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気まずい
ガタンガタン───。
揺れる電車。
「……」
気まずい。
隣に、右にあの真っ黒な衣装にコートを着て、ピンクやオレンジ、白や黒の楽器ケースを背負った少女達。東野だ。
左には自分の先輩たちがいて、ほっとする。
あと5駅で乗り換え。
道はまだまだだ。
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乗り換えた後の電車でも、彼女たちと同じ車両だった。
『……あれ』
ぼーっとしてしまう。
つり革から手をぶらりと下ろし、遠くを見た。
「凛奈?」
「───えっ、あ、はい」
そんな凛奈に声をかけたのは蒼だった。
「酔った?」
「あ、いや、そんなことは……」
と、額に手を当てられた。
「……先輩、そんなことしても熱測れないですよ」
「え?」
「だって、おでこ触られたら余計体温上がりますよ」
と、顔を真っ赤にして言うと、蒼もパッと手を離した。
「ご、ごめん!」
「い、いえ」
「……で。 座っとく? 向こうの車両しか空いてないっぽいから、向こう行こっか」
と、あたりを見渡した。
「あ、1人で大丈夫です!」
「そっか。降りる時に呼びに行くから。到着まだまだだし」
「あ、ありがとうございます」




