不満 真紀ver.
みなさんこんにちは、東原真紀です。ホルンやってます。
チューバ担当の由紀の、双子の姉です。
私たちは文化祭に向けて、看板を担当されて、今みんなで作業中です。
「ゆっきー、そこのボンドとってー!」
「はぁ?ちょっと待ってよ」
はぁー。また喧嘩腰だ。最近ずっとだ。
ゆとちゃんが、
「はやくとってよー」
と言うと、ため息をつき、
「はぁー。しゃーないなぁ!」
と言って、ボンドを投げた。
「……ありがと」
そりゃゆとちゃんも嫌な思いするよね。
最近部内の1年生がピリピリしてると感じるのは私だけでしょうか?
「みんなー、ちょっと聞いてー!」
あ、2年生からの指示が出たのかな。
「えっと、本番のことなんだけど、サプライズで1、2年だけで演奏することになりました」
「おぉ〜」
「いいね〜」
次々に声が上がり、拍手もおこった。
「それで、花束を渡すんだけど、1人1000円ずつです。来週の……」
と、ヒソヒソと話し声が聞こえた。
「ねぇ、ここ音符にしない?」
「うーん、そうだね」
由紀と美鈴の声だ。なんでいま話すのかなぁー。あとで話せるのに。
と、その隣でちょきちょきと画用紙を切っている
美奈が。だめだって、そんなの。
「それじゃ、今日の作業はここまで!」
ハッとなり、隣をみた。
すると、由紀は平気な顔で
「おつかれー」
って言っていた。
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「いっただっきまーす!」
「いただきまーす」
今日は私とお母さんと由紀で夕食を食べた。
「ねぇ、お母さん。臨時集金のことなんだけど」
「そうそう!ねぇ真紀、集金って1人いくらだっけ?」
さすがにカチンときた。
そんなの由紀が聞いていないのが悪いのに。
「ちょっと由紀!」
ちょっとは怖い顔だったんじゃないかな。
「あはは! もう、由紀ったら。また人の話聞いてなかったんでしょう?」
あー。さえぎられちゃった。
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次の日の朝。私は昨日のことを話そうと思った。
「ねぇ、由紀、昨日のことなんだけど……」




