22.新歓パーティーと僕の彼女 side J
ドレスを贈る承諾をもらったので、早速オートクチュールの店に彼女を連れて行った。慎ましい彼女はやっぱり遠慮しているようだったけど、こういう時は勢いが大切だよね。
店に入るとデザイナーが待ち構えていた。彼女を見て目を輝かせる。そうだよね。綺麗で可愛い彼女のためのドレスなら創作意欲が湧くはずだよ。
採寸しデザインの希望を聞いたら、一度彼女をタウンハウスまで送ることにした。ドレスを受け取ったとき驚いてほしいしね。
僕は急いで店に戻り、デザインの打ち合わせを始めた。
実はすでに生地は決めてある。色むらのないグラデーションの生地は、母の実家のある隣国で最近売り出されたもので、ひと目見て気に入り、僕の瞳と同じ青色を発注しておいた。デザイナーもその生地を見てやる気を出してくれている。
彼女は生徒会の仕事があるため、ボリュームを抑えた派手過ぎないものをと望んでいた。
それならば、綺麗なグラデーションが映えるようシンプルなシルエットにしよう。白い裾には、僕の髪と同じ金色の刺繍で飾ろう。どんどんイメージが湧いてきて、あっという間にデザインが出来上がった。
うん。きっと彼女によく似合う。
僕もデザイナーも大満足だ。
春休みが終わる頃、彼女からドレスが届いたと、とても丁寧な手紙が届いた。細やかな気遣いが嬉しい。手紙を読む限り驚かすのは成功したみたいだ。
彼女に会えるのが待ち遠しい。
ついに3年生になり、今日は新歓パーティーだ。
僕は会場に向かう馬車の中、子供の頃のようにわくわくしていた。早く彼女のドレス姿を見たい。同じ生地で作ったポケットのチーフにそっと触れた。
会場の隅に彼女を見つけた。
僕の色を一身に纏った彼女は、いつもより輝いてみえた。僕は嬉しさを抑えきれずに足早に近づいた。
彼女が僕に気づいて少し驚いた顔をする。
「よかった!着てくれたんだね。凄く似合うよ。綺麗だ」
近くで見ても本当に綺麗だ。メイクもドレスに合わせたのか、いつもより華やかにしてる。
「ありがとう」
彼女は控えめに微笑む。生徒会の仕事を邪魔してはいけないよね。僕は「頑張ってね」と言って会場に入った。
会場の中では、友人達に彼女のドレスについて次々と聞かれたけど、僕は意味深な笑みをするだけにとどめていた。
第三王子の言葉でパーティーが始まる。
彼女は今年も会場のなか人の間をひらりひらりと軽快に歩いていく。凛とした彼女を彩るものが僕の色であることが嬉しい。
一年前と違って、僕は彼女の姿を見つけるたびに満たされた気分になった。
お読みいただきありがとうございました。




