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私たちって本当に双子なの?  作者: 青いバケモノ
地獄のテストの始まり
13/19

過激な休憩

「…まだやるの?勉強」

「まだ」


 さっきカエデに積分の所を教えてから約30分、合計1時間は勉強している。今はまだ昼過ぎで、休憩しても次の勉強が出来るくらいには時間があるので、もう休憩してもいいと思う。


「あと何分?」

「これが終わるまで」

「…」


 カエデに誘われて一緒に勉強しているが、如何いかんせんカエデとは勉強方法が違いすぎて合わない。特に私は、いつもこの時間帯は勉強しないのでどうしても身が入らない。


「…やっぱり、お姉ちゃんは無理して一緒に勉強しなくていいよ。」


 カエデは、勉強方法の違いで私の成績が落ちてしまわないかが不安らしい。

 一緒に勉強したい、と言うのにも相当葛藤があったように見えたし、相当私の事を気にしてくれてるのだと思う。


「何度も言ってるけど、私もカエデと一緒に勉強したいんだって。」

「…ならいいけど」


 カエデは、私が何度こう言っても信じてない顔をする。私の事が好きだからこそ、成績を落とす原因が自分になっちゃう可能性があるのが嫌なのだと思う。


「心配しなくても、今回のテストは過去一力入れてるから、成績落ちるのとはないよ。」

「…他の人もみんな力入れてるし」

「…ま、まぁ……大丈夫」


 結構気にしてた所を思いっきり刺された。私自身の点数は上がるとは思うが、その分みんなの点数も上がっているので順位が上がるかどうかは分からない、というのが本音だ。


「はい、終わった」

「休憩?」

「うん」


 私は、思いっきり自分のベッドにダイブした。


「疲れたぁ」

「漫画でも読もうかな」

「カエデ、こっち来て」


 カエデは漫画を読もうとしてるがそんなの関係ない。私は今すぐにカエデとイチャイチャしたい。


「…漫画読もうと思ってたんだけど」

「目が疲れちゃうでしょ。ほら、こっち来て」


 少しの葛藤の末、カエデが私の隣に来た。

 寝っ転がり、こっちを見る。


「これでいい?」

「壁側に来てよ」

「…」


 カエデが無言で壁側へ行く。文句の一つも零さずに私の言ったとおりにしてくれる。これは多分、私は気にしてないと言っているのに、変な罪悪感を抱いているからだろう。今ならわがままになっても許される気がする。


「…これでいい?」

「もっと密着してくれないと」

「…私に何してもいいからその代わりお姉ちゃんが私のこと動かして。」

「…何してもいいの?」


 多分、動くのがめんどくさくて適当に言ったことだが、だとしても私に対して何してもいい、と言うのは相当の覚悟がないと言ってはいけないことだ。


「あくまでも常識の範囲内でね」


 何か言っているがそんなことはどうでもいい、何してもいいと言われてやることはただ一つだ。

 カエデの背中まで手を伸ばし、思いっきり引っ張る。


「じゃあキスするね」

「ダメ」


 何してもいいと言ったのに拒否された。


「何してもいいって言ったじゃん」

「常識の範囲内でね?」

「範囲内だよ」

「範囲外だよ」


 確かに、仲がいいとはいえ双子なのにキスをするのは常識の範囲外なのかもしれない。けど、私たちに限っては元から週二でキスをする仲だし、そんな常識は関係ない。


「週二でしてるんだし、いいじゃん。ここ私の部屋だし」

「いや、ベッドの上だし寝っ転がってるときの、このシチュエーションでのキスはダメでしょ」


 ベッドの上で、しかも寝っ転がりながらというシチュエーションは確かに良くないかもしれない。が、そもそも先に何してもいいと言ったのはカエデだ。今更撤回されても困る。


「そんなルールないよ」

「じゃあ今作る」

「私が許可しませ~ん」


 ルールはお互いが許可しないと作れない。2人のルールは2人で決めるという、お母さんが作ったルールがあるからこれは誰にも破れない。


「…ならベッドから降りるから、そしたらキスしていいよ」

「…」


 逃げようとしているカエデを捕まえる。

 ただのキスじゃ今までと何にも変わらない。確かに双子でこのシチュでのキスはよくはないしおかしいが、まぁ、テスト期間というイレギュラーな期間なので許されるだろう。


「…何してるの?」

「逃がすと思った?」

「いや、離して?お姉ちゃん」


 ジタバタと暴れて逃げようとしているが、相変わらずカエデは非力なので私の腕から逃げることは出来ない。


「カエデが何してもいいって言ったんじゃん。」

「………いや…でも…」

「それに今テスト期間だし、いいでしょ。これくらい」

「………良くはない」


 抵抗をやめたカエデを再度引き寄せる。そして、カエデのモチモチでスベスベなほっぺを両手で掴み、顔を近づける。


 今なら簡単に逃げられるのにその様子は無い。可愛い可愛い、私が大好きな顔へ少しずつ近づける。

 もう唇と唇がくっついてもおかしくないくらいの距離なのに、カエデの目は開いたままだ。


「目閉じないの?」

「…本当にするの?」


 カエデはこの期に及んで何を言っているのだろう。ほっぺを両手で掴んだ時に逃げなかった時点で、私の中でキスするのは確定していたというのに。


「質問に質問で返しちゃダメだよ」

「…分かった。」


 どうやら覚悟を決めたらしい。

 カエデをジッと見つめると、意図が通じたのかそっと目を閉じた。私も目を閉じ、カエデのほっぺを両手で触れたままキスをした。


 相変わらずカエデの唇は柔らかく、私の唇も柔らかいので、柔らかいと柔らかいがぶつかり合い、くちびるが溶けそうになる。


 今日までの勉強疲れと、今までと違いベッドで寝っ転がってるという状況に我慢できず、そっと舌をカエデの方へ持っていき、舌をカエデに入れようとする。が、カエデが頑なに唇を閉じているせいで舌を入れる事は出来なかった。


「…なにナチュラルに舌入れようとしてんの?」

「つい、我慢出来なくて」


 私の理性は、普段はちゃんとしてるはずなのにカエデが関わるとすぐにぐずぐずに溶けてしまう。


「流石に最終防衛ラインは超えないように我慢して欲しいんだけど」

「これは最終防衛ラインでは無いでしょ」

「え?いやいや…じゃあどこが……いや、なんでもない」


 多分、じゃあどこが最終防衛ラインなの?と聞こうとしたのだろう。その先の私の発言を予測して、自分の発言を撤回したのだろう。


「最終防衛ラインはやっぱりセ」


 私にとっての最終防衛ラインを言おうとしたら、カエデに口を手で覆われ強制的に喋れなくされた。


「ちょっとお姉ちゃん?何言おうとしてるの?」

「んーんー…んんんんん」


 カエデが口を押さえているせいで何も喋れない。仕方がないのでカエデの手を舐めて、手を離させる作戦を実行する。


「うわっ…手、舐めないでよ。子供じゃないんだから」

「高校生はまだ子供でしょ。」

「そういう意味じゃない。…ティッシュ取って?」

「いらなくない?」

「いる」


 そんなに思いっきり舐めたわけじゃないので、ティッシュを使う必要はないと思うけどカエデは綺麗好きなので恐らく、これ以上言っても無駄だ。


「はい」

「ありがと……ってもう乾いちゃってるじゃん」

「やっぱり要らなかったね」

「…はい。これ捨てて」


 カエデが結局使わなかったティッシュを私に渡してくる。ティッシュを受け取り、机の下にあるゴミ箱に入れる。


「もう一回キスしようよ」

「しない。もう終わり」


 カエデがつれないことを言う。別に一回したら二回も三回も変わらないのに。


「一回したら二回も三回も変わらないからいいでしょ」

「変わるから。全然」


 カエデが逃げようとするがもちろん逃がすわけもなく、カエデを捕まえて引き寄せる。


「カエデはキスしたくないの?」

「…そんなことは関係ないでしょ」

「やっぱりキスしたくないわけではないんだ。」

「…」


 やっぱり、カエデもキス自体が嫌なわけではんないらしい。ただ、双子で、姉妹なのにキスをするという事を良くないことだと判断してるから、キスに乗り気じゃないのだと思う。


「…分かった。舌を入れようと忍び込ませるなんてことは今日はやめるから。」

「いや当たり前だからね?それ」


 カエデにとっては当たり前らしい。私にとっては全然当たり前じゃないのに。

 やっぱり双子なのに私たちは全然似てない。


 カエデの背中に手を回し、思いっきり抱き締める。


「どうせ私からは逃げられないんだから。変な抵抗しないで受け入れなよ」

「…ただのキスだけね?」


 カエデの許可も貰ったので、再度カエデの両頬を両手で挟む。

 さっきはキスするのに夢中だったのでカエデのほっぺをモチモチしていなかった。ので今思う存分モチモチのモチモチほっぺをモチモチする。


「…キスするんじゃなかったの?」

「そんな焦んないで。ちゃんとキスするから」

「それじゃ私がキスを望んでるみたいになるじゃん」

「違うの?」

「…望んでるのはお姉ちゃんでしょ。」


 流石にこれ以上カエデのモチモチほっぺをモチモチモッチモチしてると怒られそうなので手を止める。


「…キスしないならまた勉強始めるよ?」

「手が…私の手が止まらない…」

「何言ってるの?」

「カエデのほっぺがモチモチすぎて手が止まらない」


 止めようと思っても止められない。これは中毒性のありすぎるカエデのほっぺが悪い。


「…馬鹿なこと言ってないで。キスするなら早くして。」


 カエデがどうしても早くキスをしたいと言うので、カエデのほっぺをモチモチしている手を止めて、右手をカエデの後頭部、左手をカエデの顎に当てる。


「…何?これは」

「イケメンの真似」


 漫画で主人公がやってたキスの前の格好かっこうを真似してみた。


「何それ」

「どう?かっこいい?」

「可愛い」


 …流石に、不意打ち可愛い発言は心臓に悪い。


「あ、ありがと」

「…お姉ちゃん、何恥ずかしがってるの?」

「不意打ちだったから…」


 カエデがニヤニヤしながら私のほっぺを触ってくる。カエデ相手に隙を見せたのが悪かったのかもしれない。明らかにカエデが調子に乗っている。


「お姉ちゃんにも意外とピュアな所があるんだね」

「意外とって何?」


 私はそもそも恋愛をした事がないくらいピュアなのだ。意外となんて要らない。


「いつもキス迫るのもお姉ちゃんだし、何かしようとするのは全部お姉ちゃんじゃん。」

「…確かに。でもカエデを抜きにしたらピュアだし。」

「私をないもの扱いしないでよ」


 カエデが私の頭を掴み、思いっきり引っ張った。あまり見ないカエデの怒ってる顔をこんなに間近で見られるのは嬉しいが、カエデが怒ると色々と面倒なことになるので早めに謝るのが吉だ。


「ごめん。」

「私とキスしたっていう事実は無くならないから」

「無くなるなんて一度も思ったことないよ。それに私が無くそうとする訳ないでしょ。」

「…どうだか」


 変な地雷を踏んでしまったらしく、カエデがネガティブモードになってしまっている。カエデはこんなに可愛くてこんなに優しいのにどうしても自己肯定感が低い。


「カエデ、ネガティブにならないで。」

「…なってない」


 カエデはネガティブモードになるとめんどくさくなる。そうなる前にネガティブモードからいつものカエデモードに変えなければならない。


「ほら、ネガティブなカエデ。そのまま私にキスしてよ。」

「…ないものにしない?」

「しないって。ほら、早く。」

「…うん、分かった。」


 カエデの顔がゆっくりと近づいてくる。カエデは目を瞑っているので私が目を開けていることに気づいていない。

 そのままカエデの唇が私の唇に触れる。人生で2回目のカエデからのキスは、ゆっくりと、柔らかいキスだ。一回目は不意打ちキスだったので、バリエーションが豊かで最高だ。


 地味に目を開けながらのキスは初めてで、今までで1番近くでカエデを見た気がする。


「…もしかしてお姉ちゃん目開けてた?」

「いや?ただカエデより早く目を開けただけだよ。」

「ならいいけど」


 平気で嘘をつく。まぁこれくらいの嘘ならバレても言うほど怒られないだろうし、問題ない。


「そんな事よりもう一回キスしようよ」

「もうダメ。勉強始めるよ」

「えー…その代わり次の休憩もキスしていい?」

「…まぁ、いいよ。その代わりちゃんと勉強ね」


 簡単に次のキスの予定が決まった。テスト期間はもしかしたら最高だったのかもしれない。


「はーい。ちゃんと勉強しまーす」

「じゃ、勉強始めよ」

「次は歴史だね」


 次のキスを糧に勉強を頑張る。歴史は得意な方なのでこの勉強はあまり苦ではない。


 過去一大事な、過去一楽しいテスト期間はまだまだ続く。

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