職業
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邪神はニヤリと笑っている
いや、本当に笑っているかどうかは分からない だって仮面で隠されてるし。
ただ、何となく笑ったんだろうなと感じた
「 …」
邪「…」
「…」
邪「いや、何かあるだろ?こう「異世界だーっ!」とか「邪神だーっ!」とか…いちいち反応の薄いヤツらだ」
…急につっこまれた そもそもこっちは状況が把握出来てない 邪神と言ったのも定かじゃあない。
ただ、灰色蛙型な大魔王が着ているロープを身につけ、貴金属チャラチャラしていてそばの机に「邪神日記」とか置いているのはちょっと…
「…ムッ?」
おっと、気づかれた。
邪神日記は片付けられ、代わりにメモ用紙を(自称)邪神は手に取る。
「えーと、貴様らは異世界に転移させてもらった。帰りたいのであれば我を倒さなければならない。尚、別に倒す必要はなくこの世界が気に入ったなら永住してもよい…」
いや、カンペかよ!
しかも棒読みだし…
邪神は紙を折り畳み後ろのゴミ箱に目も向けずシュート
入った。
「説明は以上。あとは向こうでスキルのロードが教えてくれる。種族だけ決めてさっさと行け俺は忙しいんだ!」
クルリと背を向け机に向かう邪神。書き物をしてる訳でもなくただの小説を読んでる様子。
…沈黙が辺りを覆う 我に返ったように近くのメガネスーツが大声を上げる
「ちょっと待て、どういうことだ!?ゲームをプレイできると聞いて参加したんだぞ!異世界転移とか聞いてねぇ!」
「ふざけんな…洗濯物出したままで来ちまったじゃねぇか…」
「明日バイトなんだけど間に合うのぉ…?」
間に合うわけないだろと心の中で突っ込みとりあえず目の前に出てきたパネルの選択肢を選んでいく、種族選べるとかアツいなーとか思ってたら
「種族、何にするの?」あかりに見つかった。 こいつは驚かないんだな
「ドワーフ、エルフ、デーモンにジャイアント…ピクシーもいるな」
「ピクシーって小さくなるのかな…私エルフにしようかなー」
「どっちでもいいけど俺はベースは人間な」
「人間かぁ…じゃあ獣人とかにしようかな。
種族ごとにパラメーターが違うけど職業はステータスほぼ同じらしいよあの白衣が言ってた」
…その白衣とは皆に詰め寄られて焦ってるホラーマンみたいな痩せてる人のことか
確か会社から何人かついてくるって説明あったな
慌ててる感じだけど放っとこ
「職業は…なんかかっこよさそうなのがいいな騎士は盾役だから却下、バリバリアタッカーは攻撃くらいしか出来ないから却下…」
ふとスワイプしてた指が止まる。
魔法使いと魔法戦士の間にあった職業の名前が異質を放っていた
「執行者」
パキンッと軽くも耳に残る音が響く。
「え?かっしー?」
どうやら決定してしまったようだ。
「なにそれかっこいい名前だけど、どこはかとなく中二を感じるね」
「別に読み上げただけなんだけどなぁ…」
髪を弄ろうとしてまたも手が止まる。…嘘だろ笑えん 天使の輪が頭上に出ていた。(しかも触れた)
「…ぇぇええええっっ!!?死んじゃったの!?かっしーー!!」
「落ち着け死んでない…たぶん」
「たぶんじゃなーーい!!」あかりが泣きそうな顔になる。
長年の経験で危険を察知した俺は条件反射でしゃがむ
即座に太一おじさんの蹴りが頭上を通過する…が対象は下なので無様に転がっていく。
「あかり〜!大丈夫か!?なんで泣かされた!?」
…出たよこの親バカが。
ていうかさっきの会話聞いてたろ…
「コノヤローォォォ!何泣かせてんだァァァ!!」
…とりあえず逃亡しようと身構えた瞬間、
「プレイヤー1準備完了」
コンピューターみたいな音声が響いたと思ったら白い光に包まれる
白い光に包まれながら親バカから逃げられたことに感謝する
気がつくと仰向けに草原に転がっていた
体を起こして周りを見て、日本にこんな所はないな。と確信する
草も見たことない種類だし、車の音も全くしない。
空気もおいしい
そして冒頭にある、見渡す限りの草原と山が広がっていたのだ