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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
目指せ!コンクールメンバー
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マイの過去

私さ、幼稚園の頃からフルートやってるじゃん?

だから東小の吹部入った時そりゃあ、顧問にも先輩にも驚かれたんだ。吹部に経験者が入って来たって大騒ぎになったよ。

私が言うのもあれだけど、強豪校のなかで、1番上手いフルート奏者が3年生だ、ってなって、やっぱ先輩らは焦るよね。

3年生の時のコンクールメンバーの選抜オーディションの時、5年生の先輩2人が不合格だったのに、私は合格だったんだ。1人は私は経験者だからって、納得してくれたんだけど、もう1人の先輩はプライドが高くて。自信満々で吹いていたのに不合格で、納得いかなくって、私に嫌がらせばっかしてきた。他の先輩はそんな見て見ぬフリ。だけどね、トランペットの5年生の先輩2人は私をいじめなかった。そんなのあいつの実力がないからだって言ってくれて、顧問に私の事言ってくれたんだ。その先輩が桜先輩と紗江先輩なんだ。顧問は最初に私に嫌がらせしてきた先輩にキレたんだ。そしたら、そっけなくやめちゃったんだ。私は自分のせいだって思ったんだ。凛奈と同じ。

だけどね、やっぱちっちゃい時からやってたからなのかな。サボってたらなんだか思いっきりフルートを吹きたくなっちゃって。

楽器を持ったまま家から飛び出して走ったんだ。どこに行くか分からないのに。

とにかく走りまくって、着いたのがうちより少し離れた北原山(きたわらやま)だったんだ。

登ってみると、凄かったんだ。海に太陽が沈んでってく。反対側へと続くグラデーションと青い夜の空。

時間はただただ流れていくだけなのに、どうしてこんなに美しいんだろう。自分は何を悩んでいたのだろう。空はたった1つなのに、どうしていつも違う空何だろう。そう思ってたら涙が出てきちゃった。

だから、自分はどこまでも広く、遠い空のようになりたいなって思ったんだ。



やっぱり、いじめてきた先輩が東中にいるっておもったら怖くて、北中に入ったんだ。

「だからね、私、…」

マイが話している途中で凛奈は立ち止まり、涙をこぼしていた。

「凛奈?どうしたの?」

「私と同じなんだ。」

と、凛奈はうつむきながら言うと、

「知ってる。また北原山に一緒に行こ?」

マイも泣きそうだ。

「…うん。」

凛奈はうなずいた。

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