プロローグ
ざぶざぶと豪快な波を立てる浜辺に、一人の少女が立っていた。
――いいなぁ。
少女は、灯りが無数に灯る夜の空へと、手を伸ばし一心に何かに憧れていた。
――行きたいな。
求めるのは、無限のその先。
インフィニティ・ブルーの果て。
閉じられた世界から開かれた世界を望む少女は、叶える事が至極困難なその願いを抱きながらも、その小さな手で決して届かぬ果てへと至ろうと、懸命に伸ばし続けていた。
――あの先に、何があるんだろう。
そこに、声をかけるのはやってきた少年だった。
――行きたいの?
少年は少女の隣に並んで、空を見上げる。
少女は少年を見て、手を降ろした。
そして頷きを返す。
――行きたい。でも、一人じゃどうやってあそこに行けばいいのか分かんない。
少女は落ち込んだ様子で、そう呟く。
それを聞いた少年は、少女の手を掴んだ。
――だったら、僕も一緒にその方法を探してあげるよ。
そして二人は、一つの約束を交わすのだった。
大切で大切な、どんな事があっても離れないほどに、少年少女を強く結びつける。
そんな絆の約束を。
――だから、二人で一緒に探そう。
手を取り合たった二人は、共にそこから歩き出していく。
もう少女が、届かない空へと手をかざす必要は無くなった。
なぜなら、少女が本当に欲しかったものは少年が持ってきてくれたのだから。