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半分の月

作者: 朝永有

シャッター通りを駆け抜ける

大人たちの目を盗んで

慣れないスクーターを飛ばしていく

屋上のドアの鍵は内緒で開けておいたから

そこから出発をしよう


あの丘に行きたいのって君が

窓を眺めてつぶやいたから


長く伸びた黒い髪と

あの日貰った蜜柑の香りが

残っているんだ

月明かりに照らされた君は

もう知っていたように

笑っていたから 笑っていたから


この夜が終わるその時まで

見守っていてくれ 半分の月よ


腰に回った手だけはどうにか守りたいんだ

風を追い抜けと走っていく

舗装されていない道は続いていく

伝わる振動は大きくなる


きっと覚悟が決まるはずだからと

窓を眺めてつぶやいたから


あの丘に辿り着いた時

君はどんな表情をしてくれるかな

なんて言うかな

月明かりに照らされた僕ら

君とならどこへでも行けるさ

行けるはずさ


銀河を走る列車の物語

なぜか今 思い出していたんだ


前を歩く君の長い黒髪が

揺れる度にどこかに行ってしまいそうで


君が立ち止まって振り向いたとき

寂しそうに笑ったの

僕には分かった 気づいてしまった

覚悟の意味を 列車の行く先を

どれも君のいない物語ならば

僕はいらない

この両手は何かを掴むため

そのことだけは忘れていない

今がその時だ


この夜が終わったその先まで

見守っていてくれ 半分の月よ

読んでいただき、ありがとうございました。

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