大切なもの
ひだまり童話館「さらさらな話」参加作品です。
さらさらさら
指の間を砂浜の砂がこぼれ落ちていく
また砂浜の砂をすくう
さらさらさら
またしても手のひらの隙間からこぼれ落ちていく
白い砂
青い海
爽やかな潮風
それらを感じながら
砂浜の砂をすくう
さらさらさら
また流れていく砂
砂でさえ自分の思い通りにはならない
自然だからこそ
人の思惑にははまらない
さらさらさら
大切な人が手のひらからこぼれ落ちていく
砂浜の砂のように
涙と一緒に
懸命に砂をひろう
それでもこぼれ落ちるのは止められない
砂浜の砂は人と同じ
こぼれていく
そうならないために人は努力する
大切な手のひらの中の砂を守るために
