2日目 ミーティング
「「おはようございます!」」
2日目の練習は、食堂で行われる朝のミーティングから始まった。
小林たち4人が前に立つ。
「おはようございます。今日は細かい作業を繰り返し続けていきます。まだお泊まり会気分の人はもういないと思いますが、気を引き締めて2日目に挑みましょう」
「「はい!」」
ぐるりと73人を見渡し、そして手に持っていた紙に目を通した。
「今日の予定は、」
小林のその一言で、2、3年生がメモを取り出す。1年生は、それを真似して慌てて書くものを用意する者と、ぼーっと見ているだけの者がいた。
「今、8時です。10時までパート練習の時間をとるので、じっくり合わせてきてください。場所は基本どこでもOKです。それと、9時からはサポートメンバー練習室に集合してください。文化祭でやる予定の曲と、あと海の王者も池田志穂先生と紀穂先生に見てもらいます」
「「はい!」」
池田姉妹は人気のようで、きゃあっと声が上がる。
「それから、10時からはコンクールメンバーの合奏です。それまでにパートや個人で見てもらいたい時は俺のところまで行くこと。国木田先生がサックスを今から基礎レッスン、クラリネットを9時から自由曲のレッスンしてくださるのでそのつもりで」
「「はい!」」
奈津が机の上でぐっと拳を作った。
「12時半から昼食、1時間金管、木管、パーカッションに別れてセクションをしてください。金管と木管はセクションリーダー中心で。パーカッションは昼から沢江先生に見ていただきます。2時半から合奏。サポートメンバーは、2時半までは別室で個人練習をしていてください。合奏は見学と手伝いをしてもらいます」
「「はい!」」
と、返事したものの、細かいスケジュールを書くのに必死になる。
「セクション何時からって言った……?」
聞き逃してしまったところを、もう1度お願いします、なんて言えない。
「先生、すみません。セクションが何時からか、もう1度お願いできますか」
パッと手を挙げたのは奈津だ。
「あぁごめん、何時からかいま言ってなかったかな。セクションは1時半からで」
「ありがとうございます」
奈津が聞いていなかったのではなく、小林自身が言い忘れていた。そう思える奈津への信頼感はもちろん、まっすぐそんなことを聞ける奈津にも驚く。
「だいたい5時ぐらいまで合奏かな。それからは風呂入ったり自主練したり自由時間。6時に全員夕飯をここで食べて、そこからもう1度パート練習。で、8時からまた自由時間。風呂の時間をまた作ります。9時に浜辺で花火大会です。ざっとこんなかんじかな。予定とか時間が前後することがあるので、その都度知らせます。それくらいかな。役員からの連絡なにかありますか」
「ホルンパートの課題曲、自由時間にお願いします」
「了解。他は?」
「国木田先生、サックスパートの自由曲を見てもらってもいいですか」
「もちろんだよ〜」
ぐるりと見渡し、もう1度確認する。
「体調は大丈夫ですか」
「「はい」」
「じゃあ、今日も1日頑張りましょう」
まる1日の予定を並べると、ハードな気がするが、合宿としては当たり前なのだろう。
解散の合図とともに、背伸びをする。
そして、楽譜を持って動き出した。
「頑張りますか!」




