7話
リリスとオルムが住む魔物の森は、かつてないほど混沌としていた。
二人が住みよい場所に整えた結果、魔物たちは急速に増え、
森全体が手に負えない状況に陥っていた。魔物たちは繁殖を続け、
森はますます豊かになり、さらには他の地域からも魔物が集まってくるようになった。
「オルム、このままだと、魔物たちがこの森で共存できなくなるわ」
とリリスは不安げに言った。その目には、責任と未来への懸念が宿っていた。
「わかってる。だけど、俺たちは森を守らなければならない。
カラスたちだけじゃ足りないから、新たにオオカミの魔物を仲間に加えたんだ」
とオルムは答えながら、空から見下ろす魔物たちの様子を見守っていた。
しかし、日々の人間との戦争で傷ついた魔物たちや、
食料が不足している地域から逃げてきた魔物たちが、
次々と森に集まり始めていた。彼らの数は急増し、
森はますます混沌としていくばかりだった。
「またか……」オルムは遠くに見える人間の町を見つめ、
魔物たちが次々と町に向かっているのを目にした。
彼は町に向かう魔物たちの対処に追われていた。
その結果、人間の町との衝突は避けられなくなり、
日常的に争いが勃発するようになった。農作物や家畜への被害が続き、
町の人々も日増しに不安を募らせていた。ある日、町の広場で会話が交わされる。
「最近、魔物の被害がひどくなっているな。このままでは、
いつスタンピードが起こってもおかしくない……」
と一人の農夫が眉をひそめる。
「確かに、俺たち自警団だけじゃ限界だ。国の討伐隊依頼はしているが、いつくるのだろう」
ともう一人の男が続ける。
「討伐隊が来るまで持ちこたえられるかどうか……」
と女性が不安そうに言う。
人間たちは、森の魔物の暴走が「スタンピード」となり、
町を飲み込む日が近いのではないかと恐れ始めていた。
オルムたちはそれを防ごうと必死に動いていたが、
事態は彼の手に余るものとなっていた。