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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
事件
41/423

謝罪

「凛奈!」

気づくと、寝ている凛奈の隣に桜がいた。

『ここは……?』

「あの、私一体……」

「凛奈、覚えてない? 体育館裏に積んであった机が倒れてきて。頭打って気を失って……」

「───帆南先輩は!?」

だんだん記憶が戻ってくる。がっと桜の両腕を掴む。

「帆南……? 帆南が倒したの!? うそ、そんな……」

と、桜が凛奈の腕を掴み返した。

「あ……、帆南先輩は何もしてないんです。たまたま見かけて追いかけて……たしか、私が足を引っ掛けて。だから、帆南先輩は悪くないんです。ほんとに」

「なんでそこまでかばうの……」

桜は許せないようだ。

「2人とも、ちょっといい?」

ぴょこりと池田が顔を出した。

「?はい……」

ガラリと扉が開く。

「ほ、帆南……?」

桜も凛奈も驚く。

「凛奈……、その、ごめん……ッ!」

深く頭を下げる帆南に、言葉が思い浮かばなかった。

「あんた、謝ったら許されるとでも思ってんの?」

ありえないと言わんばかりの顔をし、帆南の胸ぐらをつかんだ。

「……わかってる」

ぶらぶらと桜の腕に操られたまま、下を向いた。

「桜ちゃん、落ち着いて。須野さんも反省してるからこの場にいるんじゃないの」

「先生もなんでかばうんですか!」

ばっとその手を離した。凛奈は黙って見ていることしかできなかった。自分のことなのに、何故桜はここまで必死になっているのだ。

「いつかこんなおっきいことになると思ってた……!」

と、爪を噛んだ。

「ごめん。桜も、凛奈も。先生も。もう吹部に関わらないから。ケースとかの落書きも、ごめん」

肩を落とし、重い言葉が帆南の口から告げられた。

「……私は大丈夫ですよ先輩。謝ってくれたから。それだけでいいんです。桜先輩も」

「……私は許さない。けど、凛奈がそれでいいなら」

ふいと顔を晒した。

「……ほんと、ごめんね」

「凛奈ちゃん、また後で来るから待ってて」

と、3人は保健室を後にした。

半透明な窓越しに、3人の姿はまだ見えた。

「私は許さないから」

と、桜だけ反対方向に歩いていった。

「……すみませんでした、先生」

「うん。じゃあ、2学期にね」

と、池田だけが桜と同じ方向に走って行った。


「桜ちゃん」

「先生……」

桜に追いついた池田は、桜の隣に来た。

「帆南ちゃんのことは」

「もう、いいよ。でも、なんで凛奈はあの子のことを許したのか」

桜が池田に敬語を使わない時は、本当に困っている時だけだ。

「そうねぇ……。きっと、心がまだ小学生だから。何ヶ月か前まで小学生だったから。だから、そこまで深く考える必要はないよ」

と、桜の頭を優しく撫でた。

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