再び合宿
「───な、凛奈ー」
「んー……」
パチリと目が覚める。マイの顔が、近い。
「うあ、びっくりした……」
「暇なんだもん。みんな寝てて」
「そんなさ……。だって4時起きだよ?」
「眠くないから」
「鬼……」
背もたれに従って、ずるずると落ちていく。
ぐるりと後ろを見わたすと、寝ている者がほとんどだった。1年生がほとんどだ。というか、3年生はおらず、2年生も凛奈、マイのほかに巫愛、そして愛菜の4人だけだ。他の2年生と3年生部員たちと、この1年生部員と羽目を外しすぎないように、と保険で小林と2年生リーダーの凛奈と他2年生3人にバスが別れた。
「音楽聴いてりゃいいじゃん……」
欠伸混じりの膨らんだ声を出す。
「だって充電減っちゃうじゃん。みんな寝ちゃったから先生と話したいなって思ったけど小林先生も寝てるし」
隣を見ると、たしかに小林も窓にもたれて目を瞑っている。
「先生とか私たちより朝早いんじゃない?」
「まあ、仕方ないのは分かってるけどさ」
「昨日マイは何時に寝たの?」
「……7時」
素晴らしい判断は、きっと彼女の小学生時代の経験からだろう。
茜や璃星、成宮姉弟がぱっちり目を覚ましているのもマイと同様なのだろう。
「運転手さーん、あとどのくらいですかー?」
「うーん、あと30分くらいかねー」
「あと30分かぁ……」
4時に起きて、5時半に集合。積み込み等の準備を済ませ、現在7時前に至る。
「関西の時も、こんなに長いのかあ」
「いや、今年はロームシアターでしょ」
「ああ、京都のね。新しくなったんだっけ」
普通に会話していたが、彼女は関西大会出場を前提として話していたことに気付く。
「楽しみだなぁー」
「だね」
話をしているうちに、海が見えてきた。




