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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
番外編①
296/423

9.体験入学

「こんにちは。吹奏楽部です」

「「こんにちは〜!」」

小学生たちの声に中学生たちは圧倒される。

いま、中庭に200人ほどの小学生がいる。

体験入学1日目、東野小学校の6年生たちだ。

葉月市で最大の人数を誇る東野。強豪の吹奏楽クラブもある。

小学生たちは、普段見慣れない楽器たちに目をキラキラさせながらみている児童と、あまり関心のなさそうに見つめる児童がいる。後者が吹奏楽経験者だろう。

部活見学は自由だが、どうしても吹奏楽部は混雑してしまうので、他部から恨まれながらも中庭で演奏し、児童全員がそれを聴くことになっている。

「香坂先輩だ」

声を出したのは、茜……星野桜の妹、星野茜だった。

演奏していて、児童たちを見ているとこの曲をやったことがあるのだろうか、先程からちらちらと指が動く小学生たちがいた。

キィッ!というリードミスがあるたび、顔をしかめてはひそひそと話している。

あの子たちは自分たちをどんな目で見ているのだろう。

和音たち2年生は平然とした顔で吹き続けるが、菜穂や百華はもう背が丸まってしまっていた。

応援するかのように、吹き続ける。

凛奈と杏が、前に出る。

みんな凛奈ばかりを見る。

『なんだろう、この状況……なんか空気悪くない?』

凛奈はゾクっとした。

小学生相手に演奏して、こんなにも冷たい目で見られるのは初めてだった。

来年度、この中からこの吹部に入る人はいるはず。の前に、入部を選んでくれるのだろうか。

パチパチと起こる拍手は、どこか恐怖を感じた。


明日は北原小学校と、葉月第二小学校が体験入学だ。

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