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 夜の7時を過ぎた頃。


 コンコンと部屋へ入るドアがノックされた。


「はーい」


 おれがそれに対して、返事をするとガチャっとドアが開けられた。


「お兄ちゃん、そろそろご飯できるんだけどって……まだ勉強してたんだ?」


「ああ、まぁな。色々あって、中々、集中出来なくて」


言いながら、走らせていたペンの動きを止める。


「ふーん。まぁ仲良しなのは、いいんだけど、妹の前であんまりイチャイチャはしないでよね」


 おれが言った言葉に対し、そう釘を刺してから、部屋を出ていった。


 はぁ、妹にまで言われるって、おれってそんなに頻繁にイチャイチャしてるのかな……?

 それなりに節度は守っているとは思うんだけど……


 先程、部屋に入ってきたのは妹の香恋かれんだ。

 髪は短く、ボーイッシュな感じだが、顔立ちははっきりしているので、そこそこかわいいと思う。

 3つ年下の今年、中学2年生。

 香恋は我が家の家事を担当してくれていると言っても過言ではない。


 何故なら、うちには母親がいない。

 おれが5歳の時、香恋は2歳の時に交通事故で亡くなった。

 まだ幼心だったおれにも、香恋にも、母親がいなくなるということがどれだけ悲しいことかわかった。

 しかし、その悲しさを吹っ飛ばすくらい、親父は楽しい毎日を提供してくれた。

 あんな、いきなり罵倒してくる父親でも、実のところは、尊敬している。


 だが、親父は家事がものすごく苦手だった。

 米の水の分量はいつも間違えて、ベチャベチャの米が炊き上がるし、レンジも温めちゃいけないものを温めて、壊しまくるし、散々だった。


 そんな親父の姿を見ていたので、次第におれと香恋が家事を担当するようになり、香恋が小学校6年になってからは、家事のほとんどをやってくれるようになった。


 昔から色々と協力してやってきているので、そこそこ仲は良いと思う。

 ラブコメ漫画のようにブラコン……なんてことはもちろんないが、たまに一緒に出かけたりはする。

 もちろん、美咲とも仲が良く、二人で遊びに行くことも結構あったりする。


「はぁ、ご飯できるって言ってたし、とりあえずこのくらいにしておくか……」


 おれは使っていた筆記具を片付けると、ノートと教科書を閉じ、部屋から出る。

 うっかり赤点で夏休み中に補修なんて、最悪だからな。ちゃんと平均点くらいは取らないと。美咲と付き合って、初めての夏休みだし、沢山思い出作りたいし……


 でも、夏休みか……

 どこに行こうかな。

 夏祭りとか、海とかかな。

 いや、待てよ!海になんかいったら、美咲のスタイルの良さが際立つじゃないか……!

 それを拝めるのは、とても嬉しいんだけど、他の男共に見られるのは、嫌だしな……


 プライベートビーチ的なものがあれば、いいんだが……

 そしたら、美咲と人目を憚らず、色んなことを……

 って、こんなこと思ってるから、香恋にあんなこと言われるのかな……

 なんか妙に納得した。

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