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21.新歓パーティーのドレス side A

3年生になります。


 ドレスを贈ってくれると言ったけど、新歓パーティーまで1か月もない。当然プレタポルテだと思ったら、採寸のために店に連れて行かれた。彼は事前にお針子を押さえていたそうだ。凄い……。


 希望を聞かれたので、動きやすくボリュームを抑えて、裏方らしく派手にならないものをお願いした。やる気に満ちたデザイナーを前に、少し申し訳ない気分になったけど、自信に満ちた笑みを返された。



 タウンハウスに戻り、自室で読書をしていた兄に、彼からドレスを贈られることを伝えると「そうか」と素っ気なく返された。

 一応、手紙で両親にも伝えたけど、「礼儀は守るように」と、要はいただいたらお礼をきちんとしなさいよと返事が来た。

 あれ?みんな案外興味ないのかしら……?

 メイドのマリだけが、いつも私の話を興味津々に聞いてくれる。




 3年生になった。いよいよ王宮事務官になるための勝負の年だ。気を抜かずに今まで通りコツコツやろう。天の助けセス様もそれでいいと言ってくれたし。


 新歓パーティー当日。私は彼から贈られたドレス姿だ。ボリュームを抑えたAライン。胸元が青く、裾に向かって白のグラデーションになっていて、金の刺繍が所々施されている。受け取ったときは驚きの声をあげてしまった。これは、彼の気持ちと取っていいのよね……?


「一年前よりも派手だな」


 エイデンは私を見るなり言った。

 確かにグラデーションの生地は珍しく、染色が得意な隣国のもののはず。彼のお母様の出身国だから伝手があるのかもしれない。


「私のことは誰も気にしないわ。だってほら、国で最も華やかな方々がいるもの」


 視線をホールに向けると、第三王子と公爵令嬢が並んで立っていた。存在が貴い。そんな貴いものを見てもエイデンの眉間のシワは深くなる。


「まあな。まぁ、今日も頼む」


 軽く手を降って離れていった。


 会場で表舞台に立つのは第三王子と公爵令嬢。おふたりは場馴れしているし心配ない。

 エイデンは警備に加えて、今年は進行も見ることになっている。騎士団長子息も警備に加わる予定だけど、「当てにならないだろ」とあっさり言い放ってた。

 私は前回に続いて、入場者数と飲食物などを管理する。宰相家子息も担当することになっているけど、……当てにしない方がいいのだろう。


 3年生のふたりだけが大変なのではと不安になるところだけど、今回はセス様が全体を補佐してくださる!心強い。

 前回はたくさん動いて、走り出したい気分だったと言ったら、「まずは人の流れを見て、何が起こってるかを見極めてから動くことだ」と教えてくれた。頑張ります。



 開場し、入場してくる中に友人達を見つけては短く声を掛ける。友人達は私の姿を見ると、皆、生暖かい目になり「後でね」と言って去っていった。


 彼が現れた。私を見るや否やキラッキラの笑顔で足早に近づいてきた。彼のタキシードのポケットにはドレスと同じ色のチーフが覗いている。


「よかった!着てくれたんだね。凄く似合うよ。綺麗だ」


「ありがとう」


 一応、生徒会としての仕事中だから控えめに応える。彼は満足そうに「頑張ってね」と会場に入っていった。


 その場に残された私は少しだけ居た堪れない気持ちになった。



お読みいただきありがとうございました。

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