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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
第2楽章
304/423

対面

「みなさん、こんにちは」

「「こんにちは!」」

本入部がスタートし、はじめてのミーティング。

1年生と2、3年生は向かい合うように座り、幹部4人はその間に立った。茉莉花の挨拶にすぐに返事した1年生と、それにつられて慌てて返事する1年生に別れた。

「みんなが吹奏楽部に入部を決めてくれてすごい嬉しいです。自分の隣に座っている人はこれから2年半、一緒に活動していく仲間です。握手しましょう」

様子を見ると、特に仲が悪いと言う人物はいないようでホッとする。

「私は第34期部長、ユーフォニアムパートの泉 茉莉花です」

「副部長、サックスパートアルト担当の藤森 奈津です」

「同じく副部長、ホルンパートの天野 ユリカです」

3人テンポよく自己紹介したが、凛奈で詰まってしまった。

クスクスと笑われるのを我慢しながら、

「1……2年生リーダー兼次期部長の香坂凛奈です」

と挨拶した。引きつる口角を、手でほぐした。

次期部長。自分から名乗り出たのは、これが初めてかもしれない。

「「よろしくお願いします」」

パチパチと拍手を真っ先にしてくれたのは茜だった。それに続いて他の者も拍手する。

「1年生サポート隊長、ダブルリードパートオーボエ担当の小河伊織です。部長副部長、2年生リーダーも隊員です」

「サポート隊員ダブルリードパートファゴット 担当の一塚隼人です」

「同じく鹿島風香です」

「隊員、ダブルリードパートオーボエ担当の濱田藍です」

「1年生のみんな、分からないことがあったらサポート隊の先輩を尋ねてね。まぁ、基本的にダブルリードパートの誰かに言ってくれたらなと思います」

伊織はへへっと歯を見せて笑う。

「「はい!」」

まただ。1部の1年生が大きな声で返事する。

と、ガラッと音楽室の扉が開いた。

入ってきたのは小林と池田だった。

「「こんにちは!」」

2、3年生が立つと、1年生も慌ただしく立つ。

影響力が強いから話が早くなる。

「こんにちは。茉莉花、全員いるか?」

「はい。います」

「えー、みなさん。吹奏楽部に入部を決めてくれてありがとう。顧問の小林雅哉です」

「副顧問の、池田紀穂です」

「「よろしくおねがいします」」

「今年は東野から来た人が多いみたいだな。頼もしい」

クスクスと顔を見合わせて笑う。

そうか、さっきから大きな声で返事したり礼儀正しいのは東野から来た部員だったのだ。

「もちろん、初心者も経験者も関係ないです。ここにくれば全員初心者。上手い人がえらいなんてこともないです。だから、焦らずに音楽を楽しんでください」

「それじゃあ、いまから合奏見学しましょうか」

池田がパンと手を叩く。

「「はい!」」

先ほどまでなにも反応しなかった1年生もわかってきたのか、返事をした。

声の大きさに思わず肩が上がってしまった。

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