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インフィニティ・ブルー  作者: 仲仁へび


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第10話 用事の内容



 そんな二人のやりとりを横で見ていたフィリアは、気の抜けたような表情で、ため息交じりの愚痴を述べてきた。


「ちょっと待て、私の腕が鈍ったとかではないよな。匹敵必中の恩寵を持ってしても、百パーセント全ての攻撃が当たらないななどとは最初から分かっていたが……。ああ、腹が立ってきた、お前の永続回避の恩寵はどこまで馬鹿げたものなんだ」

「酷い言い様ですね。僕だって別に望んでこの恩寵を賜っているわけじゃないんですから」


 やれやれと首を振るフィリアに、僕は脱力しながら答えていく。

 恩寵というのは、この世に生まれ落ちた瞬間に与えられるもので、神様から特別に気に入られた者にのみ与えられる特殊技能の事だ。


 フィリアは匹敵必中。

 自分の攻撃を必ず相手へ命中させると言うもの。


 クロードは永続回避。

 自身に向けられた攻撃を必ず回避するというもの。


 言わば最強の矛と盾でケンカしているようなものだろう。

 そういう事には詳しくないので、どういう結果が働いてフィリアが言う様な事になっているのかは分からないが、深く考えないようにしている。矛盾が生じて変な事にならないだけマシだと思うしかないだろう。


 ちなみに、イリアは幸運の恩寵。

 説明は昨夜の事を知っていれば、わざわざしなくてもいいだろう。


 自分の努力でどうにもならない事について長々と言い合っていても仕方がない。

早々に話を切り上げてそもそもの理由……フィリアがクロード達をこの場所へ呼び出した用件を尋ねる事にした。


「それで、今回の用事は何ですか?」

「森の中にいる竜種、ドラゴニクスを討伐してもらい……」

「用事を思い出しましたので、失礼します」

「待て」


 あるはずもない言い訳を述べて、その場から立ち去ろうとするのだが、踵を返すよりも前にフィリアに肩を掴まれた。


(ドラゴニクスだって? 冗談じゃない。あんなのに挑んだら、命がいくつあっても足りないよ)


 全力で拒否したい所であったが、正しく危機感を把握していないらしいイリアが呑気な様子で質問の声を上げていた。


「はいはーい、どらごにくすって何ですかー?」

「竜種は知ってるだろう。古代この世界の三分の一を焼きつくしたっていう、伝説の竜と同じ種族」


 そう、竜。

 それは今も地上で、にらみを利かせている存在で……。

 全ての生物の頂点に立つ存在。


 クロード達人類はその竜のせいで、長い間海中生活を余儀なくされている。


「うん、知ってるよ。それで?」

「その竜種って名前が出た時点で、察して欲しいよ。だから、やばい奴と同じ種族だからヤバいって事。ドラゴ二クスやばい、分かった?」

「何となくかな」


 残念な頭をしているイリアにも分かりやすいようにかみ砕いて、説明してやったというのに反応が乏しい。

 イリアはいまいち、竜種の脅威にピンと着てない様子で続ける。


 竜種は、その竜が作り出した自らの劣化コピーだ。


 だが、コピーと言っても侮る事なかれ、その戦闘力はとても人間などの非力な生命では足元に及ばないのだから。


「だって、悪い事をしたのは大昔のその竜なんでしょ? だったら、他の竜は関係ないんじゃないかな。狂暴だとは限らないよ」

「イリア……」


 確かにそうかもしれないが、それは普通の場合だったらの話だ。

 竜種の全般は極めて狂暴で、人を簡単に殺せてしまう様な力を持っている。

 常識の話をやつらに当てはめるのは、間違っている。


 そんなクロード達のやり取りを聞いて思う所があったのか、フィリアは口を挟んでくる。


「分類は無くてはならない。なぜなら効率が悪いからな私は。効率が悪いのは嫌いだ」


 しかし、それに反論するのはイリアだ。


「でも……」

「だが、差別は良い事ではないな。どっちの考え方が正しいというわけでもあるまい。イリアの足りないところは、クロードが補佐してやれ」


 言葉を遮って述べられた内容は今更の事だった。

 彼女の後始末や、ゴタゴタに巻き込まれるのは、知り合いはじめてから日常茶飯事だからだ。


「分かってますよ。とっくの昔から、押し付けられてますけどね」


 僕だって、イリアのそういう所が彼女の持ち味で長所、良い所だという事ぐらいは分かっている。

 ただ、いつも横で危ない目に遭うのを見ている側としては気が気じゃないという事だけは忘れないで欲しかったが。



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