涙の結果発表
結果発表だった。
発表される前から泣いていた。
本番が終わった直後から涙が止まらなかった。
写真撮影も、目が腫れたままだった。
結果発表が終わったいま、涙を流す以外になにができるのだろう。
「「……」」
沈黙に包まれていた。
結果発表の声がこびりついて頭から離れない。
《北原中学校金管9重奏、銀賞》
「ねぇ、この後どうすんの」
「えっと、とりあえず駅に行く、……」
と、ユリカと茉莉花が話しているところに、奈津が現れた。
「奈津、来てたんだ」
「うん。お疲れ様」
ありがと、と、茉莉花はにっこり笑ったが、悲しい笑顔だった。
まるで、何かを掴めそうだったのに、あと少しだったのに遠ざかってしまったようだった。
「すごくよかったよ。みんなの演奏。同じ学校だって思えなかった」
うん、うん、と頷くと、いっぱいに涙を流した。
それをみて、ユリカも俯き、手で顔を覆った。
「ごめん……っ」
かすれた声でそう言い、奈津は首を振った。
「ううん。ありがとね」
2人の後ろで、俯いたり泣いたりしている他の部員たち。
凛奈は涙を流しすぎたせいで、目が痛かった。
「先輩、少し顔洗ってきます」
ふらふらとトイレへ向かった。




