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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
文化祭
96/423

1日前

「アルト・テナーとクラ、そこもっと丁寧に」

「「はい!」」

木曜日。文化祭まであと1日だ。

「木管、もっと音量大きく。逆にトランペット。もっと抑えないとうるさすぎ。メインは木管高音なんだから考えて」

「「はい!」」

練習はいつも以上にきつく、部員たちもヘトヘトだった。

だが、3年生は一つ一つ注意されたことを受け入れて、「「はい!」」と、大きな声で返事する。

凛奈はハッとした。

『先輩たちは、これが最後の練習なんだ。私もしっかりして安心して先輩たちに引退してもらいたい!』

部員全員が必死で練習した。

小林は満足したように、

「今日の練習はここまでです。今から講堂にセッティングさせて、打楽器を運んでください」

「「はい!」」



「打楽器! スペース取りすぎ! 管楽器のイス置けないよ!」

「クラもっと詰めてー!」

講堂で55個のイスを並べる。

音楽室以外の場所でのセッティングはスペース感覚のせいで時間がかかる。

「よぉーっし! おっけー! みんな席についてくださーい!」

「「はい!」」

唄華がいつものように前に立つ。

唄華が前に立つのもたぶんこれが最後だ。

今していること、全てがこのメンバーですることの最後なのだ。

小林と池田が講堂に入ってきた。

「明日、7時に集合です」

「「はい!」」

「それと、明日の本番、これがこのメンバーで演奏する最後の本番です。しっかり気合いいれてやりましょう」

「「はい!」」

「それでは終わります」

「ありがとうございました!」

「「ありがとうございました!」」




3人はバスに乗った。

「ねぇ、」

樹奈が前を向きながら言った。

「明日の本番、がんばろーね」

それは、いつもの樹奈とは違う、少し大人っぽい笑みだった。

「え!? あんたどうしたの!?」

「え? なにもないよー!」

「あ、戻った」

2人は笑ったが、樹奈だけはなぜかわからないようだった。

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