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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
春のコンサートに向けて
257/423

自分勝手

とぼとぼと歩いていると、中庭で2年生たちが楽しそうに弁当を食べていた。

「私たち、あんな風に戻れるのかな……」

「あ、凛奈!」

と、夏帆が手を振る。

と、その手には自分の弁当が握られた。

「一緒に食べようか。おいで」

「……はい」


「で、どう思う?愛菜は」

巫愛と愛菜は、トロンボーンの教室で、弁当を食べていた。

あの雰囲気では食べずらかった。

だから、幼馴染の2人きりだと、気軽だった。

「あたしたちさ、一般バンドにも入ってるけどさ……。なんて言うか、パートリーダーとか団長とか、だいたいオッサンかオバサンしかやってないじゃん。だから、リーダーの気持ちわかる子なんて、ほんの数人だと思った」

「それ! 私も思った」

と、巫愛が共感してぴんと指差した。

「正直、リーダーって、なんでどいつもこいつも自分勝手なんだろうとか思ってた。だからいつかは自分がその立場になって、絶対にいい雰囲気にしてやるとか思ってたけどさ」

「うん」

「……。あたし、楽団抜けよっかな」

愛菜がポツリと言った。

「……そんな簡単に決めれることじゃないと思うよ。だって、そのために楽器買ってもらったんだし」

「いつかは抜ける日がくるんだし、そもそも、いまここがある」

「まぁ、あんたが抜けるなら私も抜けるけど、でも」

「でも?」

「リーダーのこと自分勝手って言う自分たちも自分勝手、なんじゃないかなぁ〜って」

と、腕をぎゅっと握りしめた。




凛奈はそれを、扉の向こうからそっと聞いていた。そして、決心がついたように走り出した。

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