第21話 悪役になりたいわけじゃないけど
とにかく、話を聞き終えたならば、決断しなくてはならない。
ちなみにユーフォリアを引き渡すと言う選択は、もうとっくの昔のこちらも消えていた。
「それで、これからどうしよう。とりあえず、治安部隊の人にユーフォちゃんを渡すってのは無しで」
「分かってる。まずは当人であるそのユーフォリアから話を聞かなくちゃでしょ? 僕が来るまで何してたの?」
「お話してたよ!」
なんnoの屈託もない笑顔が返って来た。
イリアの言うそれは、楽しいお話であって、必要なお話ではないんだろう。
表情だけで、よく分かった。
そんな笑顔を、普段だったら微笑ましく見守る所だけども、まきこまれ中は別だ。
(してたよじゃないよ、もう……)
それとも、あれだろうか。
クロードが来るまで、待ってたとか?
「だって、二人で先に話しちゃったら、クロードを仲間外れにしてるみたいで嫌でしょ?」
そっちだったらしい。
彼女に考える頭があった事にほっとすると同時に、脱力しそうになる。
「時と場合、あと場所による。そりゃあ、イリアが事情聞いたって、イリアだからイリアに難しい事は考えられないかもしれないけど、一パーセントの利益は得られなくても、小数点以下の足しくらいにはなるでしょ? イリアの頭は何の為にそこについてるの?」
「クロード、利益とか言っちゃ駄目だよ。ユーフォちゃんは困ってるんだから」
「はいはい」
突っ込みを入れる所はそこらしい。
どうでもいい所に細かい指摘をしてくるイリアが責任逃れをする為に発言しているわけではないという事は分かっているけれど、こういう切羽詰まってそうな状況だとイラっとしてきたりもする。
とりあえず色々言っている彼女を横に置いといて、先程から無言のユーフォリアを見つめる。
目が合うと、視線をそらされた。
様子からして、イリアには多少心を許しているようだが、クロードには警戒心を抱いている様だ。
やりにくいと思う反面、そうでなければ困るという思いもある。
パーティーの中で、頭の中がお花畑な人間が二人も存在してもらってはクロードの負担が大変な事になってしまうからだ。
「ねえ、ユーフォリア」
クロードが声をかければ、ユーフォリアは拳を握りしめ、かすかに震わせた。
「事情を話したくないなら、別にそれでもいいけどね。でもそれでも話して良い事ぐらいは教えてもらわないと困るよ。君が何ができるのか、とか今までどうしていたのかとか……」
そう言うとイリアから咎めるような視線。
「クロード」
冷たい言い方になってしまうが、これが今の自分の役目なのだから、仕方がない。
もう慣れたし、抵抗はそんなになかった。
(そりゃあ僕だって、進んで悪役になんてなりたくないけど、イリアがあんなだから仕方がないんだもの)
ここままではいけないと思ったのか、硬い口調ながらもユーフォリアは事情を語りだした。
「私は……、本当はこの国の生贄になる運命だったんです」
そうして彼女の口から離されたのは、すぐには信じられない出来事だった。
今までの常識をひっくり返してしまう様な。
そんな、驚くべき事実だ。




