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魔法使いと青い春。

登場人物

一橋爽馬  ヘタレな男子高校生魔法使い。結のことが好き。ポルターガイスト研究部。

綾瀬結   大人しい女子高生。ポルターガイスト研究部。

黒田咲希  ポルターガイスト研究部部長。明るく元気。

北条敬兎  騒がしい賑やか男子高校生。ポルターガイスト研究部。

白峰涼   基本静かだが、たまにボケたり突っ込む。ポルターガイスト研究部。

アイ    爽馬に憑りついている守護霊。騒がしい。馬鹿。


場面1 部室

全員板付き。

真っ暗の中、咲希だけピンスポ。


咲希:この世の中には科学じゃ説明できないことはたくさんある……。UFO、神隠し、予言……。そして、ポルターガイスト!私たちはそれを解き明かすために立ち上がった!そう!私達こそ!私立SY学園、ポルターガイスト研究部!!


明転。結はぼんやりと小説を読んでいる。

涼と敬兎はゲームをしている。爽馬はビデオカメラで咲希を撮っている。

アイは爽馬の後ろで大あくび。


爽馬:撮れた。

咲希:ありがとー

結 :咲希ちゃん……、それ本当に、新入生歓迎会で流すの……?

咲希:うん。流すけど?

敬兎:黒田ぁ、今年もそれやって失敗したじゃん。

咲希:あれは!今年の高1のノリが悪かっただけ!

敬兎:今年、皆冷ややかな目で見てたじゃん。

涼 :「高校生になって、ポルターガイスト?」みたいに若干笑われたって言うか。

爽馬:……結局、新高1、一人も入らなかったよな。

咲希:あっ、あんたらそれでもポル研の部員ですかぁー!?ら、来年こそは部員増やすんだから!ねっ!?

爽馬・敬兎:……入る気しねーけどな。

咲希:ああん??

爽馬・敬兎:イイエ、ナンデモゴザイマセン。

咲希:……敬兎、コンビニ行ってお菓子買って来い。今のの罰。

敬兎:そうやって人をパシるから部員が入らないんだよ……。

咲希:なんか言ったー?

敬兎:イイエ、ナンデモゴザイマセン。

咲希:結、うちらはジュースでも買いに行こうか!

敬兎:……自分らは楽なの選ぶのかよ……。

咲希:なんか言ったー?

敬兎:イイエ、ナンデモゴザイマセン。

咲希:(結に向き直って)行こっ、結。

結 :……う、うん!


咲希・結、退場。


敬兎:……仕方ねーな。おい、涼、行こうぜ。悪いけど、爽馬、部室の見張り頼んでもいい?

爽馬:了解。

涼 :コンビニにコンビで行くってか。


間。


敬兎:よし、行くぞー。(涼の腕を引きつつ)


敬兎・涼、退場。


アイ:そぉ~まっ、少しくらいアイにもかまってくれたっていーじゃん。

爽馬:そしたら俺、空気に向かって話しかけてるヤバい奴じゃん。お前、俺以外には見えないんだからさ。

アイ:知らないよーさみしーよーかまってよー

爽馬:どんまい。

アイ:……あっそうだ!爽馬!あのね、あのね、この間の魔法検定2級のね、筆記試験の結果が~……出たよ!!

爽馬:……どうだった?俺受かってる?

アイ:爽馬ねぇーえっとねー…えっとね……えーっとぉ……

爽馬:じらすな!

アイ:あのね、爽馬ね……(悲しそうに)……GKだって!(嬉しそうに)

爽馬:……G,K……?

アイ:合格ぅ☆

爽馬:どこのDAIGOだよ……まぁ、よかった……。

アイ:おめでとー!実技の二次試験は日曜日だよー!

爽馬:わかってる。えっと、半径1㎞以内とのテレパシーで相手の心を読む、ってやつと、創作部門で人を幸せにする魔法を考えればいいんだっけ。

アイ:Yes、Yes。練習してみるー?

爽馬:……お前とは絶対やらないけどな!

アイ:Why!?

爽馬:お前の心の中なんて知りたくもない!!どうせろくでもないことでも考えてんだろ!!

アイ:がーん。ろくでもないことなんか、考えてないもん!

爽馬:信用できん!

アイ:酷い!

爽馬:お前の普段の言動が悪いんだよ!


わーわー喧嘩。他4人、入ってくる。喧嘩鎮まる。


結 :爽、馬、くん……?

爽馬:ご!ごめん!ちょっと電話してて!もう終わったから!

アイ:おーおー、電話はどこにあるのかなー(ニヤニヤ)

咲希:大丈夫?喧嘩?

敬兎:なんだ、もしや彼女と喧嘩しt……

爽馬:馬鹿!彼女なんていねーよ!

敬兎:そーだよねー、だって爽馬が好きなのは、

爽馬:敬兎!黙れ!

アイ:(爆笑)


爽馬、アイを睨む


爽馬:……少し友達との電話にカッとなっちゃっただけだから、ごめん!

咲希:別に謝ることはないけどさー。

結 :少しびっくりしちゃっただけだから大丈夫だよ。爽馬君もジュースいる?

爽馬:あ、うん……よろしく。

アイ:うわーめっちゃ真っ赤ー。照れてますねー。

結 :はい。(ジュースを手渡しつつ)

爽馬:ありがと///

敬兎:っにしても、改めて考えると、うちってろくでもない部だよな。

涼 :……今更だな。

敬兎:放課後お菓子パーティーしてるだけの仲良しの集まりだよ、これじゃ。

咲希:あー!!何か面白いことないの!? 久しぶりにポルターガイスト起きないかなぁ。

敬兎:え、うちの部活ってまじでポルターガイストあんの?

咲希:じゃないとこの部活やってないよー。

涼 :でもそうやって都合よく


アイ、皿を落とす。爽馬と咲希以外震える。チャイムが鳴る。


咲希:あー、今日も何もしないまま6時を迎えてしまった……。

咲希・爽馬・アイ以外:いやいやいやいや

敬兎:お前感覚大丈夫か!?

咲希:いっつもこうじゃん。物の位置とかよく変わってるし。

咲希・爽馬・アイ以外:まーじかよー……

涼 :……帰ろうぜ。

敬兎:そうだな。爽馬、帰ろう。

咲希:私も帰る。結、先行くよー。

爽馬:俺、荷物まとめてから行くから。先行ってて。

敬兎:うーい。


涼・咲希退場。敬兎は退場しかけて盗み聞きをしている。


爽馬:あの、綾瀬さん、

結 :ん?

爽馬:さっきはありがと

結 :えっと……何が?

爽馬:えっと……ジュースくれて?

結 :あぁ……別に、あ、どういたしまして。


間。


爽馬:あの、

結 :?

爽馬:明日は部活、ないよね。

結 :うん。ないよ。

爽馬:あの、少し話したいことがあるんだけど、

アイ:お、おぉぉ!!??

爽馬:放課後、SY公園で会えないかな……?

結 :(うなずく)

アイ:きゃーっ♡

爽馬:あっ、ありがと。じゃぁ……今日はもう暗いし、帰ろう。

結 :う、うん。


爽馬・結・アイ、退場。 暗転。


咲希、涼、板付き。

明転。 敬兎が走り寄ってくる。


敬兎:お二人さーん!号外だよー、号外!

咲希:は?

敬兎:今部室に残ってるのは?

涼 :……爽馬と綾瀬さん?

敬兎:正解!……で、爽馬が綾瀬とね、明日公園デートするんだってさ!

涼・咲希:は!?

涼 :え、あの2人って付き合ってたの?

咲希:いやいやいや、それはない。そんなこと許さない。

敬兎:まぁ、爽馬が綾瀬に明日の放課後SY公園で会えないかって聞いてただけだけどねー

咲希:ってことは、

涼 :爽馬は、

敬兎:明日告るのではないかと、思いまーす!!

涼・咲希:えーっ!?

咲希:決めた。明日あんたら、勿論暇だよね。

涼 :特に用事はないけど。

咲希:張り込みするわよ。

涼 :は、張り込み!?

敬兎:いっえーい!楽しそう!

咲希:2人の行き先、この目で見るの!あ、涼、あんた明日、黒か灰色のジャージで来てね。

涼 :なんで?

咲希:そうすりゃ電柱に見える。

涼 :いや、見えねーよ!

咲希:見えるって、あんた背高いし細いし。で、私たち2人がその後ろから見守る。

敬兎:ナイスアイデア!

涼 :……もはや何も言うまい。


敬兎と咲希、ハイタッチ。そこに爽馬やってくる。


爽馬:どうしたの?

咲希・敬兎:な、なんでもないよ!

爽馬:は?

咲希・敬兎:あ、あははは……。


暗転。


場面2 爽馬の家

明転。


アイ:じゃー、テレパシー特訓教室、いきまーす!いぇーい!

爽馬:待て、お前部活中に皿とか落とすなよ。

アイ:まぁまぁ!気にしない気にしない!それでは改めまして、テレパシー特訓教室、いっきまーす!じゃあ、向こう向いてー。(爽馬に反対を向かせる)。これからアイの出す絵に何が描いてあるか、アイの心を読んで当てて下さい!

爽馬:うーい。


1問目。カエルの絵が描いてある。


爽馬:カエル。

アイ:正解。(見せる)


2問目。ヘビの絵が描いてある。


爽馬:ヘビ。

アイ:正解!(見せる)


3問目。何かよくわからない怪物的なsomethingが描いてある。


爽馬:俺。

アイ:正解!(見せる)全問正解、わーい、すっごーi

爽馬:ちょっと待て、どこが俺なんだよ!

アイ:え、どっからどーみても爽馬じゃん

爽馬:ないないないない

アイ:いやいやいやいや~

爽馬:俺と化け物一緒にするな!

アイ:アイ画伯のこの芸術的な絵をバカにするわけ!?えぇぇっ!?

爽馬:画伯とかナメてるだろ、お前!!

アイ:酷い……。アイ悲しいよ……うぅぅ……(泣き出す)

爽馬:……あーごめんってば、言い過ぎた、ごめん!

アイ:うん、それでよしっ!(にっこり)

爽馬:お前……。

アイ:……にしても、明日頑張ってねー。

爽馬:ん?何を?

アイ:告白♡だよ♡

爽馬:ゔっ……。

アイ:アイも、爽馬の守護霊、もう17年間もやってきたんだから。応援してるよ。上手くいくといいね。

爽馬:……ま、まぁな……。

アイ:いざとなったらさ、さっきみたいにテレパシーで心読んじゃいなよっ!そしたら、結ちゃんのしてほしいことも分かるでしょっ、ねっ!

爽馬:恋愛に関しては魔法は使わないよ。せこいことはしない。

アイ:ふぅん。

爽馬:……なんだよ。

アイ:変な所でかっこつけちゃって、このやろー!

爽馬:う、うっせーな!

アイ:付き合えたらいいね!きゃー♡楽しみだなーっ!!

爽馬:うるさーい!!


暗転。


場面3 公園

上手のベンチに1人座る爽馬。後ろでニヤニヤしているアイ。

下手では咲希、敬兎、涼がひそひそ話している。


咲希:結、なかなか来ないわねー。

敬兎:日直とかじゃね?まぁ、爽馬見てるだけでも面白いけどな。

涼 :……これ絶対バレるだろ……。

咲希:意外とバレないって!信じなさい!


結、上手から登場。


咲希:来た来たっ!

結 :待たせてごめんね。今日掃除当番で……。

爽馬:あ、ぜ、全然、大丈夫だよ!……えっとー……今日、いい天気だね。

敬兎:キョドってますねーww

結 :うん。


間。


咲希:あー!じれったーい!

敬兎:落ち着けって!まだこれからだろ?

結 :あのっ……話ないなら、私、この後行くところあるから、行くよ……?

爽馬:あ、いえっ!話、あります!ぜんっぜんあります!

咲希:あーっ、もうシャキッとしなさいよ!もう!

結 :うん。何?

爽馬:……あー……今日この後どこ行くの?

咲希・敬兎:言わねーのかよ!

結 :……病院。

咲希・敬兎:病院なのかよ!……って、え?

爽馬:えっ、風邪か何か?大丈夫?

結 :ううん、私は元気。で、でも、……彼氏が入院してて……。

アイ・咲希・敬兎・涼:かっ、彼氏―!?

涼 :彼氏いたのかよ!?

咲希:あぁ……とたんに爽馬君がかわいそうに見えてきた。あぁ。

敬兎:まじどんまいだな……。

爽馬:か……彼氏?

結 :あぁ……皆には内緒ね。他校の人なの。中学の頃から付き合ってて……。でも、先月から入院してて……。私にもあんまり詳しく教えてくれないんだけど、結構重い病気らしくて……。今日はお見舞い、行ってくるの。

アイ:あぁ……ふられちゃったぁ。

爽馬:……そっか、えーと、良くなると、良いね、その人。

結 :……。

爽馬:あの、俺にできることとかあったら言って!できる限り協力するかr……

結 :じゃあ魔法とかでも使って何とかして修君の病気、治してよ!!会ったこともないのに、軽々しくそんなこと言わないでよ!!

爽馬:ご、ごめん……。

アイ:ちなみに病気を治す魔法は検定の1級の実技だね……爽馬には無理だ……。

結 :……ごめん……。……実はこの間、もう治らないかもしれないって言われてるの聞いちゃって……。だから、私、今、どうしていいかわからなくて……。

爽馬:……。

結 :……ごめん。もう行くね。


結、上手から退場。


咲希:あー……。

敬兎:行っちゃった……。

涼 :不憫だ……爽馬……。

アイ:そ、爽馬……。

爽馬:……。

アイ:ざ、残念だったね、結ちゃん彼氏いるって……。

爽馬:……。


爽馬、立ち上がって下手のほうへ。

敬兎たちと目が合う。


涼・敬兎・咲希:あ……。

爽馬:……。


爽馬、無言で退場。アイ、後を追って退場。


涼 :……言ったじゃん。

咲希:……申し訳ないわ……。

敬兎:……はぁ。


暗転。


場面4 爽馬の家。

アイ、爽馬、板付き。 机に突っ伏す爽馬。


アイ:爽馬、

爽馬:……。

アイ:ねぇ爽馬ったら、

爽馬:……。

アイ:落ち込むのはわかる。でも、気持ち切り替えて、魔法練習しようよ。

爽馬:しばらく放っておいてくれ……。

アイ:そう言いたくなるのもわかるけどさ……。でもさ、今週末なんだよ?

爽馬:うるさい。

アイ:ねぇ、爽馬、でも、そんなこと言ったってさ、

爽馬:うるさいって言ってるだろ!?


爽馬、アイにクッションを投げつける。


アイ:爽馬……。

爽馬:お前に何がわかるんだよ!いっつも他人のこと冷やかすだけのくせに!もう魔法なんかどうでもいい!魔法じゃ、綾瀬さんを助けることも、なにもできないだから!お前に、何が、わかるんだよ!放っておいてくれ!

アイ:……結ちゃんも爽馬も、他人には分からないって決めつけて、目の前から逃げてるだけじゃん。

爽馬:だまれ。

アイ:本当はどうするべきか、結ちゃんの場合ならともかく、爽馬ならはっきりしているのに。

爽馬:だまれっていってるだろ……。

アイ:考える時間ならあげるよ。でも、アイは、爽馬に逃げてほしくない。魔法検定1級取れば、結ちゃんの彼氏の病気も治せるんだから。少しずつ段階踏まないと……。

爽馬:だまれっていってるだろ!?もう魔法なんて知らねーよ、どっか行けよ!


間。


アイ:……分かった。どっか行くよ。


アイ、退場。


爽馬:……アイ、……(振り返る)……アイ?


暗転。


場面5 部室

咲希、涼、敬兎 板付き。

明転。


咲希:あれはもう……やっちゃった感あるよね。

涼 :爽馬が来たらちゃんと謝ろうぜ。

敬兎:だな。


爽馬、入ってくる。


敬兎:爽馬、あの、本当に、昨日は、

咲希・涼・敬兎:すみませんでした!

爽馬:……(キョロキョロ部室の中を見渡している)。

敬兎:本当にごめん、俺ら、面白半分で……。

爽馬:……別にいいよ。それよりさ、あいつ、ここ来てないよね。

咲希:「あいつ」?

涼 :綾瀬さんだったら確かに来てないけど……。

爽馬:綾瀬さんじゃなくて……ううん、やっぱ何でもない。


爽馬、退場。


咲希:何?今の。

涼 :さぁ。


結、上手から登場。


結 :……あれ、爽馬君は?

咲希:今出ていったけど。すれ違わなかった?

結 :すれ違ってない。ありがと。


結、退場。


涼 :綾瀬さんにも申し訳ないことしたよな……。

敬兎:でもさ、彼氏いるって。うちの学年の男子の半分が泣くんじゃね。

涼 :かもな……。


暗転。


場面6 公園

爽馬 板付き。明転。


爽馬:部室にも、家にもいない……。アイの奴、どこ行ったんだ……。


結、登場。


結 :爽馬君!

爽馬:綾瀬、さん?

結 :爽馬君、昨日はごめんなさい、勝手に帰ったり、ひどいことばっかり言っちゃって……。

爽馬:あ、全然気にしなくていいよ、大丈夫だから。

結 :ごめんね……ありがとう。

爽馬:あれ、綾瀬さん、カバンは……?

結 :え?……あっ、あれっ!?……あっ……教室に忘れた……爽馬君追いかけるのに必死で……。あはは……。

爽馬:待ってて。俺、取ってくるから。

結 :え?い、いや、いいよ。別に

爽馬:(さえぎって)すぐ戻るから!


爽馬、上手に立てかけてある箒にまたがる。

暗転。


明転。


爽馬、結のカバンを持って箒から降りる。

爽馬:綾瀬さん、

結 :えっ、爽馬君……!?ずいぶんと早かったね、そんなに足速かったんだ。

爽馬:いや、それ程でも……はい、カバン。

結 :ありがと!ごめんね、私がおっちょこちょいなばかりに……。

爽馬:気にしないで。……あ、今日もお見舞い、行くの?

結 :……うん。そろそろ行かなきゃ。じゃあね!ありがとう!

爽馬:じゃあね。


結、下手から退場。爽馬、下手のほうを向いて見送る。

アイ、上手から登場。


アイ:これでも魔法、必要ないっていう?

爽馬:(振り返る)……アイ……?

アイ:えへへ……やっぱり心配で戻ってきちゃった。やっぱりアイ、爽馬のSGRだしね。

爽馬:SGR?

アイ:守護霊。

爽馬:何だよそれ。

アイ:守護霊は守護霊らしく爽馬を守護しないと、ね。あはは。

爽馬:……アイ、ごめん。この間

アイ:(さえぎって)ううん、別に良い。でも、その代わり、

爽馬:うん。

アイ:今週末、試験がんばってね!

爽馬:おう!

アイ:おっし!じゃあ家帰って練習だよー!特訓、特訓ー!


アイ、爽馬の腕を引いて退場。 暗転。


場面7 検定の日・道路

明転。


アイ:(声だけ)ほぉらっ、爽馬~早く早く~!遅刻しちゃうよー!

アイ、爽馬の腕を引いて登場。

アイ:試験中はアイは教室には入れないけど今まで特訓してきたことを思い出せば大丈夫だから!!良い?落ち着いて。あ、忘れものとかない?あったら大変だよっ!

爽馬:大丈夫だって。お前もそんな心配すんな。

アイ:だってー。合格して貰いたいんだもーん。

爽馬:分かってるって。任せろ。


爽馬の携帯の着信音。


アイ:誰から?

爽馬:敬兎だ。(電話に出て)はい、もしもし?

敬兎:(声だけ)爽馬!?あのさ、綾瀬が行方不明なんだよ!!

爽馬:……え?

敬兎:(声だけ)今日はお前は用事あるから来られないって言ってたけど、他のメンバーで出かける約束してたんだよ。

爽馬:知ってる。

敬兎:(声だけ)待ち合わせの時間になっても綾瀬が来ないから、ほら、あいつ待ち合わせに遅れることなんかないじゃん?だから家に電話したら、あいつ昨日の夜から家に帰ってないって

爽馬:は!?

咲希:(声だけ)ちょっと貸して!……もしもし、黒田です。爽馬君、結の行方知らない!?どこか、心当たりとかない!?

爽馬:……ない。わからない。

咲希:とりあえず、結のお母さんが警察に連絡してて結構大きな騒ぎになってるの。何かあったら……何か思い出したら連絡ちょうだいっ!こっちも結、探すから!


電話、切られる。


爽馬:……。

アイ:なんてー?……ってか、早く行かなきゃ、遅刻だよー?

爽馬:……綾瀬さんが行方不明……。

アイ:……え?

爽馬:……ごめん、アイ、俺、試験、棄権するから!(走って退場)

アイ:は?……え?ちょ、ちょっと待ってよ、どういうこと!?(追いかける)


暗転。


明転。爽馬、登場。


爽馬:綾瀬さんのいそうな場所……SY公園、学校……いや、そんなところだったら敬兎たちがもう探しているはず……。じゃあ……。……あ……もし、もし半径1㎞以内に綾瀬さんが居たら!


SE。爽馬、目を閉じてテレパシーモード。


結 :(声だけ)……助けて……誰か……。

爽馬:……SY病院!!


爽馬、走って退場。暗転。


結、板付き。明転。爽馬、駆け込んでくる。


爽馬:綾瀬さん!

結 :……そ、爽馬君……!?ど、どうしてここが……?

爽馬:それより、なんで病院の屋上なんかに!

結 :……だめ?別に自殺しようとかじゃないから心配しないで。

爽馬:……昨日はどこにいたんだよ、一晩帰らないなんて……みんな心配してんだよ?

結 :……病院に頼み込んで……彼のお見舞い、泊まり込んで……。

爽馬:ならせめて家くらいには連絡しろよ!みんな心配してるんだから

結 :爽馬君に言われたくない!私の親でもないくせに!

爽馬:……。

結 :……ごめんなさい、心配してきてくれたのに、ひどいことばっかり……。

爽馬:……とりあえず、何があったんだよ。

結 :……初めて、聞かされたの。

爽馬:……何を?

結 :脳腫瘍なんだって、彼。しかも、手術が難しい場所の。

爽馬:脳腫瘍……。

結 :……今度もっと大きい病院に転院して手術するんだって。……でも成功する確率は低いって……。

爽馬:……。

結 :わかってる。一番つらいのは彼なんだって。でも、……考えたくもないけど、もし手術が失敗して私、独りぼっちになったらいやだよ……。

爽馬:……大切な人を失うのがつらいのはわかる。……けど、こんなこと言うのもなんだけど、本人じゃない俺たちがうじうじしていても、意味はないんじゃないかな。

結 :うん……頭ではわかってるよ。

爽馬:……俺の場合、その人と永遠に別れたわけじゃないけど、家族ともいえるような奴と関係が壊れて、一時期離れたことがある。そいつは、いっつも俺のことバカにするような口調で、実際バカにしてたんだろうけど、……でも、俺のことを一番よく分かってくれていた。 

そいつと離れてしまったとき、正直苦しかった。でも、それでうじうじしていてもどうしようもないって、俺は前に踏み出したよ。……綾瀬さんだって、まだその人を失うなんて確定は、していない。綾瀬さんがうじうじしていても、彼のためにはならないよ。むしろ何かを成し遂げて前を向くことで、彼を励ますこともできるんじゃないかな。

結 :励ます……。

爽馬:それに綾瀬さんは「独りぼっち」なんかじゃない。今、綾瀬さんがいなくなったことを心配してる人、たくさんいるんだよ。みんな、綾瀬さんの味方になってくれる。黒田さんだって、敬兎だって、涼だって……。綾瀬さんのことを大切に思ってる。それって、すごいことだと思う。だから、俺は、なおさら綾瀬さんに前を向いてほしい。そしたら、俺らも力になれるっていうことを分かってもらえると思う。

結 :前……向けるかな。

爽馬:それは綾瀬さん次第だよ。


照明、暗くなる。爽馬、座る。日が、くれる。


結 :もう……夜か……早いな。

爽馬:もうそんな時間だね。……あ、一番星。(指さす)

結 :本当だ、きれい……あっ、流れ星だ!爽馬君、今の見た?

爽馬:えっどこ?

結 :きれいだったのに、もったいないよ。(手を合わせて)……病気、治りますように。

爽馬:それ、流れ星が流れている間に3回言うと絶対にかなうらしいよ。

結 :えぇっ!?それは無理だよ(笑う)

爽馬:あ、笑った。

結 :あ……。

爽馬:少しは元気、出た?

結 :うん。

爽馬:じゃあ、かえろっか。

結 :うん!


暗転。


場面8 後日 公園

アイ、爽馬、板付き。 明転。


アイ:ねぇ、爽馬。

爽馬:うん?

アイ:前から聞こうと思ってたんだけどさ、あれでよかったの?

爽馬:うん。検定は何度でも受けられるけど、悩んでる人を助けるチャンスは、1回しかないから。

アイ:ふぅん。

爽馬:何?

アイ:かっこつけてるなぁって思って……はい、これ、魔法協会から。お手紙。

爽馬:不合格って?別に捨ててくれてもよかったのに。

アイ:一応見せとこうって。

爽馬:一応見とく。


爽馬、封筒を開ける。アイと顔を見合わせる。


爽馬:……「合格」……?

アイ:おめでと、爽馬。

爽馬:何で……?

アイ:筆記試験の結果が良くて、協会側も目をつけててくれてね。今回のこと、アイが全部報告したら合格くれました、って感じかな。

爽馬:え……?

アイ:結ちゃん探す時にちゃんとテレパシー使ってたでしょ。……しかもあれ5㎞離れてたし。グレードアップしてたんだから。

爽馬:でも、創作のほうは?俺、何も魔法使ってないよ……?

アイ:それに関してはね……(振り返る)……本人から話してもらったほうがよさそうね。


結、登場。


結 :爽馬君……ありがとう。……爽馬君のおかげで私、気が付いたの。私、幸せなんだなぁって。皆に支えてもらっていて。……だから、今度は私が彼を支えられるように、前向く。頑張る。ありがとう。爽馬君のおかげだよ。

アイ:何も魔力を使って起こすのだけが魔法じゃない。身の回りにある奇跡、それが積み重なって誰かを救った時、それも魔法なんだと思うよ。

爽馬:……がんばって、綾瀬さん。

結 :うん!


結、爽馬の手を握り締める。咲希、敬兎、涼、登場。


咲希:二人ともやっぱりここか!……ほら、今日も活動あるよ?部室、戻るよー!!!

敬兎:ま、活動つってもまたお菓子食べながらトランプやるだけだけどな。

涼 :大統領じゃなくて紙の方な。

敬兎:それくらいわかるって。

結 :ふふふ……いこっ、爽馬君。

爽馬:うん。


咲希、敬兎、涼、結、退場。爽馬、退場しかけてアイを振り返る。


アイ:行きなよ。

爽馬:うん。行ってくる。


爽馬退場。


アイ:いってらっしゃーい!2級魔法使いさーん!!


アイ、爽馬を追って退場。

暗転。


台本作品になります。高校の文化祭で書かせていただいたものを、そのまま公開させていただきました。

はちゃめちゃしてる学園ものの劇がやりたくって……。

所用時間はだいたい45分位かと思います。(実際の公演でその時間でした。)


場面は大きく分けて

・部室

・爽馬の家

・公園

(・病院の屋上)

(・道路)

くらいしか場所のレパートリーもないので、描き分けはやりやすいかと思います。


こんな青春がしたかったです。


なお、ご使用にあたりましては、ユーザーページをご一読ください。

よろしくお願いいたします。

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