双子の恋バナ
「ただいまッ!」
凛奈は帰ってくるなり、二階へ上がってベッドにダイブした。
『私、先輩と付き合うことになったの!?』
と、ボブボフと足をベッドに叩きつける。
そして一度冷静になり、
「そっか。私も先輩のこと蒼先輩ってよんでるんだから、凛奈って呼ばれてもおかしくないよね」
と、ポツリと無意識のうちに声に出ていた。
「なに、さっきからうるさいんだけど」
「え!? あ、朝緋!? 部活は?」
朝緋は隣のベッドで寝ていた。
凛奈と朝緋の部屋は共同だが、カーテンで仕切られている。
「早退。熱でた」
火照った顔で朝緋が水を飲む。
「顔真っ赤じゃん。待ってて、薬持ってくる」
と、凛奈は立ち上がった。
「凛奈、」
「なに?」
「お前、先輩と付き合ってんの?」
いきなりの言葉に、凛奈は赤面した。
「ななななにいってんの!? 」
「顔に描いてある」
「嘘つけ!」
と、凛奈が朝緋に聞く。
「朝緋は好きな人とかいないの?」
「は!?」
「いるの?」
凛奈がずいずいと問い詰める。
「……いるよ」
「ふーん」
「は!? 好きな人いるって言われてふーんておかしくね?ゲホゲホッ……」
朝緋が咳き込む。
「ほらー。あんた風邪ひいた?」
「いま夏だっつの」
「夏でも夏風邪ってあるんだっつの。ほら、おとなしく寝てろ」
と、薬袋を朝緋に向かって投げた。
「おい、凛奈」
「なにー? まだなんかあんのー?」
「結局先輩と付き合ってんの?」
「……うん」
「……そっか」
「ねぇ、朝緋の好きな人教えて?」
「ムリ」
即答だった。
「マイ、だったりして」
「……、そうだけど」
「え!? マジで!?」
「……おう」
朝緋はさっきよりも顔が赤くなっていた。
「ふーん」
「父さんと母さんに言うなよ」
「私のもね」
こうして双子の恋バナは終了した。




