合同練習1日目 ②
「凛奈……?」
パートで昼食を食べていると、小さな少女がひょこっとドアから顔を出した。
「心音!」
凛奈は大きい円の中から立ち上がった。
「凛奈! 久しぶり〜!」
心音は、ぱぁっと可愛らしい笑顔をみせた。
「先輩、食べ終わったんで、ちょっと話してきていいですか?」
「いいよー! いってらー。」
桜は軽く手を振った。
海野心音は、凛奈の幼馴染で、凛奈と同じく西野小の金管バンド出身で、小3からトロンボーンをやっている。
「凛奈、なんか変わったよね」
「え?」
凛奈は 首をかしげる。
「なんかさ、前は寂しそうってゆーか、さめてるってゆーか。」
「うーん……?」
「でもね、今はすごくいきいきしてるの! 笑ってることも増えたし!」
「そうかな? わかんないや」
「あのね、私ね、凛奈に話さないといけない事があるんだ」
凛奈はさらに首をかしげた。
「ん? 何?」
「美都もね、この3ヶ月ですごく変わったの。小学校の時とはちがうんだ」
「確かに、少し雰囲気とゆーか、姿勢とゆーか、なんか変わったよね」
凛奈は、さっきのパート練の自己紹介で美都と目があったのを思い出し、嬉しそうな笑みをみせた。
「あの時の事にふれたくないから、自分を変えて、あの話をみんなにさせないようにしてるみたい」
あの時。ちょうど1年前のあの頃のことだ。
「だから、凛奈も気にしないでいいと思う」
「うん。私もう気にしていないよ。」
すると、心音が笑顔で、
「そっか! じゃあ、」
「心音ー! 休憩終わりー!」
と、愛菜が心音を呼んでいる。
「あ、じゃあ行くね。ばいばい!」
「うん、ばいばい!」
凛奈は手を振った。
「それでは、今日の練習を終わりたいと思います。」
「「ありがとうございました!」」
「凛奈ちゃん!ばいばーい!」
と、小2の莉乃が元気に叫ぶ。
「うん、ばいばい!」
莉乃の可愛さに、みんなはデレデレの1日でもあった。




