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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
夏期演奏会sunflowerconcert
28/423

小6の時

その日の夜。

凛奈はいつも通り誰かの帰りを待っていた。

すると、マイから電話がかかってきた。

《もしもーし。凛奈ー》

「ん?」

《凛奈、今日元気なかったけどさ、どうしたの?

もしかして小学校の時のこと?》

「あー、まだ話してなかったよね」

《ゆっくりでいいから話てみ?聞いてあげるよ》

「……うん」

小6の時ね、金管バンドでファーストコルネット吹いてたんだけど、もう1人の6年の美都っていう子もファーストの子がいたんだ。

今は西中でトランペットをやってるみたい。

美都はね、私より1年はやく入ってるんだ。

だから、当然私より上手かった。

入部した時、私もマイみたいに、入部したばかりって思えないくらい上手かったんだって。それでもまだまだで、みんなには追いつけなかった。だから、肩身が狭くてみんなに意見が言えなくて、バンドの中で孤立していた。

それでも美都は私に優しくしてくれた。

6年生になったら、先輩が使っていたた吹きやすいマウスピースも返されて、だいぶ上達したんだ。

その時、私はトップを任された。

誰もが美都だと思っていた。なのに、急に私が上手くなって、その座を取られて……。先輩も、私の実力を認めたから。トップであることに納得したから。美都にとって私は邪魔なんだ。

5年生の時までは、同じ学年の私以外の6人は、とても仲がよかった。その中に入りたかったけど、私が1番最後にバンドに入ったから、みんなのところに入れなかった。

6年生になって、上達してから少しは意見が言えるようになったんだ。

だけど、6人と私の意見が合わなくて、何度も喧嘩した。6対1っていう訳じゃなかった。

みんなといて楽しいと思えた。

最初はバンドの中でも孤立することがなくなったし、心地よかった。だけど、だんだんそれが7人の気持ちをバラバラにしてしまったかもしれない。私がいる事で、決まらない事も増えた。だから、気まずいっていうか、どうしようもない苦しみだったんだ。

《………。》

「あれ、もしもーし。」

《なんかさ、凛奈らしくないよ?久々の再開!ってかんじで明るくいったら大丈夫だよ。》

「…そうだね。ありがとね。聞いてくれて。じゃ、そろそろ切るね。」

《うん!また明日!バイバーイ!》

「バイバーイ。」

電話を切ると、凛奈は、ため息をつくが、ハッとなって、自分の顔をバチンッと叩いた。

『しっかりしなきゃ!』

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