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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
アンサンブル関西大会
237/423

気まずい

ガタンガタン───。

揺れる電車。

「……」

気まずい。

隣に、右にあの真っ黒な衣装にコートを着て、ピンクやオレンジ、白や黒の楽器ケースを背負った少女達。東野だ。

左には自分の先輩たちがいて、ほっとする。

あと5駅で乗り換え。

道はまだまだだ。

----------

乗り換えた後の電車でも、彼女たちと同じ車両だった。

『……あれ』

ぼーっとしてしまう。

つり革から手をぶらりと下ろし、遠くを見た。

「凛奈?」

「───えっ、あ、はい」

そんな凛奈に声をかけたのは蒼だった。

「酔った?」

「あ、いや、そんなことは……」

と、額に手を当てられた。

「……先輩、そんなことしても熱測れないですよ」

「え?」

「だって、おでこ触られたら余計体温上がりますよ」

と、顔を真っ赤にして言うと、蒼もパッと手を離した。

「ご、ごめん!」

「い、いえ」

「……で。 座っとく? 向こうの車両しか空いてないっぽいから、向こう行こっか」

と、あたりを見渡した。

「あ、1人で大丈夫です!」

「そっか。降りる時に呼びに行くから。到着まだまだだし」

「あ、ありがとうございます」


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