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私たちって本当に双子なの?  作者: 青いバケモノ
地獄のテストの始まり
15/19

イチャイチャと仲直り

 結局昨日はなんだったのだろうか。


 あの後、起きて夜ご飯を食べ、夜な夜な勉強し、普通に学校に行き、普通にテストを受け、家に帰ってきたが、特にカエデに変わった所は無かった。


「…カエデ、今日はどうするの?」

「勉強中は静かにして」


 さっきからずっとこんな感じだ。勉強始める直前にも聞いたが「今から勉強するから後にして」と言われてしまった。


 今日はまた暖房の効いたカエデの部屋で勉強している。2月終盤はやっぱりまだまだ寒い。


「…お姉ちゃん、もう休憩でいいから、その代わり今日の休憩は私のいう事聞いてくれない?」


 カエデが何やら真剣な顔でそんなことを言う。


「え?…全然いいけど…」


 もちろん、全然オーケーだ。

 カエデのいう事を聞くのは実質私へのご褒美でもあるので全然いい。寧ろそれで今すぐに休憩になるのなら明日も明後日もカエデのいう事を聞く。


「ありがと。じゃあお姉ちゃん、ベッドに横になって?」

「よろこんで」


 カエデに言われたとおりにベッドに横になる。カエデの枕に顔を埋めるようにしてうつ伏せになるようにして寝っ転がる。


「カエデのいい匂い…枕最高…」


 シャンプーの匂いだけでなく、カエデの髪の匂いだけでもない。まさしくカエデの匂いがする枕は最高だ。


「匂い嗅がないで」

「無理」

「…」


 カエデが無言で、私が顔面を埋めてる枕を奪い取る。

 まだまだカエデの匂いを堪能したかったのに。


「……布団だと全然カエデの匂いしないんだけど…」

「それでいいよ」

「で、わたしは何をすればいいの?」

「そのままでいいよ」


 そう言い、カエデが私の上に乗った。


「…重い」

「失礼だよ、お姉ちゃん。」


 重いのはカエデではなく人間だ。普通にうつ伏せになってる状態で乗られると赤ちゃんでも重く感じると思う。


「人間が乗ったとは思えないほど軽いけど、普通に人間が重い」

「知ってる。」

「…何するつもり?」


 カエデは上に乗ったまま動かない。カエデの表情を見ようにも、うつ伏せ状態なので見れない。


「こちょこちょする」

「ちょ、カエデっ?!」


 私はこちょこちょが効く側の人間だ。普通にくすぐったいし、普通に呼吸が乱れる。

 今は休憩時間のはずで、こちょこちょされる義理はない。


「いまっ、…きゅうけいっ、ちゅうで、しょっ!」


 いつもは簡単に抵抗出来るのに、うつ伏せと言うだけで何も出来なくなる。上手く力が入らない。


「運動も大事だから、勉強には」

「だからってッ、ちょ、やめっ」


 いつもはカエデにちょっかいをかけたり、襲ったりするのは私からなのでカエデからやられるのは珍しい。

 なにより、私が為す術なくなる状況が珍しい。


「お姉ちゃん…くすぐったい?」

「くす、ぐッ…ん、…たいって!」


 質問に答えても、少し強く言っても止まってくれない。

 昨日のことでの怒りがまだ収まってないのか分からないが、カエデが暴走してるのだけは分かる。


「ふぅ…お姉ちゃん、服が乱れてるよ」

「…カエデのせいでしょ。」


 それに、服くらいどうだっていい。流石に、ここで裸になれと言われたら嫌だが、正直下着くらいカエデに見られたって何も恥ずかしくない。


「ぺらっ」


 カエデがめちゃくちゃ適当な擬音と共に私の服をめくる。


「…何してるの?」

「お姉ちゃんの服を脱がしてる」

「うつ伏せになってるから脱げないよ?」

「…別に全部脱がそうとはしてない」


 カエデが直でこちょこちょしてくる。服の上からの時よりもカエデの手の感覚を味わえて、なんか、ちょっと、良い。


「どう?さっきよりくすぐったい?」

「うっ、ん、…ちょ、もうっ、、よくな…い?」

「まだまだ」

「んっ…ながっ、いっ、て!」


 今日のカエデは容赦が無い。うつ伏せで乗られるだけで全く力が入らない。

 足でカエデを蹴ってどかすことはできるが、そんな事は何があってもしない。ので実質出来ないようなものだ。


 でも、抵抗出来ない状態で素肌をカエデに触られてるというこの状況はちょっと興奮する。


「はい、終わり。」

「んっ、はぁ…カエデ…めっちゃ疲れたんだけど」

「いい運動になったね」

「まぁ、確かに筋肉はついたかもね。いらないけど」


 カエデが私の隣に寝っ転がる。カエデは私以上にこちょこちょに弱く、脇腹を人差し指でちょんっと触るだけでビクッとなる。


「…カエデの事もこちょこちょするよ?」

「それはヤダ」


 カエデが嫌がろうが関係ない。めちゃくちゃ軽いカエデを抱き締めて持ち上げ、壁側へ移動させる。


「なんで壁側に移動させたの?」

「そんなの、逃げれないようにするために決まってるでしょ。」


 カエデは、こちょこちょされると有り得ないほど動き回る。私が会ってきた人間の中で1番こちょこちょに弱く、そこもまたカエデの可愛い所だ。


「…こちょこちょするの?」

「うん。」


 何やらカエデは覚悟が決まった顔をしている。さっきのこちょこちょは、自分もされる事を覚悟してのこちょこちょだったのかも知れない。


「…出来る限り優しくしてね?」


 可愛い顔で、可愛い声で、私より下にいるので、上目遣いという可愛い仕草で言う。


 そんなことをしたら逆効果だということも知らずに。


「ごめん無理」

「え、ちょっ」


 手始めに、カエデの脇腹をちょんっと、一瞬だけ触る。

 本当に一瞬、ちょんっとちょっとやっただけなのに、めちゃくちゃオーバーな反応をする。


「毎回毎回カエデはオーバーな反応するよね」

「私にとってはあれが普通の反応なの。」


 こちょこちょされた後にしては余裕のある態度だ。

 それ程ちゃんとした、中々な覚悟だったのかもしれない。


「ちょんっ」


 人差し指で言葉のとおり、ちょんっと突っつく。それだけなのに、カエデは手と足がビクッと力強く動く。


「えいっ、えいっ」

「んっ…くっ」


 1回1回突っつく度にカエデが反応するので、ちょっと面白い。


「んっ…あむっ…」

「…」

「んっん……ん、」

「うーん…」


 ……なんかエロい。こちょこちょをしているだけなのに、カエデの反応が変なせいでえっちく感じる。


「終わ、…った?…」


 カエデが息を切らしながら聞く。普通に終わりにしようと思ったのに、そんな事をされたら終わりたくても終われない。


「いや?まだ。」

「え、ちょっ…」


 さっきは脇腹だけだったので、次は首を優し〜く触る。爪を立たないように、痛くしないようにそっと撫でるように触る。


「ちょっ、もうっ…おわりっ…」

「…」


 私が首を触る度にくねっと体が動く。笑った顔も、笑い声も、全てが全て可愛い。


 流石にカエデの体力が無くなってしまうので、名残惜しいが終わりにする。


「ん、はぁ…ん、お姉ちゃん、やりすぎ。」


 カエデが息切れしながら言う。全身脱力しているにもかかわらず、顔だけはこっちを向き、睨んでいる。そんなカエデはやっぱり、どことなくエロい。


「いや、これはカエデが悪いよ」


 私がやりすぎてしまったのは、こちょこちょされてる姿がえっちぃカエデが悪い。というか、全体的にエロいカエデが悪い。


「どこら辺が?」

「反応がエロい。というか全体的にエロい。」

「…ヘンタイじゃん。正真正銘の」


 いままでで一番ドン引きなカエデの顔が見れた。こんな事を言ったら本当に引かれてしまうかもしれないから言わないが、ドン引きしてるカエデの顔も好きだ。


「…昨日はごめん。」

「急にどうしたの?」

「昨日はお姉ちゃんに悪いことしちゃったから…バレンタインの日にお詫びする」

「…そんなの気にしなくていいよ。バレンタインデーの日は絶対一緒にいてもらうけど。」


 そんなの気にしなくていいよ、に関しては半分嘘で半分本当だ。

 結局今日はいつも通りなので、何も言うことはない。


「もしかして…だから今日こちょこちょさせてくれたの?」

「別に。ただ私がこちょこちょしたかっただけ。」


 カエデが苦手なこちょこちょを許すなんて何かあると思っていたが、もしかしたら昨日のことに対するカエデなりのけじめなのかもしれない。


「カエデのちょっと怒った顔も好きだから全然気にしないで。というかカエデの喜怒哀楽全て好きだから。」


 何も隠さずに言う。

 こんなことを言ったらカエデにヘンタイと言われてしまうかもしれないが、カエデ相手には何も隠す必要は無いし、何より、カエデにヘンタイと言われるのは結構好きなので全然構わない。


「…ヘンタイ」


 やっぱり言われた。カエデの「ヘンタイ」と言ってる時の顔がまた、可愛くて好きだ。


「別にいいよ〜ん」


 全身脱力状態のカエデに飛びつき、抱き着く。


「お姉ちゃん、私今疲れてるから。」

「カエデに抱き着くことで、私もカエデも回復出来て最高だね」

「…別にいいけど。」


 何だかんだカエデもシスコン。私に抱き着かれたら普通に嬉しいはずだ。


「…」


 カエデが私に抱き着いてきた。お互いに抱き締めると、より密着度が高く感じれて好きだ。


「…足は絡ませなくていいの?」

「寝る訳じゃないし、別にいい。」


 確かに今、本格的に寝る体制に入ると本当に寝てしまいそうだ。普段の寝不足+さっきのこちょこちょ疲れ+勉強疲れ+テスト疲れが重なって本当に眠い。


「もういっそ寝ちゃおうよ」

「ダメ。まだまだ勉強するよ。」

「え〜めんどくさい」

「テスト期間はせめてちゃんとしないと」


 そう言い、カエデが私の腕の中から消えてしまった。


 カエデが窓を開け、部屋に冷たい風が流れ込んでくる。


「ほら、眠いのはわかるけど勉強。再開するよ。」

「え〜…まだ良くない?」

「良くない」


 寒いし、勉強もしなくちゃならない。何より、カエデと休憩ができなくなってしまう。色々あり、仕方なく、私も布団から出て勉強を再開する。

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