サプライズパーティー
聖菜へ。
銀賞でした。
聖菜の気持ちを背負って、頑張ろうと思ってたけど、やっぱり、関西は厳しいね。
ごめんなさい。
はやく元気になって、戻ってきてね。
熱もすっかり下がった次の朝。
「金賞、とりたかったなぁー」
ぽそっと、バスの窓にもたれかかって、声に出した。
今日は、1人なのだ。
バスの中には、誰もいなかった。
マイたちは、先に行くと言っていた。
「期待、されてたのかな」
期待を裏切ってしまったかもしれない。
結局、あたふたしたまま終わってしまった関西大会だ。
1年生のみんなに、何と言えばいいのだろう。
気を使わせてしまわないか。
そんなことばかり考えて、気が重いままバスを降りた。
----------
「……え」
靴箱には、1年生の靴が、全部上靴だったのだ。
つまり、来ていないことになる。
「どうして……」
マイたちは、先に行くと言っていたはずだ。
だとしたら、どこかへ寄っているのだろうか。
とにかく、音楽室へ向かおう。
----------
「凛奈いま玄関来ました!」
樹奈が慌てて音楽室に入ってきた。
「お! みんな、隠れて!」
奈津が、ノリノリでみんなに呼びかける。
サプライズパーティーだ。
と言っても、練習時間を長いこと奪うわけにもいかないので、小林が部員たちに与えた時間は1時間半。お菓子OKとなっている。
皆、机の下に隠れこんだ。
「ねぇ、」
「ん?」
愛菜が、麻由に話しかけた。
「結果、どうだったんだろう」
「……さあ」
まだ、奈津以外の部員は関西大会の結果を知らない。
「大丈夫だよ。絶対、金賞とってるはず」
その会話を聞いていた奈津は、静かに俯き、
「まぁ、金賞でも、そうじゃなくても、お祝いだよ!」
と、明るく顔を上げた。
「「はい!」」
2人も笑顔で返事した。
「あ、来た!」
ガラッ




