデもドシスコンへ近づいてきてるのかもしれない。


「ほら、毛布の中入りな。まだまだ寒いんだから」

「…」


 カエデが黙ったまま布団の中に入る。

 今日はカエデは壁側で、私は外側だ。万が一カエデが逃げようとしても、これなら逃がさないようにする事が出来る。


 そんなことを考えていたら、カエデが抱き着いてきた。


「やっぱりカエデ積極的になってるよね」

「…」


 カエデは下を向いたまま喋らない。

 これは何か言いたいことがあるけど言い出せない、という感じの表情だ。(多分)

 普通にまだ怒ってるだけかも知れないが、多分、違うと思う。


「どうしたの?カエデ」

「…」

「何か言いたいことがあるなら遠慮しないで。私には何言ってもいいから。」


 その分私もカエデに対しては何も隠さず全てをさらけ出すけど。


「…お姉ちゃんは…」

「うん」

「お姉ちゃんは…何があっても私が一番だよね?」

「もちろん。当たり前でしょ」

「…私も、何があってもお姉ちゃんが一番だから」

「知ってるよ。」

「…ならいい」


 急にどうしたの?とか、なんでそんなことを聞いたの?とか、言いたいことは沢山あるが、何となく、今聞くのは野暮だと思い、やめた。


 言いたいことが言えてスッキリしたのか、カエデが顔を上げ、ちっちゃくて可愛い手で私の頬に触れる。


「どうしたの?カエデ」

「…」


 カエデの手に力が入ったかと思ったら、軽く、ちゅっと、私の唇にキスをした。


「おやすみ。」

「あ、え、うん。…おやすみ……」


 何が何だか分からず、とりあえず適当な返事をしてしまった。

 カエデからの布団で寝っ転がっている状態でのキス。しかも、何の前触れもなかった。

 何の意味があったのかは分からない。意味などないのかもしれない。けど、なら今ここでキスをする意味が分からない。


 今カエデになんでキスしたのか聞きたいが、おやすみといった手前、なんだか言い出しづらい。


 カエデは地雷が意味不明な所にあったり、今回みたいに怒ってるのかと思ったらキスする、などと意味不明な行動もあったり、正直カエデの行動を読むのは至難の業だ。

 やっぱり、私とカエデは本当に双子なのか、と疑うほどには思考回路も、行動も違う。


 とりあえず、そっぽを向いてしまったカエデに抱き着くかどうか考えるが、今日はちょっと色々ありすぎたので、私は何もせずに眠りにつくことにした。




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