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テスト勉強

 ようやく授業も終わり、放課後になった。

 おれ達は揃って学校を出て、おれの家へと向かっていた。

 期末テストが近いため、おれの家で勉強をすることにしたのだ。


 学校を出てから、15分。

 先に美咲の家へと到着した。

 名残惜しそうに繋いでいた手を離し、美咲は家の中へと入っていった。


 その様子を見届けた後、おれは自分の家へと向かい、歩くことわずか2分、家へと到着した。


 鍵を使い、玄関を開ける。


「ただいまー」


 靴を脱ぎながら、そう言ってみるが、返事はない。

 返事がないってことは、絶賛修羅場中かな。

 おれはそんなことを思いつつ、リビングへ入るドアを開けた。


「帰ってきたか、バカ息子よ」


 帰ってきて早々にそんな罵声を浴びせられる。


「さすがにそれは言い過ぎだろ!?」


 おれはそれにツッコミつつ、カバンを適当な場所に置いた。


「うるせぇ、こっちは絶賛修羅場中なんだ。ストレス発散に付き合え」


「ストレス発散が息子を罵倒することなんて、狂ってるわ」


 テーブルイスに座り、パソコンで文字を打ちながら、おれに罵倒を浴びせてきたのは、おれの親父、杉田 あきら


 やけにガタイが良いくせに、職業は小説家という変わった父親だ。趣味は筋トレで、よく仕事を放り出しては筋トレに勤しんでいる。最近は、大胸筋をいじめるのが、好きらしい。変態だな。

その割に執筆した小説はそこそこ人気があるので、不思議なもんである。最も、担当編集の人はかなり苦労しているらしいが。


「後で美咲くるから」


 おれは食器棚からコップを取り出し、お茶を注いでから、そう言った。


「ほう、美咲ちゃんか」


 親父はおれの言葉に急にニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ始めた。

 おれと美咲の中は家族全員に言ってある。

 まぁ言った時には、こうなるのは分かっていたから別に驚かないと言われた。


「テストが近いんだから、勉強しに来るんだよ。別に何かするつもりはないから」


「ああ、そうか。なるほど。頑張ってくれ」


 親父がそう言ったところで、家のチャイムが鳴った。どうやら、美咲が来たようだ。


 おれはカバンを手に掴むと、玄関へと向かい、ドアを開けた。


「おまたせ……」


 そこには美咲がいた。しかし、何故か制服姿のままである。てっきり、私服に着替えてくるものかと思っていた。


「着替えてこなかったのか?」


「うん。早く大輝に会いたいって思ってたら、このまま来ちゃった……」


 美咲は少し照れながら、そう言った。


「そ、そうか……」


 美咲の言葉におれは心臓が締め付けられる想いだった。

 かわいすぎか……!

 今すぐ抱きしめたいが、ここじゃまずいし、そもそも勉強のためにここに来てくれたんだ。今は我慢しておこう……


 おれは抱きしめたい気持ちをグッと堪え、美咲は家の中へと入れた。

 そして、階段で二階に上がり、おれの部屋へ。

 ドアを閉めると、ベッドの上にカバンを置くと、美咲とおれは向かい合うようにテーブルの前に座った。


 と、その時、閉めたはずのドアがゆっくりと開いた。


「大輝、お菓子持ってきたぞ」


 ドアの先にはトレーにお茶とお菓子を持ってきた親父が立っていた。

 やけに爽やかな笑みを浮かべている。

 それが逆に気持ち悪い。


「あ、ありがとうございます……」


 美咲は親父が来たことで、少し驚いた様子でペコリと頭を下げた。


「ああ、もう別に持ってこなくていいから!これから勉強するって言っただろ?!」


 おれは親父からトレーを受け取ると、肩を押して、早く出ていってもらおうとした。


「ああ、そうだったな、すまん。それじゃ頑張ってくれ。その……保健体育の勉強」


 親父はニヤニヤしながら、最後に爆弾発言をして去っていった。


「ほ、保健体育!?」


 その言葉を聞いて、美咲はびくっと震え、狼狽え始めた。


「いやいや、違うだろ!!」


 あの親父、本当余計なことを……!

 おかげで美咲の顔はリンゴみたいに真っ赤になってるじゃないか……

 しかし、ここでおれもそういう風になってしまうと確実にそういう空気になってしまう。

 ここは冷静に、落ち着いて……


「さ、ほら、時間も限られてるし、早く勉強しようぜ」


「ほ、保健体育の!?」


「ちがーう!テスト勉強だよ!」


 おれの声が盛大に部屋に響き渡るのだった。

 結局、2時間以上、おれの部屋にいたが、お互い、色々と意識してしまい、全く集中できないまま、その日はお開きになった。


 はぁ、全く、最悪だ……

 あのクソ親父め……


 ちなみに美咲は帰り間際に、例の補充を学校の時より、多めにしていった。

 それは最高だった。

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