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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
アンサンブル関西大会
230/423

柚子と関西

日曜日。

凛奈は、アンサンブルの練習を朝早くからするために、3人と別々に早く学校へやって来た。

「失礼しました」

鍵を取り、音楽室に向かった。

「だけどさ、いまは関西大会のサポートしっかりしなきゃ」

中庭から、奈津の声が聞こえた。

「じゃあ、関西大会が終わったら?」

「……」

もう1人は、おそらく鈴音だろう。

凛奈は、廊下から中庭を覗いた。

2人は、中庭のベンチで話していた。

「もうさ、あれから1年だよ? 普通に柚子に話しかけられて固まってさ、」

「大丈夫。あの時はちょっと驚いただけ。とにかく、いまは関西大会だよ。それが終わったら自分で解決させる」

『柚子先輩のことだ……。でも、今は……』

今は、関西大会に集中しなければいけない。

あと1週間、どんな練習をするかで結果が決まってくるのだ。

忘れよう。今だけ。そう自分に言い聞かせ、音楽室へ向かった。


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